依頼講演1.
「季節予報の利用と中四国の天候について」
広島地方気象台観測予報課 石津均予報官
地方中枢である広島地台で、中国地方の週間天気予報・季節予報を実際に
発表されている予報官にお話を伺うことができました。
内容はかなり専門的で非常に多岐に渡りました。以下はその一部です。
・2週間先までの天候を予測する異常天候早期警戒情報の的中率はかなり高く、
発表すれば60%の確率で「かなり」の異常天候となり、
それが外れても「高い」または「低い」の範囲に入る確率は90%程度
という好成績。
・季節予報の予測は第1種予測可能性(初期値問題)と第2種予測可能性
(境界値問題)に大別され、第1種は2週間が限度。
1か月予報より長い予測は第2種予測可能性を根拠とするものであり、
海洋などからの外力を受けた大気の応答予測が重要となる。
・H22年から現業モデルとして稼働を始めた大気海洋結合モデルにより、エルニーニョなどの
海洋の予測は大きく改善された。
しかし、中緯度以北の天候はAOなど大気自身が持つ固有の振動の方が優位となるが、
このAOの予想が非常に困難であることから、
3か月予報など季節予報の目に見える改善につながっていない。
依頼講演2.「サニーエンジェルス活動紹介」 エンジェルス1号 Yさん
関東で大活躍のサーエンジェルスを率いる山本様に、結成のいきさつや活動内容などをご紹介いただいきました。
中四国ブロックでもお天気教室は盛んに開催していますが、対象が子供であるのに対し、
サニエンの直接の対象は「ママ」です。とはいえ、その向こうには勿論子供たちがいます。
気象現象の正確な理解は少し犠牲にしてでも、科学の面白さを伝えることに主眼を置いた説明は、
子供たち対象のお天気教室にとっても大変参考になりました。
また、「ママ」の心を掴むクイズや景品など雰囲気づくりの数々、特に実演していただいた
山本さんのママカフェには、講義というより演じることの必要性も感じさせられました。
最期に紹介していただいたサニエンの合言葉は「空を見上げるお母さんを増やそう!」。
日本の未来が明るく思えてくるような講演でした。
話題提供の要旨;
この大雨は西風に伴って松山へ流入した寒気により寒冷前線が強化されて発生したものと示唆された。
降水のタイミングや風向風速・気温等の解析から、この寒気は北海道付近を通過した低気圧から伸びる
寒冷前線の後面からのものではなく、山口県の内陸部に滞留していた寒気が周防灘に流入し、
気温よりも低温だった海面温度により更に低温な気塊が形成されたためである。
また、豊後水道を北上する強い暖湿流が低温気塊の南下を阻み伊予灘方面へ東進させたことも要因としてあげられる。
四国支部 「黄砂の飛来と私の疑似花粉症についての考察」
発表者のアレルギー性鼻炎の原因が花粉によるものではなく、中国から飛来する黄砂や
汚染物質によるものではないかとの疑いから調査を開始した。
自宅で車のガラスに付着した物質を顕微鏡で観察。黄砂らしき突起を持つ白い粒状の物質の他に、
煤やタールらしき黒色の物質も含まれていた。同様の観察を四国の最高峰の石鎚山頂にて、
空気がきれいと思われる夏期に実施したが、黒く汚れた粒状物質が多かったことから、
居住地域の近隣から飛来したものではないことを確信。
発表の中で、日々の視程を調査し自身の鼻炎の重症度と比較した時系列グラフが大変面白い。
山陰支部 「季節予報と防災情報の効果的な伝え方―気象キャスターの立場から―」
季節予報は確率表現が多いため、一般の方には理解しにくく伝え方に工夫が必要となるが、
それ以前に季節予報資料に関する知識がキャスター側に不足している現状がある。
まずは技術研鑽が欠かせない。
その上で、視聴者への説明は専門的な表現を避け絵を使うなど工夫を凝らす必要がある。
また、緊急度の高い防災情報が正確に伝わりにくい現状を重視。
その原因として、雨量や積雪量、時刻など多くの数値がTV画面に並ぶと「情報が散らかる」ことがあげられる。
表や図にまとめて、それも極力数字を使わず絵を利用して一目で情報が伝わるよう工夫する。
色使いや矢印などパーツの利用の仕方がポイントとなる。
広島県支部 「活動紹介・トピックス」
対外活動としては、広島市江波山気象館を拠点とした、こども天気予報や夏休みお天気相談などが活動の中心。
こども天気教室では全体の内容をチャレンジシートとして配布することで正確な理解の促進に役立てている。
また、理科支援事業やHPを通じての依頼に対して講師派遣を実施。更に、本年度から新たに
地台との連携による局地的大雨等の被害軽減に向けた取り組み(防災プロジェクト)が準備段階に入った。
岡山支部 「お天気教室紹介」
主に岡山市内の公民館とアスエコ(財団法人岡山県環境保全事業団)で展開。
内容は大きく2つに分かれ、翌日の天気を予想し発表するスタイルと気象に関する実験を体験するもの。
後者が人気がある。主な実験はペットボトルで雲や雪の結晶を作る、竜巻を作る、
アメダス雨量計を触るなど。参加者は父兄同伴の小学生低学年が多い。
PRは会員の口コミや人脈のみだが、身の丈にあった活動がモットー。
ただし、それでも地方支部としては講師のパワー不足が悩みの種。
今回の報告は 岡山支部廣幡さん(第2回合同例会幹事)が作成してくださいました。
どうもありがとうございました。