第115回(2024/07/06)神奈川支部例会 かながわ労働プラザ第3会議室・Zoom

形式:会場とZoomによるハイブリッド開催

内容

1.招待講演 横浜地方気象台長 前田緑朗 様
気象庁で携わった業務と印象に残る災害など

前田台長は令和6年(2024年)4月に横浜地方気象台長に着任されました。前田台長は昭和60年(1985年)に気象大学校に入庁後、西は石垣島、北は前橋、その他本庁における管理的業務も担当し、10以上の様々な地域・部署を経験されています。今回の講演では、各地で担当・経験された業務内容や地域的特性、また、その折に発生した顕著な気象災害・自然災害についてお話いただきました。その中で、石垣島において明治31年(1898年)か40年にわたり気象観測および科学的な予報により台風被害の軽減に与してこられた岩崎卓爾氏の功績が取り上げられました。

2.予報士会会員発表
(1)向井利明 会員 (気象庁大気海洋部気象リスク対策課 土砂災害気象官)
大雨特別警報の運用等の変遷と改善効果

向井会員は気象庁職員としてこれまでに防災気象情報に関する調査研究や学会発表を数多く重ねてこられ、さらに気象予報士会会員として各地の例会や気象サイエンスカフェ、サニーエンジェルスにも参画され、気象予報士会の活動に広くそして深く貢献されています。今回の発表では令和6年(2024年)3月の日本災害情報学会にて発表された内容をもとに平成25年(2013年)に新設された大雨特別警報の運用について、これまで10年の実例および情報の発表方法の変遷・改善について定量的評価をもとに説明されました。令和3年(2021年)以降は特別警報発表の基準から「広域」という条件がなくなり、結果として特別警報発表に対して災害発生を伴わない「空振り」が著しく減ったことが説明されました。

(2)長嶋賢一 会員
今が旬、繊細さが生み出すさくらんぼの美しさと美味しさ

神奈川支部の創設時からのメンバーでありRUNNERSでも活躍している長嶋会員より、2024年の桜(ソメイヨシノ)の各地の開花日を取り上げ、それをもとにさくらんぼがことし不作である理由についての考察を発表されました。さくらんぼは生育するための気候条件が厳しくそのため11の道府県でしか栽培していないということ、2023年は夏を含む7か月平均で+2度の記録的高温がありそれが生育に悪影響を及ぼしていること、2024年5月末から6月上旬にかけて東北地方ではやませによる低温が続き生育に悪影響があったこと、さくらの開花日が早まるとその後の「寒の戻り」で降霜害のリスクを受ける可能性はむしろ高くなる、といったことが説明されました。

(3)池辺豊 会員
スリランカとネパールのお天気

夜ごとに不穏なML投稿でお騒がせの池辺会員より、2024年3月に訪問したスリランカ・ネパールについて、天気に関する事項を中心に話題提供いただきました。スリランカのにある世界遺産のシギリヤロック(高さ195m)登頂時の眺め、ネパールのヒマラヤ山脈遊覧飛行の窓より眺めたエベレストが写真で紹介されました。スリランカは国土の大部分が「熱帯雨林気候」であること、ネパールは標高により様々な気候が分布し最も一般的なのは「湿潤亜熱帯気候」「亜熱帯高原海洋性気候」であり、いずれも夏の南西からのモンスーン、冬の北東からのモンスーンが寄与していることが説明されました。

(4)吉田憲司 会員
早春九州めぐり 異国と神話の地の風景と音から

鉄道を愛する吉田会員より九州の鉄道各線の乗車記録が報告されました。長崎市内の路面電車、鹿児島と宮崎を結ぶ特急きりしま、さらには宮崎県のJR日南線の観光列車について、乗車時に撮影した動画を交え紹介されました。

集合写真


参加者数

例会 対面参加者:44名、オンライン参加者:29名、参加者計73名

トップページへ戻る