地球シミュレータ見学会(2019/10/8)海洋研究開発機構 横浜研究所

はじめに神奈川支部の催しに初参加の方の自己紹介、 続いて、JAMSTECの組織と研究設備の紹介があり、 途中、地球シミュレータと地球情報館の見学をはさんで、 3名の研究者の方々よりご講演いただきました。

講演内容

国立研究開発法人 海洋研究開発機構 地球情報基盤センター 地球シミュレーション総合研究開発グループ 主任研究員 大西 領 様
テーマ:街区微気象予測モデルの開発と応用
1.ミクロな視点から見た雲 〜LCSを使った雲粒子の成長に関する研究〜
 粒一つ一つの状態を追いかけるLagrangian Cloud Simulator(LCS)を使い エアロゾルが雲粒・雨粒に成長し、地表に落下する様子を再現する研究の説明をしていただきました。
 雲粒の初期の配置といったミクロ状態の違いが、 マクロな雲の発達の違いとなります。これらのゆらぎを定量化することが、 気象予測の限界を定量化する一歩になるとのことでした。
2.ミクロな視点から見た都市気象−1
〜大気・海洋結合モデルを使った暑熱環境シミュレーション〜
 熊谷スポーツ文化公園のヒートアイランド対策を紹介していただきました。
 公園の地形・建物・土地利用状況・樹木の位置や種類の情報に加え、 樹木による風の影響、蒸散、葉による日射の遮蔽・散乱・一部透過(木漏れ日) などの影響を考慮したモデルでヒートアイランド対策の効果を計算しました。
 公園整備後、日陰が増えヒートアイランド対策の効果が検証されました。
3.ミクロな視点から見た都市気象−2
〜データ科学と予測シミュレーションの融合〜
 深層学習を使って、カメラの画像から雲量や日射、風の強さなどの気象データを 抽出して気象予測精度を向上させる技術の研究について説明していただきました。

国立研究開発法人 海洋研究開発機構 大泉 伝 様
テーマ:スーパーコンピューター「京」と超解像度数値気象予報
〜最先端のスパコンを使うと予報はよくなるか?〜
テーマ:街区微気象予測モデルの開発と応用
 平成26年8月の広島の局地的豪雨を再現するシミュレーション結果を例に 解像度を上げることで観測とよく似た位置に降水帯が再現できたことを たくさんの解析結果の図を交えて解説していただきました。
 今後、さらに解像度を上げたり、アンサンブル予報のメンバー数を増やしたりして 予測精度を向上させ、豪雨に伴う災害のシミュレートにもつなげることを目指し、 100倍の性能を持つポスト「京」の「富岳」で実現していきたいとのことでした。
 最後に、気象学と水文学との隔たりを縮めるべく歩み寄りが必要なのでは?との コメントをいただきました。

国立研究開発法人 海洋研究開発機構 立入 郁 様
テーマ:地球システムモデルを用いた温暖化問題への貢献
 地球システムモデル(ESM)とは、気候モデル(物理モデル)に 生物と化学のモデルを加えて炭素循環と大気CO2濃度を予測できるようにしたものです。
 IPCC第5次評価報告書は、人為起源の累積CO2排出量と気温変化量はよい比例関係にあることを示しましたが、 その比例定数にあたるTCRE(単位累積CO2排出量あたりの気温上昇)にはモデル間のばらつきがありました。
より精緻な気候変動の予測のために、窒素循環などの新しい生物・化学過程の導入や 人間活動に関わる社会経済モデルなどを結合させてESMの高度化を進めていること、 古気候を利用して大きく異なる気候条件でのモデルの応答検証をしていることなど、 温暖化問題への貢献を目指した取り組みについて説明していただきました。

参加者数

見学会27名(懇親会6人)

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