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第1回気象サイエンスカフェ北陸in金沢

ポスター
気象サイエンスカフェ北陸ポスター

平成23年11月6日(日)、北陸3県でははじめての気象サイエンスカフェを金沢市内で開催しました。
以下の通り報告いたします。

名称:第1回気象サイエンスカフェ北陸in金沢
テーマ:金沢が雪の降らない街になる!?〜石川県で”温暖化”を考える〜

日時:2011年11月6日 14:00〜16:00
場所:まめや金澤萬久本店(金沢市青草町 北國銀行武蔵ヶ辻支店内)
講師:皆巳幸也さん
(石川県立大学生物資源環境学部環境科学科 准教授・博士(理学))
主催:日本気象学会中部支部、日本気象予報士会北陸支部
協力:北陸先端科学技術大学院大学サイエンスコミュニケーション研究会

参加費:600円(コーヒーor紅茶とお菓子)
当日参加者数:20人

内容:
日本気象予報士会北陸支部の平松支部長の司会で進めました。冒頭に日本気象学会 中部支部から木平理事(金沢地方気象台長)からあいさつをいただいた後、会場 を提供していただいた「まめや金澤萬久」の山田さんからもごあいさつを受けま した。(ちょっと宣伝タイム)。

前半は講師の皆巳先生から、金沢における近年の降雪の状況と、今後の見通しに ついてのお話しでした。

金沢が位置する北緯36度30分くらいの緯度は、地中海と同じくらい。ところ が、同じ緯度では、同様に標高の低い所と比べて1月の気温は低く、降水量はど こに比べても極端に多いところであり、理由はもちろん「そこに日本海があるか ら」。もともと冷たく乾燥した空気が日本海を渡ってくるうちに、多湿になって しまう。
温暖化で雪はどうなるか。大学敷地内の観測からも平均気温の上昇や積雪深の急 激な低下が確認されている。積雪深は80年代から大きく低下しており、雪が地 表に到達する前に融けてしまったと考えられる。降水量を雨と雪に区分けして比 べてみると分かる。2050年代には金沢市の平野部で雪が降らなくなるという 研究もある。
その結果は、どうなるか。雪がなくなることによるプラスの影響もマイナスも影 響も考えられそう。
雪害はなくなり、除雪の手間もなくなるだろう。その一方、山の積雪がゆっくり とけて長い間供給されていた水資源が枯渇し、水のストックを考えないといけな くなりそう。観光資源とか、低温資源という面でもマイナスがありそう。

コーヒーブレイクの後は、質問や議論の時間となりました。

●雪が少なくなるのはいいかもしれないけど、稀に大雪となった場合、除雪が手 薄になって、急な降雪に対応できなくなるという懸念も。防災面として、備え が手薄になるというマイナスもありそう。
●結局はリスクとコストの関係かな。自治体の予算も少なくなっているので、除 雪で節約した分を大雨対策にまわすとかができるかも。今でも除雪予算が途中 で底をついたという話は多いので、ひょっとすると、予算の二段構えが必要か も知れない。
●白山の雪が少なくなれば、水資源の減少は避けられないだろう。
●個人的には、白山での雪の期間は短くなり、ストックも減るのではないかと思 う。白山をめぐる水循環は現在調査を進めており、今年度中には結果が出そう。
●医療の現場では、住宅の保温が進んだこともあるが、寒くならなくなったこと から、ここ30年くらいの間に、脳出血が減って、脳梗塞が増える傾向がある。
●このトレンドが今後もこのまま続くと決めていいのかどうか。
●IPCCの報告では温暖化が進むと言っているから、雪は少なくなるだろう。
●これまでの冬型の気圧配置がなくなるということか。
●基本的には冬型の気圧配置が現れるというのは変わらないと思うが、南岸低気 圧が多く現れるといったことも考えられる。防災対応は難しくなりそう。
●一発雪、豪雪が多くなると言うことかな。
●冬期の雷は、増えている。
●夏の雷が増えているような気もするけど。
●感触だが、新聞記事などで見ると、気温が上がってきたため、近年北陸の雪は 減っているが、東北・北海道では乾いた少ない雪から、湿った大雪になってい るようだ。白山の雪も一時的にしろ、かえって多くなるのかも知れない。
●雪のエリアが北に移るということかも。
●海水温は上昇しているようだ。海釣りをしていて釣れる魚種から実感している。
●昨年は、氷見で鰤がたくさんとれた。佐渡沖の冷水塊を避けて、富山湾に南下 してきたという説明を聞いたことがある。その前の年には、冷水域がもっと北 にあって、佐渡沖はむしろ暖水域だったので、鰤が富山湾まで来なかったとか。
●気温が上昇すると、蜃気楼が見られなくなるのでは。あと、石川の清酒は白山 の水が頼りなので、酒がまずくなるかも。酒屋は困るな。
●蜃気楼は、海水と空気との温度差があればできるので、なくならないかも。黒 部川の冷水が富山湾に流入して、海水が冷えないとできないという定説があっ たが、最近は他の理由で出来ることも分かってきた。魚津以外、氷見などでも 結構見られる。
●農業関係で困るのは、気温が下がらないので、成虫のまま冬を越す虫が多くな ってきたこと。積雪によるハウスの倒壊は減りそう。石川はスイカの生産が多 いのだけど、気温が高くなると、よく売れるようになるかも知れない。

 最後には、参加者が自己紹介を兼ねて感想やコメントをお話しましたので、 冒頭平松支部長がお願いしていた「必ず一回は発言して頂きたい。」が実現でき、 複数の参加者から「またやって欲しい。」の声を頂き、成功裏に終了しました。

会場風景1 会場風景2
会場風景1会場風景2
皆巳先生 ブンヤさん来ました
皆巳先生ブンヤさん来ました
お茶とお菓子
お茶とお菓子

 事前に報道関係に開催情報を流したところ、地元新聞2社(北陸中日新聞、 北國新聞)が取材に訪れ、翌日の朝刊に記事が掲載されていました。

 最後に、お忙しい中話題提供をしていただいた石川県立大学の皆巳先生、また、 開催に際して参加呼びかけ等ご協力をいただいた関係の皆様に御礼申し上げます。

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