AZR134  愚問愚答・無理難題(解答(案))
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自分で問題を出していながら、自分で答えられないものがあります。
ご容赦ください。もし、読者の皆様ご自身の解答と異なっていたら、Why ? と問うて見てください。

1.もし、上空の空気を構成する気体の分子数が、地上と同程度であるなら、その空気の温度は
  地上と同程度であろう。しかしながら、上空へ行くほど気体の分子数が減少することにより、
  熱を保持すべき「物質」としての空気の重量が減少する。したがって、熱容量が小さくなる。
  赤外放射により暖められるであろう大気が保持する熱が上空ほど減少する。よって気温が低下する。

2.拙著、P.50[7]補足 を参照してください。
  関連頁として、P.64[2]水の相変化P.66[その他]も参照して下さい。

  この問題の意図は、「露点温度」と言うものを、エマグラムや水の相変化と関連付けして、
  理解していただくことを、狙いとしました。

  厳密な解答は、物理化学的にできるでしょうが、筆者の能力を超えています。

3.この問題は、少々不親切なのです。(いろいろ考えていただくため、わざとそうしました。)
  文中、「気圧」と記述しているのは、空気の気圧のつもりです。水蒸気の圧力を意味していない
  ものとしました。この前提で解答を期待します。

  解答としては、「飽和」と言う真の意味の理解ができていること。すなわち P.66[4-1]注意、
  の箇所の理解ができていれば良し、とします。

4.アリューシャン方面は、「低気圧の墓場」と昔からよく言われるほど、発達した低気圧の棲家
  です。気象科学辞典p.24の「アリューシャン低気圧」が解答になるでしょう。
  すなわち、「アリューシャン列島付近で閉塞して滞留し、アラスカ付近で衰退する、、」そうです。

  アリューシャン低気圧は、南下せず東進するようです。

5.かって、気象の受験勉強の世界においては「渦管の西傾」なる用語が用いられました。現在では、
  「気圧の谷の軸」と言われるようになっています。
  「流体力学で定義されている渦管」は、気象の総観規模の世界においては、観測されるような、
  或いは実体として明瞭に認識されるような現象は存在しないものだと考えられます。

  気象科学辞典p.42-43の「渦度」の箇所に「渦管」が出てきます。読んでもわかりません。

6.定性的な理解の仕方として、以下のように考えました。
  高気圧をひとつの気柱と考えると、仮に倍の重量になったとするとその気柱は、自分自身を支え
  きれなくなり、形が崩れてしまいます。高気圧という存在は、そもそも「重たい」のです。
  例えば、「豆腐」で10階建てのビルを作ることを考えてください。不可能です。一方、低気圧は、
  自分自身が「負圧」なので、いつも周りから押されっぱなしで、形が「バラケル」ことがありません。

7.拙著p.32に記載しましたが、dζ/dt=f・∂w/∂z  である。
  dζ/dt=f・∂w/∂z >0 であるとすると、Δw>0、Δz>0となるべきである。
  一方、p.42 に記載しましたが、ΔP=−ρgΔzである。以上より、ΔP<0 となる。
  
    或いは、P.86 に掲載しましたが、経験則の  Δz=-1.8X10(exp(6)Xdζの式、および、
  高度低下に伴う大気重量の減少が推定されるので、地上で受け持つ気圧が低下する。
  (なお、ΔP=−ρgΔz の式を、上記のΔz=-1.8X10(exp(6)Xdζに代入したくなりますが、
   要注意です。)

8.数値予報モデルRSMやMSMに用いられている格子間隔以下の微小な領域内の渦度は表現できない。
  よって、必ずしも、全て正渦度とは限らない。

9.舌足らずの問題です。しかし、大意は察して頂けたか、と存じます。
  「2」に関しては、拙著 P.31 及び P.116を参照してください。
  渦度の定義 (P.30[2 Why ?]) を思い出して下さい。
  この「2」は、渦回転は平面上のx及びyの「2」方向から構成されることを意味します。
  
10.気象衛星は、同じ位置を保つように自力で姿勢制御しています。
   もし、慣性の法則に従うならば、水平面内および鉛直面内のコリオリ力を受けるでしょう。
   (赤道上では、水平面内のコリオリ力の作用は無いと考えられます。)

11.コリオリ力の作用により、進行方向の右手、すなわち東の方向へ傾いて行きます。
   北上する速度にもよりますが、日本に上陸しないと推定されます。
   という解答が常識です。これで、結構なのですが、P.15最下段の「参考」に記載の
   「慣性振動」のことも考えてください。グルグル回転することも考えられるのです。
    (迷走台風か?)

   問題に「北上する」と記述しましたが、その北上する力の源泉について考えて欲しかったのです。
   台風の北上の力の源泉は何か、私にはわかりませんが、「気圧傾度力」ではなさそうです。
      
      私にとって今後の問題として残るのですが、、「気圧傾度力」のように継続的に力(加速度)が
   かけられて運動する場合と瞬間的に力を加えられて(慣性)運動する場合、とでは運動の仕方に
   相違が生じるのかも知れません。   

12.P.95 にも記述しましたが、私には良くわからないのです。
   「角運動量」はそもそもいかに生じたのか。「回転」と言うことは、ものの動きの本質なのか、
   ということを考える問題です。
   「角運動量保存則」有馬朗人・大槻義彦、共立出版、が考えるヒントになります。しかし、
   この本を読んで理解・納得できるか否かは別問題です。
   
13.自然の状態が「鋭角」になっているとはとても信じられないのです。等圧線が丸みを帯びてつな
   がっているなら、うなずけますが、鋭角すなわちそこで「微分不可能」になっているわけですが、
   私の直感としては、信じられないのです。したがって、明確な回答は持ち合わせていません。
   なお、最近のコンピューター作図では、鋭角でなく丸みを帯びて描かれる、ということを
   聞いたことがあります。

その後、いろいろ思案しました。2003-09/16 現在、
等圧線の屈曲
のように考えています。 


14.日本アルプスの2000m〜3000mクラスの山岳は現地気圧は800−700hPa位でしょう。
   しかし山岳の下の海抜0mの高度においては誰も住んでいない。そこに等圧線が引かれてある。
   アルピニスト達は、海抜0mの気圧配置を地上天気図上に見て、いかなる補正を織り込むべきか、
   このことを考慮しなければならないであろう。すなわち、例えば、地上は高気圧であっても、
   2000m〜3000mの高度では、必ずしも高気圧になっているとは限らないであろう。

15.例えば、P.76 の天気図をご覧下さい。2000m〜3000mの山岳地帯においても、
   山が無いかのごとくに相当温位の線が引かれています。850hPaは高度で1500m程度です。
   何かおかしいと思いませんか。一度、気象庁に聞いてみようと思っています。

16.境界条件と初期値は似ているように思う人がいます。私もそうでした。
   突き詰めて言うならば、初期値の方は時間軸における出発点の値を与えるものであり、
   境界条件の方は(時間とは異なり)、3次元の(位置)空間の場に値を与えるものです。
   いずれも4次元空間の時間と距離の出発点の値を与えるものです。
   (こんな説明は今まで聞いたことがないと、人は言うかも知れません。) 

17.「気圧傾度力」という言葉を何気なく使いますが、前提条件を確かめておく必要があります。
   この問題では、「等圧面での大気の流れ」をあたかも等圧面における「気圧傾度力」があるかの
   様に書いていますが、この問題は、実は問題には不適当なのです。
   「問題として適格性なし」と自信を持って言い切っていただければ十分です。
   なお、そうは言っても一応、p.84問題1を参照して下さい。「気圧傾度力」は、「同一高度」で
   考えて下さい。

18.MOSで数箇月先の予想はできません。したがって、予想できない値を、統計的関係式へ代入することは
  意味がありません。PPM方式は、実況値をベースとして統計的関係式が作られるので、数箇月先の予想値と
  して(過去の)観測結果を用いて、これを統計的関係式に代入すれば、MOSで行うよりは、「ずっとましだろう」
  と考えられます。

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