第3回波浪予想勉強会 | |||||
1.平成14年11月9日 | |||||
2.場所:東京文化会館中会議室No.1 | |||||
3.参加:27人 | |||||
4.勉強会概要 | |||||
(1)波浪についての講義 | |||||
(2) 10月13日00Zの外洋波浪図作成 | |||||
ポイント:台風に伴う波浪の予想(主な気象状況は下記) | |||||
・台風22号(990hPa 27.8N,147.1E) | |||||
・H(1026hPa,40N,165E) | |||||
・その間の35Nあたりを東西に前線 | |||||
・また、42N,165Wあたりに970hPaと強い低気圧 | |||||
5.配布資料の内容 | |||||
(1)解説資料 | |||||
(2)予報用資料(数値予報プロダクト他) | |||||
・2日前の地上解析図 | |||||
・外洋波浪予想モデル出力図 | |||||
・極軌道衛星TOPEXデータ | |||||
・沿岸波浪計データ | |||||
6.勉強会詳細 | |||||
6.1 波浪についての講義 | |||||
・波浪の特性概要 | |||||
波の直進性 | |||||
・有義波高と1/1000波の相関関係及びその発生頻度 | |||||
・じょう乱源の波周期が遠隔地に伝播していくときのうねりの周期の変化 | |||||
6.2 10月13日00Zの外洋波浪図作成 | |||||
(1)今回の解析のポイント | |||||
・台風の中心付近の最大波高を何メートルに見るか。 | |||||
・6mと3mの等波高線の大きさと形から解析してみる。 | |||||
・東海沖と茨城沖での向の考察。 | |||||
(2)解析に当たって注意すべき点 | |||||
・高気圧・低気圧の中心線を結ぶ軸の傾きの変化及び気圧傾度の変化 | |||||
・過去時間の高波高域はどこへ移動していっているのか | |||||
・別方向からの高波高域の合流が考えられる場合の高波高域の拡大について | |||||
・予想モデルで高波高長周期の波高域が予想されている場合の、その12時間前の波高をどう考えるか。 | |||||
6.3 解説 | |||||
(1)台風の中心付近の最大波高の予測 | |||||
・前線に沿った東からの吹き込みが予想され、同時に台風の反時計回りの風が重なる。 | |||||
・よって、最大波高の位置は両者の中心を結ぶ線上で台風の北側に予想される。 | |||||
・台風の中心と北部に位置するHの距離は12h前と同じである。台風の中心気圧が5hPa上昇しており、気圧傾度が弱まりつつある。 | |||||
・衛星の20時の波高データは8mである。 | |||||
・よって、最大波高は12h前の10mより下げて9mとする。8mまで弱まるかどうかは今回の資料のみでは判定できない。 | |||||
・その広がりは、モデル結果を参考に十分広くとる。 | |||||
・10月という事で台風の北側に高気圧と前線帯が位置する気圧配置であり、台風単独時での中心気圧と最大波高の統計とは異なる傾向を示す。 | |||||
(2)波高4mの等波高線の予想 | |||||
・中心の西側を通る衛星のデータより、等波高線は、楕円形ではなく、南部がくびれた形と予想される。 | |||||
・東側は35KTを観測した船のデータを参考にその外側とする。 | |||||
・北側はブイの2.4mを参考にその南に引く。ただし、前線に沿った風の吹き込みを考慮し前線上は東へ膨らんだ形とする。 | |||||
・西は、12h前と同じく東の風が変わらずに吹いているので同じように予想する。 | |||||
・SMB線図を使用し風速と吹続時間より波高が推定できる(前回参考)。風が弱まるときも同様に推定できる。この場合、台風が過ぎた後の風速を低く予想しがちなので注意する。(急には下がらない場合が多い) | |||||
(3)波高6mの等波高線の予想 | |||||
・4mの場合と同様に予想する。 | |||||
・すでに予想した8mも参考にする。 | |||||
(4)波高3mの等波高線の予想 | |||||
・佐田岬は3.1である。cos2乗則を考慮すれば、もっと高くなるが、その前後の波高が高くない事。十分高い値であるを考慮して3mとする。(メモ:Cos2乗則は地形を考慮して求めている。波高が低い場合はそのまま適用できるが、高い場合は係数を下げる。) | |||||
・西・南は、台風への吹き込む風を考慮して十分広く予想する。 | |||||
・東は衛星のデータより、より東180E付近の3m域とは切り離す。 | |||||
・ブイ2.4mの南とし、江ノ島が2.6mなので磐城当たり迄とする。 | |||||
(5)東海沖・茨城沖の浪向 | |||||
・江ノ島の時系列データでは上昇傾向になく浪が入ってこないと予想される。 | |||||
・モデルでは台風からの浪が入っているが... | |||||
・前線に沿った東からの風が重要な要素と考えられる。 | |||||
・以上より東北東と予想する。 | |||||
・これまでと同じ傾向が続く気象が予想される。 | |||||
・石廊崎は高くない傾向が続いている。 | |||||
・周期が11秒と長くうねりが主体で台風の中心から浪は主体ではないと予想される。 | |||||
(6)42N,165Wにある970hPaの低気圧付近の浪 | |||||
・ア)低気圧周辺の気圧配置,イ)前日からの発達の傾向,c)ブイのデータ(4m,1312Zには7-8m)より低気圧の南東に8mの浪を予想する。 | |||||
・9m迄発達するかどうかは今回のデータだけでは判断できない。 | |||||
7.感想 | |||||
波浪は地上解析とは違ったアプローチや切り口があって、気象海洋の奥の深さ を感じました。 | |||||
懇親会は、海洋、波浪解析研究の最先端の話をうかがいながら、海への思い入れや関わりなど、楽しい話で多いに盛り上がりました。 | |||||
注)本報告は、勉強会出席者の参加報告を著者の了解を得て転載させて頂きました。 | |||||