前線 : |
前線は定義により、大気の密度が変化している所に描かれます。 ΔP=ρRΔT から密度を数値として捉えることが理論上可能ですが、実務上は天気図には表現されていません。 代用特性として、風向・風速、気温、相当温位・湿数を適宜用いて、 それらの密集している部分〈急変している部分) を連ねて前線としているのでしょうか(この辺り、筆者の想像です)。 逆の発想で、もし前線が天気図上に描かれていれば、その付近では 風向・風速、気温、相当温位が密集していることとなるでしょう。 気温や相当温位が密度ρの代用になることは、式の関係より容易に分ります。 また、湿数 T−Td は温度表現そのものです。よって上式の関係に帰着します。 さて、風向・風速は何故、密度ρの代用となり得るのでしょうか。 水平方向の速度差・風向差による大気密度の差は、観測できないくらい小さいものではないでしょうか。 速度差は〈速さの変化がなくても)、 速度ベクトルの水平成分(水平面への射影)を見て分りますように、 上昇流となるところで風速が変化しています。その付近では地表に近い層の大気密度は大で、その上の 層の密度は相対的に小さいと考えられます。よって速度差のある所には前線が推定されます。 風向差は、風向を生じる原因となる大気塊が その背後に存在することを暗示しています。 通常、性質の異なる大気が接します。その性質とはもっぱら気温(従って密度)を指します。 よって、その近傍に前線が形成される事となります。