16  気象業務法の本文解説
17  A*1  気象業務法の目的
                                                                   目的達成の主要項目:                             1条 気象業務法の目的を定めています。 (業務法にはWMO条約、ICAO条約等の上位の法規の存在があります)        2条 気象業務・用語の定義       3条 気象庁長官の任務   4−12条 観測業務に関係する基本的な事項                                      観測実施   発表、          検定・型式             省令      13−15条 予警報             関連法規(予警報規定、災対法、水防法、消防法)と      密接な関連のもと運用されます                                                                           17−22条 民間の気象業務−−−>申請の種類,気象予報士制度,予報業務の許可認可 
18  A*1 気象業務法の目的(法1)
                              法1 気象業務法の目的        この法律は、気象業務に関する        基本制度を定めることによって、                気象業務の健全な発展を図り、もって                災害の予防、                交通の安全の確保、                産業の興隆等                公共の福祉の増進に寄与するとともに、                気象業務に関する国際的協力を行うことを                目的とする。       気象業務の寄与:         一般の不特定多数の人々を対象とするだけでなく、         船舶、航空機、鉄道、電気事業等の         個々の固有の事業をも対象とします。         さらには、国際的協力にも寄与します。         災害予防      一般の利用のための予警報                   災対法                   水防法                   消防法         交通        鉄道                   船舶                   航空機         産業        電気事業                   農林水産業                   二次、三次産業                   その他         国際的協力     WMO                   ICAO等          −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *1            目的
19  A*2  定義(法2)
            用語の「定義」(定義の範囲外も要注意)      「気象」とは、   大気(電離層を除く)の諸現象をいう。(*24      「地象」とは、   地震及び火山現象並びに気象に密接に                関連する地面及び地中の諸現象をいう。(*24      「水象」とは、   気象又は地震に密接に関連する陸水及び                海洋の諸現象をいう。        (*24      「気象業務」とは、 次に掲げる業務をいう。               一 気象、地象、地動及び水象の観測並びに                 その成果の収集及び発表                    二 気象、地象(地震及び火山現象を除く。)                 及び水象の予報及び警報                    三 気象、地象及び水象に関する情報の収集                 及び発表               四 地球磁気及び地球電気の常時観測並びに                 その成果の収集及び発表               五 前各号の事項に関する統計の作成及び調査                 並びに統計及び調査の成果の発表               六 前各号の業務を行うに必要な研究               七 前各号の業務を行うに必要な附帯業務      「観測」とは、   自然科学的方法による現象の 観察及び                測定をいう。           (*24〜*26      「予報」とは、   観測の成果に基く現象の予想の発表をいう。                                 (*38      「警報」とは、   重大な災害の起るおそれれのある旨を                 警告して行う予想をいう。     (*38      「気象測器」とは、 気象、地象及び水象の観測に用いる器具、                器械及び装置をいう。        *24~ 観測を参照して下さい *38 予報・警報を参照して下さい      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *2            定義
20  A*3  気象庁長官の任務(法3)
               一 気象、地震及び火山現象に関する       法3         観測網を確立し、及び維持すること。      気象庁長官は、   二 気象、津波及び高潮の予報及び警報の      第一条の目的を     中枢組織を確立し、及び維持すること。      達成するため、   三 気象の観測、予報及び警報に関する      次に掲げる       情報を迅速に交換する組織を確立し、      事項を行うように    及び維持すること      努めなければ    四 地震及び火山現象の観測の成果を      ならない。       迅速に交換する組織を確立し、                  及び維持すること。                五 気象の観測の方法及びその成果の発表の                  方法について統一を図ること。                六 気象の観測の成果、気象の予報及び警報                  並びに気象に関する調査及び研究の成果の                  産業、交通その他の社会活動に対する                  利用を促進すること。       例示−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      気象庁長官の任務として規定されている項目は、例えば      次のように実現されています。          観測網         (*34観測網          中枢組織        (*69COSMETS等        気象情報交換      (GTS          地震情報交換      (EPOS,ETOS          気象情報利用      (気象業務支援センター                                   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *3          長官の任務                                  21 
21 A*4 気象業務法の構成
      気象業務法の構成 :                     気象業務法は 1〜50条から構成されています。          上位の法には、WMO条約、ICAO条約等があり、       下位の法には、政令・省令等があります。               災害関連の法規として、水防法・消防法・災害対策基本法等があります。                                                            気象業務法 :                      ・1条の記述が最上位の目的・趣旨に、          ・長官の任務(3条)が従たる目的となります。              従の従たる目的として:                      ・観測・予報・警報の現業、                  ・民間の気象業務、                      ・気象予報士、                        ・無線による発表。                     さらに従たるものとして:                    ・気象測器検定、                       ・型式証明、                         ・支援センター業務、                     ・罰則等が規定                  されています。                     政令、省令等の関連規定で細則をさだめています。                     −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *4             構成  
22 A*5 気象業務法の関連法規 
           気象業務法の関連法規                ・ 気象業務法施行令(政令)     *       ・ 気象業務法施行規則(運輸省令)  *       ・ 気象庁予報警報規定        *       ・ 気象等証明及び鑑定規則      *       ・ 気象測器等委託検定規則      *      及び、       ・ 災害対策基本法          *       ・ 災害救助法                    ・ 水防法              *       ・ 消防法              *       ・ 世界気象機関条約(WMO)            ・ 国際民間航空条約(ICAO)           ・ 海上における人命の安全のための条約(SOLAS)      並びに、        ・ 環境公害法---->環境基本法(1993年??交付、施行)        ・ 公害対策基本法(廃止、1993年??)        ・ 大気汚染防止法        ・ 公害防止条例        ・ 自然環境保全法        ・ 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する規制法                 ・ウイーン条約                 ・モントリオール議定書        ・ 交通安全対策基本法      等あります。      当書では、法令の目的、及び相互補完関係の理解のため、      気象業務法および業務法に密接に関連する      *の法規を主な対象とします。      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *5          関連法規  
23   A*6  国際的協力のための条約

      気象業務は、もともと世界規模的な協力関係を必要としますが、       ・ 世界気象機関条約、       ・ 国際民間航空条約、       ・ 海上における人命の安全のための国際条約       これらの諸条約への加入により、       関係条項を国内法として制定する必要が生じ、       気象業務法制定の大きな理由のひとつとなりました。                                       ICAO、WMO条約を付録4に抜粋・掲載しました。
    A*7  国際的協力のための国内法       世界気象機関条約(WMO)、       国際民間航空条約(ICAO)       により、気象業務法として対応制定された条文は、       法1   この法律は、・・・気象業務に関する            国際的協力を行うことを目的とする。        14  船舶、航空機に対する予報・警報をすること        16  航空機に対する航空予報図を交付すること        25  外国の気象機関、船舶、航空機に対し            無線通信で、気象の観測成果、予報警報事項等を発表       であり、さらに国際的協力を実施するための国内上の       必要のため、船舶、航空機に対し次の規定を設けました。       法7   一定の船舶に気象測器の備え付け及び            海上から気象観測成果を報告させること        8   一定の航空機から気象の状況を報告させること        41  一定の船舶に対し、気象業務に関する報告をさせること                    付録1、付録4を参照して下さい      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *6〜*7       国際的協力
24   A*8  気象業務関連事項の歴史
     ここで、気象業務関連事項の歴史を簡単に見ておきます。     (各行、左端の数字は1996年を起点として、何年前かを示す)      121 明治 8年 東京気象台、気象業務開      113   16年 初めての天気図作成       112   17年 天気予報開始      111   18年 IMO参加      109   20年 法的根拠、気象台測候所条例       75 大正10年 海洋気象観測開始、神戸、海洋丸3t        73   12年 関東大震災          72   13年 ラジオで天気予報開始         66 昭和 5年 航空気象業務開始        63    8年 三陸大津波          62    9年 室戸台風        51   20年 枕崎台風          50   21年 天気相談所開設          48   23年 消防法         47   24年 水防法         44   27年 気象業務法制定         43   28年 テレビで天気予報開始         43   28年 WMO参加         37   34年 数値予報を、IBM704で開始           35   36年 災害対策基本法          31   40年 富士山頂レーダー          22   49年 地域気象観測システム、アメダス          19   52年 静止気象衛星、GMS、ひまわり         8   63年 気象資料総合処理システム、COSMETS         3 平成 5年 エルニーニョ監視センター        3    5年 気象予報士、気象業務支援センター関係、法改正 2 6年 津波地震早期検知網         1    7年 兵庫県南部地震                        「災害は、忘れないうちにやって来ます」。気象の観測技術、      予報技術、利用技術は不断の努力で改良・発展されて来ております。      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *8             歴史

QuickLink