上級編 ソメイヨシノを理解して実際の開花の様子を見よう
中級編で、カンザクラ、エドヒガン、ヤマザクラ、オオシマザクラなどの桜との違いを解説しましたので、一般的にはこれ以上は特に気にする必要はないと思いますが、調査ついでにソメイヨシノをもう少しご理解下さい。そして、実際には桜の品種は非常に沢山あり、専門家でも似た桜を見分けるのが難しいほどの多様性があります。これを理解していただくにはソメイヨシノの起源を知ることも大切です。
ソメイヨシノは一般的に江戸時代の終わりの頃、江戸染井村(現在の豊島区)の植木屋から、「吉野桜」と名づけて売り出されたのが最初であるといわれています。しかし、このソメイヨシノの起源については、はっきりと決着がついているとはいえません。桜の研究に力を注いだ竹中要博士(1965年)による、オオシマザクラとエドヒガンの雑種で、オオシマザクラとエドヒガンが共に自生している伊豆半島で発生して、それを植木屋が伊豆から持ち帰ったものであるとする説が有力です。しかし、他にもソメイヨシノは雑種ではなく独立した種あるとする説や、オオシマザクラとエドヒガンの単なる雑種ではなく、複雑なかけあわせで発生したとする説もあります。ソメイヨシノの形質を考えると、葉よりも花が先に展開するという性質はエドヒガンに、そして白色大輪の花はオオシマザクラの形態に似ているといえますので両者のかけ合わせによってできたと考えるのは自然かもしれません。
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