小倉義光先生からの寄付金を活用し、本会の社会的評価を⾼め、本会会員活動にプラスとなることを目的として、
会員活動の支援を行っています。

※応募できるのは、日本気象予報士会の会員に限られます。


小倉義光先生について

東京大学海洋研究所所長時代(1965-1967)の小倉先生

 小倉義光先生は、日本を代表する気象学者のお一人です。

 気象学上のご功績としては、大気対流の再現に適切な支配方程式系を導出されるとともに、数値モデルに水蒸気の凝結・蒸発や多様な降水粒子の成長過程を導入することにより、積乱雲の再現が可能であり、積乱雲の寿命が降水粒子の成長速度によって決まることを示されました。先生の研究は、1980 年代にかけて急激に発展した数値モデルによるメソスケール対流システムの研究の基礎を築かれたとして評価されています。

 気象学の教科書や一般向けの書籍も多数著作され、中でも「一般気象学」(1984年)は、現在も発売され、広く愛読されている名著で、「気象予報士のバイブル」といわれています。

▼出典:新野・木村、2022:追悼 小倉義光先生, Ocean Breeze, 40, 08-09

(ご略歴)
1922年5月11日 神奈川県横須賀市生まれ
1944年  東京大学理学部地球物理学科卒業、同学科助手
1954年  理学博士(大気乱流に関する研究)
その後、東京大学海洋研究所海洋物理部門教授、東京大学海洋研究所所長、東京大学海洋研究所海洋気象部門教授、イリノイ大学教授 (Laboratory for Atmospheric Research所長)、イリノイ大学 Department of Atmospheric Sciences 学科長などをご歴任後、イリノイ大学名誉教授
2022年5月29日 ご逝去(享年100歳)

▼東京大学大気海洋研究所 海洋物理学部門のWEBサイト「小倉義光先生の記録」-「ご経歴」から引用

小倉義光先生と一般社団法人日本気象予報士会との関わり

 1996年7月に一般社団法人日本気象予報士会の前身にあたる気象予報士会が有志により設立されました。小倉義光先生には、その設立時より様々なご支援をいただいてきました。

 小倉先生は、長年、本会顧問として、総会などにもご参加くださいました。また、「てんきすと」への投稿の機会を通じて、会員に気象の奥深さを伝え、どのように気象を捉えるべきか示唆に富んだアドバイスをくださいました。(第20号「雷雨を楽しもう」、第50号「謎解きとしてのウェザー・ウォッチング」等)

 当初、任意団体であった気象予報士会の活動基盤を強化するために、2004年の有限責任中間法人気象予報士会互助会設立時に多額のご寄付をいただきました。その後、赤字が続いた2019年度にもご寄付をいただき、これらは本会の活動に役立てられています。

 本会が一般社団法人に移行後の2021年に、気象学の振興と教育・普及活動に用いるようにとのご意向のもと、約50万ドルの寄付をいただきました。この寄付を活用するため、財産は奥様である正子様と二人で作ったものであるという小倉義光先生のご意向に添い、ご夫妻のお名前を冠した基金を設立しました。2022年度以降、会の理事などから構成される小倉義光・正子基金活用実行委員会が、基金の運用益を用いて会員活動への支援に充てる事業を行なっています。

小倉義光先生(2019年12月撮影、右は大西晴夫前会長)

基金の活用方法

当会では、基金を次の方針で活用することとしています。

・基金の運用益を活動に用いること
・基金は特別会計として本会会計とは分けて管理すること
・支援する内容は会員からの公募等によること
・実行委員会を設置し,基金の管理や基金を利用した活動の運営をさせること

この方針に基づき、当会の理事などからなる小倉義光・正子基金実行委員会では、2022年度以降、会員からの活動支援策を公募し、1件あたり年間30万円を上限とする助成を行っております。