低気圧の渦巻きや台風の進路が右へずれること等の力の源泉は、 大気が自転している地球上で移動(運動)することにより、見かけの力を受けるためです。 この見かけの力の発生のメカニズムを、定性的にかつ理論的に完全理解することは、気象予報士にとって 大変重要な事です。 ここでの問題提起の目的は、この完全理解にあります。
完全理解にいたる戦略 : 1.考え方の筋道を立てること。 順序だてて理解しないと、話が込み入って 「何がなんだか分らなくなる」ので要注意です。 (筋道を立てるため、試行錯誤的思考が必要) 2.どう言う立場で「回転」と言う言葉を使うかを 意識・認識して議論をすすめること。 云うならば、「天動説」と「地動説」の立場 見たいなものです。 3.見かけの力とは、一体何者か。定性的に納得 すると理論的理解が楽になるであろう。 天動説: 私たちには大地は静止しているように見えます。 [回転座標系での議論が必要となります) 地動説: 大地は球面上の接平面であり、地球外から眺めると 接平面は2方向に回転していることが分ります。 ・一つは、地軸まわりの回転です ・二つ目は、(分りにくいですが)天頂に向かう軸まわり すなわちZ軸まわりの回転です。 (慣性座標系での議論となります)
・地平面上で運動しないで、静止している物体は、 大気粒子も含め、全て見かけの力を受けません 静止している物体は、慣性の法則により永久に静止します。 ・一方、地平面上で運動する物体は、 それが何であれ見かけの力を受けます (ミサイル、新幹線、野球のボール、大気の流れ、海流等) ・野球選手の打ったホームラン性のボールは、 ポール際で数Cm右にずれる、と言う計算結果があります