九十九里浜の蜃気楼
九十九里浜で蜃気楼が見られることは、地元でもあまり知られていませんでした。初日の出などの写真で、だるま太陽が観測されることがあったのですが、正にそれが蜃気楼でした。
蜃気楼は下位蜃気楼と上位蜃気楼がありますが、下位蜃気楼は道路の「逃げ水」で知られているように下側(地表や水面付近)の気温が高く、上側の気温が低い時に見られるものです。海面上で航行する船が反転して下方に見られるのは下位蜃気楼です。
一方上位蜃気楼は、下側(地表や水面付近)の気温が低く上側の気温が高い場合に見られますが、下位蜃気楼と比べると観測される頻度が少ないと言われています。富山湾の蜃気楼が有名ですが、4月〜6月には上位蜃気楼が見られます。
物理学者であり、随筆家、俳人でもある寺田寅彦博士が明治44年に九十九里沖で観測した記録があったのですが、それ以降の観測記録は見当たりませんでした。千葉県立中央博物館の大木企画調整課長は、当千葉支部会員の武田康男氏とともに、2015年8月に上位蜃気楼を観測し、写真撮影記録しました。寺田寅彦博士の観測記録以来104年ぶりのことです。
千葉県立中央博物館の大木企画調整課長は、地元九十九里町で定点カメラを設置し観測を継続しながら、小学校などで特別授業を行うなど積極的な活動をされています。
(一社)日本気象予報士会千葉支部では観測会を計画しようとしています。2022年1月に実施する予定でしたが、コロナ禍で中止となりました。
残念ながら、2023年1月も観測会は、行われませんでした
参考資料
千葉県立中央博物館ミニトピックス展(2015.9)
地学教育と科学運動83号(2019.11)
note.com withコロナの暮らしのなかで作家が語るきょう・あした・未来#9 大木淳一さん 蜃気楼の魅力で地域を元気にしたい!