波浪の観測方法
波浪の計測方法について調べてみました。
1.目視による計測
- 文字通り人が目視で計測する。
- 風浪とうねりを分けて計測する。波高は0.5m単位とする。
2.沿岸での計測
1)水圧型波浪計
- 原理:水中に圧力計を設置し水面の変位を圧力変化から検出する。
- 海底に設置でき簡便で、波力の影響を受けない。
- 水深が深くなると信号が小さくなり、変位への応答性が悪くなる。
2)超音波型波浪計
3)マイクロ波波浪計
- 原理:超音波の代わりにマイクロ波を使用して水位変位(距離の変化)を計測する。
- 海面上からの観測となる。
- ビームを細く絞れないので風波の微細構造などには適さない。
4)レーザ波高計
- 原理:レーザ光を使用して水位変位(距離の変化)を計測する。
5)電極型波浪計(電気抵抗型と静電容量型がある)
- 原理:水面を切って鉛直に設置した電極の抵抗や静電容量変化で計測する。
- 応答性が良く、電極を細くすると高周波成分も計測できる。
- 実験室ではなく屋外の設置では電極の保守(腐食・異物付着)等の課題がある。
3.船舶での計測
- 上記を船舶に設置すれば観測できる。
- ただし、船の動揺を同時測定して補正が必要である。
- 写真(
海洋気象観測船「長風丸」)
4.ブイでの計測
1)ブイ型波浪型
海面に不動点を設ける代わりに、波面にできるだけ忠実に追尾して運動する浮体の上下動
や傾斜などを内蔵する機器で測定するもの。
2)GPS波浪計
ブイなどの浮体にGPSのアンテナを搭載してGPS信号を受信すれば、ブイの運動を求められ
るので、これから海面の運動を推定する。
5.航空機での計測
- 下記などを航空機に設置すれば観測できる。
- 船舶と同様に動揺の影響を補正する必要がある。
- 速度が速いので経路での空間変動の計測となる。
1)マイクロ波波浪計
2)レーザ波浪計
3)合成開口レーダ
写真(
高分解能航空機搭載合成開口レーダによる汽水域観測:初期解析結果)
6.衛星での計測
1)マイクロ波波高計
衛星真下に発射した実効的に非常に短いパルス電波の遅延時間を測定し、その間の距離を
精密(絶対精度1から2m程度、相対精度は±10cm程度)に測定する。海面では、戻ってき
たパルスの波形の立上がり特性から海面における波高の状態も知ることができる。
2)合成開口レーダ
衛星進行側方斜め下に電波を発射し地表から戻ってくる反射波を受信しその反射波の強度分
布を画像化する2次元映像レーダである。宇宙からでも10m程度が実現可能である。観測対象
は地形・地質、地表粗さ、積雪、土壌水分、植性、海面、波高、海氷、海流、油汚染などさ
まざまである。
3)マイクロ波散乱計
衛星から発射され対象により反射され戻ってきた電波の強さを測定するセンサで、海面、
風速・風向、波浪、海流、海氷、地表面粗さ、降雨などが観測できる。