第109回(2023/03/04)神奈川支部例会 かながわ労働プラザ 第5,6,7会議室・Zoom

形式:会場とZoomによるハイブリッド開催

【例会内容】

1.招待講演 国立研究開発法人 海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門 アプリケーションラボ
       環境変動予測情報創生グループ 主任研究員 美山透 様
海中天気予報

美山先生の研究グループでは、中緯度の海洋は大気変動に受動的に変動するだけという従来の気候力学の常識を覆し、日本周辺の海洋・海流は能動的に大気に影響する「気候系のhotspot」であるという新パラダイムを確立した。大気の予測と海洋の予測の類似点と相違点についてわかりやすくご説明頂き、応用例として、@過去に比較して長期間続いている黒潮の大蛇行の生成原因、環境への影響と、今後の見通し、A福徳岡ノ場から噴出した軽石の日本近海での 流れ方のシミュレーションが予測に適用できた実例について詳しくご説明いただいた。
また、美山先生が運用する以下の「黒潮・親潮ウォッチ」のホームページでは、2ヶ月先の黒潮(短期)予測を発信している。
https://www.jamstec.go.jp/aplinfo/kowatch/?cat=1


2.予報士会会員発表
(1)池辺豊 会員
「オーロラ観測@フィンランド」

2023年1月25日から2月1日にかけてフィンランドのユッラス、ロバニエミを訪れて、見事にオーロラに出会えたお話をお聞きした。日本周辺に10年ぶりの寒気をもたらした強大な低気圧の効果で、アラスカ上空を通るフィンランドへの飛行時間が1時間半も短縮した話や、フィンランドのスキー、サンタクロースの話などとても興味深いものでした。

(2)横浜地方気象台次長 永井佳実 会員
「〜関東地震100年〜 関東大震災に関する気象の話題」

「大震災」と呼ばれる災害は「関東」「阪神・淡路」「東日本」の三つであり、関東大震災の地震の名前は「関東地震」と呼ばれる。その地震から今年で100年。横浜と東京の被害の特徴、地震直後の天気図作成を神戸測候所が行っていたがその時の天気図の紹介、秦野市の災害遺構などのお話しがあった。横浜地方気象台では現在「関東地震から100年」という特設サイトを設けており、今後さまざまなイベントも行う予定とのこと、是非ご注目ください。

(3)遠藤君江 会員
「石巻の震災遺構をたずねて」

いつかこの目で見たいと思いつつ10年以上が経った東日本大震災の被災地〜仙台、石巻、気仙沼を訪問した記録をご紹介頂いた。各地で遺構として残っている学校の様子や、南三陸町の防災対策庁舎に息をのみ、当時の6年生が、この時の先生の行動がとても印象的で、そんな先生になりたい!と教職に就いたという話に涙した紹介などがあった。ちょうど台風14号進路と重なり心配しつつの旅であったこと、旅行に同行したご家族の話なども会員らしさをうかがわせた。

(4)大井一道 会員
「船員と気象海象」

独立行政法人海技教育機構の紹介があり、船員に求められる広範で高度な知識、学習の中でも気象海象は重要であるとのお話があった。最近の台風下での事故の紹介、波に向かうときの配慮、帆船で帆を操る訓練、低気圧の中での操舵の方法など、きわめて興味深い話があった。航海時の金曜日の夕食にはカレーが出るのか・・・、など、幅広い話をご紹介いただいた。

集合写真


参加者数

対面参加者:35名、オンライン参加者:26名、参加者計61名

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