気象予報士のための
   気象の計算   
                      1995.6.23(金曜)                       佐藤 元                                   0      気象の計算問題 における全体的な見通しを良くし、個々の事項の      位置付けを明確にするため、下記1〜6に 計算関連項目を分類      してみました。                             1. 大気の 静的な平衡状態      2. 大気の 動的な釣合い状態      3. 大気の 熱エネルギーの平衡状態      4. 上記1〜3の複合した状態      5. 1〜4のための観測      6. 予報と予報の限界
                                      1−1  大気の圧力
     問題: マグデブルクの半球(直径34CM)。
         引張るのに、馬16頭必要であった。
         人間では何人必要か。
         ただし、一人あたり 20Kgの力で引張ることが
         できるものとする。

     地上気圧は 10トン/m2  とする。
     計算:            大気圧が球を押す力         =π(34/100/2)2 x10x103         =890Kg                           890÷20=44.5......片側 45人                           両側 90人      ポイント:  力、圧力の定義
                                1−2
     1−2  大気の圧力                    

     問題: 1010hPaの時の潮位と、台風時 960hPa
      の時の潮位の差を求めよ。
      太陽・月の引力による朝汐は考慮不要。
     計算:      海水面付近の大気密度=1.2Kg/m3      海水密度=1010Kg/m3      △P=ρg△Z      =50hPa      =50x102  Kg/m・s2      力=N Kg・m/s2      圧力=単位面積あたり力        =N Kg・m/s2 /m2      潮位上昇分を△Hとするとき、      △Hx1x1010x9.8=50x102 x1      △H=0.49m      ポイント: 力、圧力、重量の理解
                                
          1−3
     1−3  海面更正

     問題: 1995.1.10,松本(ステーション#618,標高610m)
         における 現地気圧が 936.7hPaであった。 
         海面更正値を求めよ。
         松本の気温=1.9℃、
         気温減率=6.5℃/kmとする。
     計算: △P=ρg△Z               式1           P=ρRT                式2          △P=(Pg/RT)/△Z         式3       海面上の気温=6.5x0.61       平均 温度 =273+1.9+6.5x0.61/2       R=283, g=9.8, P=936.7       Z=610, T=277       を代入して、        △P=72.2       ∴ P=72.2+936.7          =1008.9            (気象庁月報では、1009.9である)      以上は、近似解です。             厳密には、測高公式によります。                   式1,式2,式3より        P0 /P1 =−g/RΓ・loge T0 ・(T0 −ΓZ1 )                  suffix0は海水面を表す        注) w=T0 −ΓZ とおき、           dw/dZ=−Γ           Z=0 で w=T0           Z=Z1  で w=T0 −ΓZ1  から上記公式導出
             
                                1−4
     1−4  層厚

     問題: 飛行機が、地上 1000hPa,15℃から上昇して、
         高度計指針が 950hPaになった。
         飛行機の高度を求む。

         Γ=6.5℃とする。
      計算:       1. 大気の平均密度が与えられている場合。       2. 平均気温を用いる場合。       3. 測高公式による場合。       の3通りの解決法があります。       1. は △P=ρg△Z を、       2. は P=ρRT と上式を、          使う。      ポイント: △P,P,△Z,T等は 何のどの部分を指して            いるかを理解。

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