１．アリューシャン低気圧とアイスランド低気圧（第1部）、及び気象予報士のグローバルタレント（第2部）（会員）
第１部　アリューシャン低気圧（AL）とアイスランド低気（IL）
偏西風蛇行の支配因子
�@地球の自励効果（ENSO,IOD,PDOなどの海洋振動、AO,NAOなど）のテレコネクショ ン。
�A雪氷面積分布変化として、北極海海氷面積の変化に伴うアルベドの変化など5項目の因子を解説。
成層圏突然昇温の発生により、ALとILとの２つの低気圧が発達して相互作用を起こす。
北極海海氷面積変化がアルベドを変化させ、高緯度に高気圧を形成した結果、波長の大きいロスビー波を励起して偏西風を大きく蛇行させる。
事例解析として、２００５年１２月寒波、２００９〜２０１０冬寒波などを紹介。

第２部　気象予報士のグローバルタレント
グローバルな環境で活躍する場が増加しているなかで、気象予報士も例外ではない。グローバルコミュニケーションスキルとして、アクティブリスニング（相手を理解する）、アサーティブコミュニケーション（相手に理解される）とそれぞれのステップ
を説明。グローバルに活躍するための指針として、主張・データ・理由の三角ロジック：グローバルに通用するロジックなどを紹介。
グローバルタレントのスキルは日本人同士でもあてはまる。気象予報士会の組織力強化に活用しては、と提案があった。

２．太陽放射の水蒸気吸収帯における放射強度と可降水量の関係について（会員）
卒論の発表。強雨予測において大気中の水蒸気量の測定が重要。
現業で行われているGPS可降水量の測定は、3時間おきで受信局のある特定の地点でしか行えない。更にメッシュを細かく任意の時刻で測定できる手法の検討。
太陽放射の水蒸気吸収帯の減衰と可降水量に対応関係があることから、スカイラジオメーターと分光放射計を利用。
赤外線減衰量から可降水量を推定する近似式を導出したが、朝夕の太陽高度が低い時間帯に誤差が大きくなる。
その要因であるエアマス（太陽光が通過する大気の厚さ）の透過率の影響を軽減することで、より精度の高い近似式が得られた。 しかし、GPSを利用した測定精度には及ばず、更なる精度改善が課題。

３．気象予測の勘所　…　元気象庁予報官
気象庁予報官として長年予報に携わってきた経験から「予報の勘所」と題して話題提供。
数値予報がメッシュをどんなに小さくしていっても誤差は決して無くならない。
実況に応じて予報を修正するのが予報官の仕事。そのためには、現象ごとに気象のイメージ図を持ち、天気図解析により現象がどの段階にあるかを把握することで、予報修正のプラン（シ ナリオ）を作成することが可能となる。
事例として今年2月7日〜8日の関東の大雪について、降雪イメージ図（概念図）と850の流線解析をもとに解説していただいた。市内在住のため、岡山支部会員の技術研鑽にご協力いただくようお願いした。

４．出前講座；岡山の雪の予想　…　岡山地方気象台予報官
・冬型と南岸低気圧、それぞれの雪の予想について解説いただいた。
冬型；大雪目安として、一般的にはT850が-9℃以下、かつT700が-19℃以下、混合層が700hPa以上に発達。
中国地方においてはJPCZの通過も着眼点の一つ。
県内については、大雪時には各観測点の850風向別T850とT500の散布図に特徴がある。
冬型により県北部中心に大雪（警報発表）となった1月9日の事例を紹介。
・南岸低気圧雨雪判断として、T850が−3℃以下、925風が北東〜東よりの寒気を伴った風、T925が0〜1℃以下。
数値予報から統計処理を経ずに作成される天気マップ（GSM）による雨雪判別でほぼ妥当な結果が得られている。
昨年2月7日、岡山市内で8�pの積雪となった事例の紹介。

５．防災気象情報（特別警報他）の利活用について（BP倉敷講演の紹介）（会 員）
倉敷市災害ボランティアコーディネータ連絡会からの依頼で、4月6日に開催される倉敷での防災講演に会員が講師として登壇する。今例会はその予行演習として講師が発表。（依頼団体；多くの市町村では、災害ボランティアセンターを設置し、被災者とボランティアの方々の両者をつなぐ役割を担う）前回のBP講演とほぼ同様の内容となるが、今回は特別警報についての周知に重点を置いた。
倉敷市での台風や大雨などの気象災害事例を紹介し、晴れの国岡山にも危険が潜在することを紹介。
特に注意報発表から大雨特別警報時に至る各過程で、住民がとるべき避難行動について解説する。

懇　親　会：　17:30〜20：30頃、12名参加。場所；ニコニコキッチンさんさん