気象の理論の基礎      AZure QuickLink 詳細リンク MeteoSurf
    Last Updated:1997-10/11,11/06,11/25,12/04,12/29

気象理論理解のための基礎的な知識はこんなものです !

  気象理論の根本となっている、プリミティブ方程式を理解するのに役立ちます。   さらには、これらの式から近似的に導出される、静水圧平衡の式や温度風の関係等を理解するのが楽になります。       ベクトルおよび  微積分        運動  および  回転      力   および  圧力     仕事  および  エネルギー    (勿論、これらの知識が100%なくとも気象の予報は可能です。     自分の納得の程度・限界をどこに置くかによって、勉強の目標を設定すると良いと思います) イントロにも目を通しておいて下さい。      ・はじめに 暗黙の了解事項 気象理論の中心的議題

  ベクトル・数学  
ベクトルやGRAD,DIV,ROTの世界をモノにしましょう。 ベクトルを学習する前に「数式の話」について目を通しておいて下さい。 ベクトルは、大気の「力の釣り合い、形状、動き」を論ずるときにベースとなる基礎的な概念です。 たとえば、「各種の問題」を処理するときにも使えます。 参考書−−−>参照文献 大気の傾圧、収束/発散、回転を数学のちからを借りると 表現・説明が容易になります。 参考書-−−−>大槻義彦著、「div,grad,rot,・・・」共立出版 キーポイント ベクトル解析   高木、より、以下の頁 : ベクトルに慣れる   p.16 なぜベクトル同志をかけ算するのか   p.23 ベクトル積          スカラー積は 力x移動距離で 仕事を表す。内積。F・Lcosθ        ベクトル積は、力x回転半径で、回転を表す。外部へ向かう回転軸、外積の謂われ。F・rsinθ   p.30  場の概念          場の定義・意味........空間中の点を指定すれば値がきまるような量を、場と呼んでいる。                   「場」は、函数fで表現され、スカラ ー場であってもよいし、   p.40            又はベクトル場の1成分であってもよい。        温度場 vs 流れの場   p.41 スカラー場の勾配をあらわす偏微分=grad   p.45 ベクトル場の湧きだしをあらわす偏微分=div...膨張・圧縮とも解釈出来る。   p.49 ベクトル場の回転ををあらわす偏微分=rot   p.53 rot(gradf)=0  gradfにはどこにも回転がないことを表す。        div(rotA)=0   rotAは,自転の強さを表し、膨張や圧縮を伴わない。            divは、膨張の強さを表す微分演算子です。  大気力学入門 栗原、p.1ーp.6     回転する座標系から見た質点の運動を、3次元空間のベクトル場で考察している点がすばらしい。 戻る                    

  微積分 
時間変化を伴う大気の動きを微細化し、また積み重ねて動きを形にします。 即ち、積分形の式は 観測・考察できる物理量(時間、距離、力、仕事等)を           微少部分にして考えた時、それらの微少部分が全体としてどのような           形になるかを知るため、〈即ち一つの形に戻すため、)           微少部分を積み重ねる〈合計する〉ことに相当します。    微分形の式は 時間や距離などの有限な形や量〈人間が知覚・観測・観察できる量)を、           無限に小さくしてその時の変化率や傾きを表現し           対象物の動きや形の特徴を考察・推定しようとするものです。    「微分」と「積分」はこのように物事の動き、変化を考察するとき、           表裏一体となる「分析と統合化」の一つの手法です。    いずれにしろ、「形や動きは、即ち全体として或いは個として認識されるものは、           微少部分から構成され、分けられた微少部分は、また全体を再構成出来ます。」    方程式の中の 一つ一つの項は、全体・個・部分 に関する それぞれの意味を有しています。    

  運動  
   大気の運動・力の釣り合いは、その運動空間に座標を設定し、全体と部分に分けて     微分・積分の式で表現されます。 論ずる便宜のため、 直交座標系 (直線的な運動をX,Y,Zの3軸方向で考えるとき)....「慣性座標系」とも言う?? 気圧座標系〈気圧を1つの軸として考える;鉛直P速度のとき) 回転座標系 (コリオリ力等回転を含む運動を考えるとき;角度が入ってきます)    等の座標系を使い分けします。   参考−−−>「極座標と回転座標の違い」  キーポイント力学、吉田、p.106 等。

  回転 
大気が直線運動するときは、比較的理解が直観的にできる場合が多いですが、 回転が入って来ると、とたんに「目が回ってしまいます」。    地表面に接するところの水平面上に垂直な軸のまわりの回転運動が基礎となります。    慣性座標系と回転座標系での物体の運動の表現方法を理解すること。    回転座標系における「見かけの力」が何ゆえ現れてくるかを、    たとえば−−−>問題、コリオリ、        −−−>みかけの鉛直を参照して下さい。    なお、直線運動においても、「みかけの力」は現れてくるのです。        −−−>みかけの鉛直を参照して下さい。  目次へ戻る
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     「力」とは何か

        ・ 自然界には、4つの基本的な力がある。         ・ 重力・電磁力・強い力・弱い力          (広瀬立成著「現代物理への招待」p.40、より)         ・ 気象における大気はもっぱらこれらのうち、重力の作用をうける。           このことにより、大気の重量が測定出来、気圧として観測されます。         ・ あらゆるものは、引力で引っ張り/引っ張られます。         ・ 私達は、地球上では地球の引力(即ち重力)の作用を           ものの目方(重量)として実感します。         ・ 実感する「力」を、「秤」を使用して観測・実測でき、           客観的な議論の場に持ち出すことができる様になります。         ・ 引っ張られることは、押すことの別の表現でもあります。           (子供さんを肩車するとき、体を持ち上げますが、            これは、押し上げることに他なりません)         ・ なお、コリオリ力や遠心力はどこから発生するのでしょうか。           これらは地球が回転運動をしていることに由来する力ですが、           そのような力が実在するものではありません。その力を実測することも出来ません。           運動の軌跡が、あたかも外力が加えられたことによるかのように見えるだけです。         ・ なんとなく腑に落ちない ! そうですね。低気圧などの回転の力はどこから来たので           しょうか。南北の温度差もあるでしょうが、地球から角運動量を得てそれが回転の           エネルギーになっているのではないでしょうか。....このあたり工事中です。              なお、これらの地球規模的な力以外に、局部的には風のShearによる渦も           考える必要があるかと思います。


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     「圧力」とは何か?
戻る         ・ 圧力は力と混同されて用いられることがありますが、           単位面積当たり作用する力のことです。         ・ 例えば、10トンの砂利を積載しているトラックの荷台が           10平米あるとすれば、圧力は1トン/平米となります。               ・ 力は、絶対数・全体数を表現するときに、           圧力は力の程度・強さの比較をするときに使用します。
     「気圧」とは何か?         ・ ある容量の大気は重量をもっています。         ・ この大気の重量を、それをうけもつ面積で割り算すると           単位面積当たりの重量となります。         ・ なお、鉛直方向に大気の挙動を論ずるときは、              単位面積当たりの大気の重量を、              水平方向に大気の挙動を論ずるときは、              単位面積当たりの大気の押す力を           用います。         ・ 地上では、気圧と言う物理量はなかなか実感出来ませんが、           (高山や水中で感じますが...)           「気圧計」を使用して観測・実測でき、客観的な議論の場に           持ち出すことができる様になります。         ・ 重量も、押す力も同じ作用の異なる表現で、本質は同じです。
     何故「気圧」を問題とするのか?         ・ 天気の変化 = 気圧の変化         ・ と言う方程式が成り立つくらい両者は密接な関係により           結ばれています。         ・ じつは気圧の絶対値が問題対象になるのではなく、           その変化量が問題となります。 変化量の程度により、           大気粒子の4次元的空間座標が決定されることとなります。         ・ 即ち、高低気圧の位置や風向・風速等がきまります。         ・ これらの気象要素は、天気と密接な関係があります。         ・ なお、気象の世界では、問題とする地点を特定してこの変化量           を求め、「移流」と言う言葉で表現します。          (注:「移流」がなければ天気の予想も不要となるでしょう) 気圧のパラドックス 底面積1平方mの立方体の容器に300K,1気圧の大気を封入する。      立方体内外の空気の出入りはないものとする。      今、容器の温度を30℃低下したとする。       気体の状態方程式 P=ρRT より、容器内の圧力はおよそ0.9気圧となる。       一方、容器内の大気の重量は不変であるから、底面にかかる重量は、温度変化にかかわらず       変わらないはずである。従って気圧は低下しないはずだが、何故低下したのか。 皆さん、考えて見てください、 ヒント: P=ρRT  と ΔP=ρgΔZ の2式を成立させる条件、                              2式が成立する条件の相違をクリヤーにして下さい。 これらの式が、本質的に、なにを表現しようとしているのかを思い出して下さい。
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    「仕事」とは何か 戻る

        ・ 仕事とエネルギーは本質的には同じものです。         ・ 例示してみます:           ・子供さんを肩車するとき、体を持ち上げます。            このとき、親は子供の体重と重心の移動距離(上昇高さ)の            積だけの仕事をした、と言います。           ・一方、子供は地上から持ち上げられて、その高さ分だけの            位置エネルギーを得たことになります。           ・この両者は等しいです。         ・もうひとつの例示:           ・ 大気が断熱膨張するとき、             圧力p、面積s,半径増加rで             まわりの大気を押した(膨張した)場合             力=p・s             移動距離=r             ゆえに、仕事=(p・s)・r                   =p・(s・r)                   =p・V   ...Vは体積膨張分。           ・ この時周りの大気は仕事を作用された結果、             温度上昇します。(潜熱と言うエネルギーを受けたため)           ・ 理想気体の状態方程式 : pV=nRT は             圧力・体積・温度の関係を表現してくれていますが、             見方を帰れば、「仕事やエネルギー」を表現している             ことに気付きます。


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        ・ 何かをする能力のことです。         ・ 必ずしも動きを伴うとは限りません。         ・ 位置エネルギーは英語では、ポテンシャルエネルギーと言われ、           潜在性に着目した表現がなされています。         ・ 動きのある物体は運動エネルギーを保有しています。、         ・ 渦運動のエネルギーも含めて、全体としてのエネルギーが           時間経過にかかわらず保存されます(一定です)。         ・ エネルギーの総量をオールインワンで観測・測定することは           困難だと思いますが、「温度、速度、距離・高度」 を           実測することにより、計算で求めることができます。   戻る

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