海技教育機構 練習帆船「海王丸」見学会(2024/9/10) 横浜新港ふ頭9号岸壁

内容

非常に興味深く多くの質問が有ったため、予定の1時間が倍の2時間の見学になりました。

<概要>
海王丸は独立行政法人海技教育機構が運航する航海練習船。
全長110m、幅13.8m、最大搭載人員199名(内、実習生108人)帆船なので、風で航行するための機構が用意されている他、気象状況に影響を受けるため、観測装置等も設置されている。また、海王丸は平成16年に台風第23号が原因で伏木富山港の防波堤に座礁する事故を起こしており、関連する事をうかがうことができた。


<帆走>
海王丸は4本のマストにセールを張る他、船首部にジブ、船尾部にスパンカーというセールを張ることができる。約300本のロープを甲板で操作し、帆の展開や収納を人手で行う。帆走用の舵(舵輪)は船尾部分にあり、一番後ろのマストの上に、風向風速計が設置され、帆走航行中は、舵輪の位置から風向(相対風向:真の風向と船の速度のベクトルの合成)が目視確認でき、帆の向きの調整に使用。(風向風速は電気信号でも伝達)ディーゼルエンジンが2基あり、アメリカ西海岸を機走で往復が可能。


<気象関連>
機走用の前部操舵室の上の甲板には百葉箱があり、気温(アナログ、デジタル)の測定を実施。また、船内に気圧計(アナログ、デジタル)があり、気圧の変化の確認が可能。後ろのマスト上の風向風速計の状況は、前部の操舵室でも確認可能。天気図については、受信専用のFAXが用意されてる。尚、専用容器で海水をくみ上げ、海水温の測定を行っており、大洋航海中は気温気圧等の観測データとともに毎日気象庁へデータを送っている。


<座礁事故関連>
台風第23号の影響で、停泊中の海王丸に北東の風(風速35m/s)が吹付け、高波(6m)が押し寄せたため、走錨して座礁・漂着。甲板には、大きな予備の錨が置いてあったが、3.24トンの重量が有り、これを2個使ってたという事から、風や波の力が凄まじい状況だったことが推察された。また、浸水して実習生達が避難した教室兼食堂を見学。甲板の直ぐ下のフロアにあるが、ここまで浸水したという事で事故の大きさを実感した。


<その他>
・上記の他に船長公室、通信室、海図室、キッチンを見学。
・教室兼食堂は、約100名収容可能で、4方の壁には書架が設置されている。「一般気象学」等、気象関連の図書も多数有った。
・訓練のための帆船なので、海外に航海する時は、貿易風の吹く海域等、帆走ができる航路を選択するとの事。


参加者数

5名

トップページへ戻る