本田台長は東日本大震災発生時に仙台管区気象台で観測課長をされておりました。
震災発生直後から、県や政府の災害対策本部への職員派遣、気象・地震活動に関する資料の提供、
臨時災害放送局の利活用の呼びかけ、物資運搬の支援を行ったそうです。
また、東北地方の観測所のほとんどで観測データが入手できなくなったことに対しては、
可搬型アメダスを設置するなどの対策をとり、3月末までにはほぼ復旧されたそうです。
庁舎が免震構造であったため致命的なダメージがなく、平素より災害発生を想定した訓練を重ねていたため、
パニックに陥ることなく迅速に対応できたとのことでした。
自助・共助のできる「日ごろの備えの大切さ」を改めて感じました。
小林先生は日本の竜巻研究の第一人者で、「竜巻ーメカニズム・被害・身の守り方」、
「ダウンバースト」などの著書があります。会場で販売された小林先生の著書「竜巻−メカニズム・被害・身の守り方」は販売開始後すぐに売り切れました。
今回は以下のようなご講演をいただきました。
▼まずは基礎的なことの再確認
竜巻は積雲や積乱雲に伴う上昇流の渦で、雲底から地表までつながったものをいう。
スーパーセル型竜巻は直径10km程のメソサイクロンの中に、1km程のマイソサイクロンが存在し、
その中に100m程の漏斗雲が形成されるという階層構造を持っている。
これに対して、つむじ風やガストネード、火山竜巻、火災旋風、山竜巻など
非スーパーセル型竜巻は、地上付近で形成された渦がたまたま通りかかった積乱雲の上昇流とカップリングして、
引き伸ばされるといったスーパーセル型とは異なるメカニズムで形成される。
日本で竜巻が発生しやすい時期は9月〜11月で、
これは太平洋沿岸で台風に伴う竜巻や日本海沿岸で寒気の南下に伴う竜巻が増加することが原因となる。
しかし、竜巻の半数は温帯低気圧に伴って発生しているため、特定の場所や特定の時期にというより、
いつどこで発生してもおかしくない。
▼それでは、竜巻から身を守るためには
竜巻の前兆現象として、急に暗くなる、雷鳴が聞こえる、雹が降る、アーククラウド、
冷たい風を感じる、土の匂いがする などが挙げられる。
前兆を知って適切な行動をとれば身を守ることができる。
たとえば、家の中では風の通り抜けないトイレやバスタブが安全な場所といわれている。
▼竜巻観測の現状と今後の取り組みは
日本で観測された竜巻の数は2005年まで年平均20個ほどだったが、
2008年は100個を越えている。
報告数が増えた理由は2005年〜2006年にかけて、
たて続けに甚大な竜巻被害があったことで社会的な関心が高まり、
スマホやデジカメで画像が残されるようになったことが大きく、
統計的に本当に増えているかはよくわかっていない。
ここ10年で、気象庁による現地調査によるデータの蓄積、ドップラーレーダー整備、
X-NETによる水平分解能の向上、さらに密な地上観測網で竜巻を捉える新しい試みがなされている。
これからも、目撃情報や写真などがほとんど残されていない夜間や沖合で発生する竜巻や山竜巻、
まだわかっていないことの多い台風に伴う竜巻や冬の竜巻について、
情報収集そして解明を続けていかれるとのことでした。
▼山竜巻について
山竜巻は写真も動画も撮影されていないそうです。
撮影は危険ですが、運良く山竜巻を撮影された方はご一報くださいとのことです。
たくさんの画像を交えたご講演ありがとうございました。
田家 会員(東京支部)「古気候データベースの利用について」
水田 会員「釧路地方気象台訪問」
平川 会員「2017年アメリカ日食を見に行こう!」
高木 会員「内モンゴル自治区訪問記」
日吉での例会で恒例となっている「寅さん」で懇親会が開かれました。
小林教授や地台の方々にもご参加いただき盛り上がりました。
例会66名(懇親会38名)
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