Return Home 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表 「気象実験クラブ」入会案内。気象実験(#A0)
実験の様子を写真で紹介します。
実験項目および内容は、随時追加、修正、改良しています。 Originated 2008-08/08 Last Updated 2008-08/30,09/30,10/22,11/30,12/29, 2009-1/23, 6/22
EXPMA0 ビル風 建物に風が当たると、流れはさまざまに変化する EXPMA1 ベナール対流 EXPMA2 カルマン渦 流れの中に障害物があるとき、障害物の後方に渦列ができる EXPMA3 流れのかたちを見る 流れの中に障害物があるときの流れの変化 EXPMA4 御前崎の風 地形効果を実地に検討します EXPMA5 ダウンバースト 落下してくる風の流れです EXPMA6 無重量空間 重さを感じない空間をつくる EXPMA7 スイングバイ (磁石、鉄の玉)運動している物体への力の作用。力積。惑星の重力を利用して衛星軌道を変えるアイデア EXPMA8 風速の予測 (コンピューターシミュレーション)風向・風速を決定する要因を考えます EXPMA9 スピンダウン (ビン、茶がら、水) |
空箱で代用した建物(障害物)![]() |
線香で定常流を作る
|
流れの変化1![]() |
流れの変化2
|
ベナール対流(細胞状)
| ベナール対流(流された状態)
| ベナール対流(穏やかな日の雲)
|
ベナール対流
| 高層にできた雲![]() |
カルマン渦は冬季、北寄りの季節風のあるときにその風下側に形成され、
時々、JMA(気象庁)の気象衛星画像に写っていることがあります。
実験的にカルマン渦を作ってみましょう。
棒の直径や、棒を引く速度を様々に変えると渦ができます。
流れの中の障害物の後方には、渦が形成されることがあり、この渦が雲の形や、
構築物の振動問題を引き起こします。
#A21 実験タイトル=カルマン渦
#A22 実験の狙い=カルマン渦をつくる
#A23 実験装置の製作 and/or 準備
・アルミ箔、小さく平たい容器、大きい平たい容器(直径30cm程度の洗面器など)を用意し、水を張ります。
・細い棒を水につけて、横に引いてみます。棒の後ろに渦ができます。
#A24 実験の実行と結果
・洗面器や浴槽の水面に渦を作ります。
#A25 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・水面上の渦は目に見えますが、そのまま写真に撮っても渦の形は明暗・濃淡に乏しく、ほとんど分りません。
・「可視化」するため、例えば、水面にアルミ箔を浮かべると、流れの軌跡が写真に写り易くります。
このとき、背景を暗くし、光線を当てる角度を変えて、反射光を得易くします。
・別の方法として、日光の下で実験すると、波や渦が影となって洗面器の底に投影されるので、これを写真に撮ります。
#A26 実験の解説 and/or 関連実験
・川の流れの中にも、橋脚や大きな石の下流に渦ができています。
・渦のサイズのおおよその目安をカルマン渦の場合に関して、各種の文献を調べると
障害物の直径=Dとするとき、出来る渦のサイズ≒D、波長 a≒5D、渦列間隔 b≒1.4D、
継続距離 L≒50D、となり、流速に応じて、安定的な渦や乱流の渦が形成されます(*1)。
#A27 【追加実験、考察等】
・次の手順で、下図のような渦ができました。(*2)
・実験道具・材料=洗面器、水、墨汁、割り箸、習字の半紙など。
・手順
1.水面に墨汁を一滴垂らすと、墨汁が水面に広がります。
2.割り箸を適当な速度で動かすと渦や線が出来ます。
3.素早く半紙を水面に付けます。
4.渦を描いている墨汁の軌跡が半紙に転写されます。
5.濡れている半紙を水洗、乾燥後、スキャナーにかけてファイル化します。
(注意! 畳の上に墨汁などこぼさないこと。又、洗面所等墨汁で汚さないこと。
これに反すると、家人から非難されること必定です)
・追加的情報:
川の流れの中や、もっと大きく気象衛星写真でも済州島、屋久島、利尻島等の
風下側に見ることが出来ます。 リモートセンシングシリーズ「気象」、小平、P.93に
カルマン渦に関する簡単な紹介文がありましたのでここに抜粋・ 転載させて頂きます。
1. 30 m の高度で測定した島の直径をd、山の高さをhとすると
0.04<h/d<0.14 の島で発現している。
2. 地上天気図で等圧線が発散している西高東低の気圧配置。
3. 逆転層の下にあって 0.5〜2.0 km の高さの層積雲。
4. 計算された一般流の風速は 7〜10 m/s。
5. 長さは 600〜800 km で方向はこの領域の一般流を示す。
6. 渦の半径は11〜18 km。
7. 渦列のLife Timeは 24 時間以内。
・流体力学の教えるところによれば、流速U、流れの中の物体の直径D、
周波数f、定数St とするとき、f=St・U/D です。(Stは、ストローハル数 St=0.2)
・細い電線に風が当たるとき、 U= 10 m/s、D=2mm として、
f= 1000 Hz でやや高い音が出ます。
・済州島をつつんで流れる気流の下流にカルマン渦ができることと、風呂の浴槽の中で指を
使って渦を作ることとはサイズこそ違え、流体にとっては同じ話です。即ち、島の周りを
大気が流れることと、 静止した浴槽の湯の中で、指を動かすこととは、同じ効果になります。
・島に風が当たるとき(下図)、U= 10 m/s、D= 2000 mの時、f= 0.001 Hz 非常に低周波です。
周期T= 1/f = 1000 秒(約16分)、渦と渦の間隔は、10x1000= 10000 m = 10 Km となります。
(数式は、拙著、天気図と気象理論のP.23 より、U=λ・f)
日野幹雄著「流体力学」P.166-169 にカルマン渦の説明があります。
(*1)拙著、大気の流れ、P.85より引用
(*2)拙著、天気図と気象理論、P.98より引用
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#A32 実験の狙い=流れの形が変化するさまざまな事例を知る
#A33 実験装置の製作 and/or 準備
・地形と流れの組み合わせ、いくつかのモデルをつくる。
#A34 実験の実行と結果
・空気が山や建築物に衝突すると、空気の流れが変わります。その変わり方は、
様々な形となります。以下拙著シリーズ#1からの流れの形の抜粋です。
流れの形(層流と乱流、反流と逆流)
流れの形(主流の変化)
流れの形(二次的な流れ)
流れの形(二次的な流れ)
流れの形(都市部の気流)
#A35 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・見えない流れを見る方法:透明=不透明にする・粒子を混ぜる
・遠くにあるものも見えない=Web-cameraを使うと現状を見ることができる
・小さすぎるもの・大きすぎるものも見えない
・これらをいかにして、目に見えるようにするか。。。
・水の中に少量のアルミ粉末を混入し、水槽で流れを作ります。障害物を
置くと、後方に渦が見えてきます。光の当てかたを工夫し、カメラの
シャッタースピードを適宜にするとアルミ粉末の軌跡としての渦が写ります。
#A36 実験の解説 and/or 関連実験
・地形のモデルをいくつか決めて、空気や水を流し、流線、流跡線等を求める。
・流線、流跡線、流脈線に関しては、こちらを参照してください。
#A37 【追加実験、考察等】
・風の吹く現地に出向いて、実地の地形の中で、風を見てみよう。→実験#A4、御前崎の風
・さまざまな地形モデルを作って(障害物の形状、配置、間隔をいろいろ変えて)、流れの形を観察しよう。
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観測データの比較
風下側の漁港に設置されている風車
#A43 実験装置の製作 and/or 準備
・現地の地図をインターネットで探した。
・現地で、移動が容易にできるようにするため、JR静岡駅前のレンタカーを利用した。
・余裕をもった行動をするため、および宿の主人などからの情報収集のため、
現地の灯台下の旅館に1泊した。
・測候所訪問の事前予約を行った。
#A44 実験の実行と結果
・現地で、短時間のうちに、風の強弱を比較することはできなかったが、
帰宅後、灯台および測候所の風に関するデータを集め、グラフ化した(下図)。
・灯台(台地の端、断崖のすぐそば)と測候所(台地の中央部)はごく近くに設置されてありますが、
同時刻の風を比較すると有意な差が見られることがあります。
・すなわち、断崖のそばは風が強くても、台地の中央部では風が弱いことでした。
#A45 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・現地訪問に際しては、事前に現地の地形を把握するため、上記のような地図を作成した。
・見るべきポイントを模索し、風の状況が数値的に検討できる地点を決定し、かつ訪問した。
#A46 実験の解説 and/or 関連実験
・地形により空気の流れ(すなわち、風)の変化は、実験A3 流れのかたちをみるで若干述べましたので、
参考にして下さい。
・上述の実験結果に関しては、短時間、短期間のデータだけでは結論めいたことは何も言えません。
#A47 【追加実験、考察等】
・地形と風は、現地の生活空間、自然空間を長年月にわたって強制力として、存在してきて、
今その姿があります。見るもの、聞くもの全て、これ気象の検討話題となります。
・ちなみに、地域に卓越する風は、ウインドローズ(風配図)と言う描きかたで表現されます。
風配図に関しては、拙著「大気の流れ」の中の、風の道の話に紹介しておきました。
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この様子を実験的にシミュレートしてみましょう。
#A51 実験タイトル=ダウンバースト
#A52 実験の狙い=落下する空気が地面に衝突した後の形状を見る。
#A53 実験装置の製作 and/or 準備
・透明な容器、水、牛乳、茶碗
#A54 実験の実行と結果
・容器に水を入れ、茶碗に牛乳を入れます。
・茶碗から牛乳を落下させると、容器底面にあたり、四周に散開します。
・水平方向(横)からみると、上の写真の左の様に横方向に広がっていきます。
鉛直方向(真上)から見ると上の写真右の様に四方八方に(円形に)広がっていきます。
#A55 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・牛乳の量や茶碗の高さを試行錯誤的にかえて、散開する様子が最適な所を見つけます。
#A56 実験の解説 and/or 関連実験
・寒冷前線と同じく重力流の一種です。
#A57 【追加実験、考察等】
・牛乳の代わりにドライアイスの煙を落下させても同様の形を見ることができます。
ただし、目ではよく見えても写真の写りはよくありません。(下の写真左)
・台所の流しや洗面所で、水道の栓をひねると水が落下し、シンクに当たって、
水が円形になって散開します。このときにも半径方向の断面形状は、同様の形状となります。(写真中)
・また、平らな容器に水を入れ、中心付近から容器の壁の方向に流れをつくると、
流れの形は、写真右のようになります。(カルマン渦もできています。)
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#A63 実験装置の製作 and/or 準備
・1.5Lの円筒形のペットボトル、ボールを用意する。
・ペットボトルの底部を切り落とす。
#A64 実験の実行と結果
・ペットボトル全体を鉛直に、しかも頭部を下にして、ボトルの上部・中央からボールを落とす。
ボトルは静止しているので、ボールのみ落下することを確認する。(写真左)
・次に、ペットボトルの上部にボールを保持し、両者を同時に手放す。
この落下中、ボールはペットボトルに対して、相対的に位置を変えていない。(写真右)
・ボトルが着地したとき、後追いでボールがペットボトル内部の頭部に衝突する。
#A65 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・鉛直落下距離は、1m程度が望ましい。部屋の中で容易に観察できるからです。
・連結したボトルの先端からは、空気が入らないよう蓋をしておくとよい。
・ペットボトルを2本連結すると、相対的位置の差が見やすくなります。
#A66 実験の解説 and/or 関連実験
・物体が重力によって落下しているとき、地球の重力はかかっていますが、
秤で重さを測ると、目盛りは0を示します。
#A67 【追加実験、考察等】
・秤に物体を乗せたまま全体を自由落下させるとき、「無重量空間」となり、目盛りは0をさします。
・無重量の状態は、遊園地のフリーフォールや実験施設の落下塔としても知られています。
・スキーで滑走中、沈み込み抜重を行うと回転が容易になることを経験しますが、
一瞬沈み込んだ時にスキーの板にかかる重量が軽減され、その分だけ雪面の抵抗が
減少し、曲がり易くなるものと考えられます。
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#A73 実験装置の製作 and/or 準備
・鉄板、円形の磁石、棒状磁石、台、鉄の玉
#A74 実験の実行と結果
・鉄板の中心付近に丸い磁石を張り付けます。
・棒状磁石の方向を丸い磁石を中心とした仮想円の接線方向に置きます。
・鉄板の一方を台の上に置き、全体に傾斜を付けます。
・鉄の玉を棒状磁石に沿わせて丸い磁石めがけて、投げ出し(運動させ)ます。
・鉄の球は、得たスピードに応じて、丸い磁石により吸引され軌道が曲げられます。
#A75 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・曲がり具合は、鉄の玉と丸い磁石の間の距離や鉄の玉が得たスピードによって変わってきます。
・うまくすると、ヘヤピン軌道となります。下手をすると、磁石に吸いつけられてしまいます。
#A76 実験の解説 and/or 関連実験
・この実験では、力として、重力と磁力を使っています。
・重力は、斜面上で鉄の玉を自由落下させます。
・磁力は、鉄の玉が近傍に来た時、強い力でひきつけ、玉の軌道を変えてしまう作用をします。
・磁力と重力で、玉の軌道を変えました。
#A77 【追加実験、考察等】
・磁石の近傍を玉が通過するとき、玉のスピードの大小によって、曲がり方が異なります。
スピードが大きい時に(たとえ近傍を通過しても)、受ける力は同じでも継続する時間が短いため、
軌道はわずかしか変わりません。
・このことは、[力]でなく[力x時間]と言う量が、物体の運動を変えることを意味しています。
通常、静止している物体にかかる力のつり合いには、時間のファクターは考慮しませんが、
運動中の物体においては、物体にかかる力を議論するときには時間のファクターが必要と
なることを教えてくれます。
すなわち、この実験では、[力x時間]、すなわち、力積と言う物理量を実感することができます。
・一般的には、直線運動する物体に横方向の力が、一点から作用すると円運動が生じます。
・空気塊は、気圧傾度(重力の加速度と同質です)のある中で、横向きの力が加えられると、
円運動を行い、渦巻が形成されます。詳しくは、 実験70、剛体回転1 実験71、台風の渦巻きを描く を参照して下さい。
・宇宙空間を飛行する宇宙船においては、磁力でなく引力によりスイングバイが実現されます。
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空気塊は、水平方向と鉛直方向の力の合力の方向に運動しようとします。
このとき、@圧力差による力、見かけの力としてのAコリオリ力とB遠心力が作用します。
さらに、C地表面による摩擦力もかかってきます。さらには、空気塊の運動の
如何にかかわらず、D地球の重力、E浮力がかかります。
空気塊は、これらの合力の方向に運動します。
この実験では、水平面での空気の運動の方向を考えます。
このとき、気圧、コリオリ力、遠心力、摩擦力が考える対象となります。
これらの力の釣り合い状態によって、下表のさまざまな風が形成されます。
「傾度風」傾度風の力の釣り合い 「圧力差による力、コリオリ力、遠心力」 の3つの力がバランスした風です。 傾度風は、上記3種の力が釣合った状態です。 右図の低気圧性回転と高気圧性回転が考えられ ますが、式はいずれも図中の式で表されます。 数式の符号に要注意です:気圧が増加又は低下し ていく方向と風の回転方向に注目して下さい。 気圧は、H中心付近がもっとも高く、L中心付近が もっとも低いと考えられます。従って、高圧側から 低圧側へ半径rの方向を定めるとき、常に dp/dr<0 となり、逆にL中心で高圧側へ半径rの方向を定め るとき、常に 0<dp/dr となります。 南半球では、コリオリ力が北半球とは逆になること に注意して、式が成立することを確認して下さい。 なお、地衡風は、半径r≒∞、旋衡風は、コリオリ力≒0 と考え、それぞれ、地衡風、旋衡風の式を得る。 f=2ωsinθ のfはコリオリパラメータであり、 地球渦度でもある。 |
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「地衡風」 |
| 「地上風」 |
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「旋衡風」 |
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「慣性振動」 |
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風速の予測
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プリミティブ方程式 |
この現象は、スピンダウンと呼ばれる流れの一つの過程を表しています。
「スピンダウン」とは、回転する渦全体がその回転を減衰していく過程・状態をさします。
自然界においては、よく見られる現象です。
スピンダウンと言う過程には、その前に必ず、スピンアップと言う過程があります。
両方の過程を合わせて、容器の中の流体の流れが説明されます。
#A91 実験タイトル=スピンダウン
#A92 実験の狙い=スピンダウンを体感する
@左:回転後、中心に小山ができる A右:回転直後、中心付近の茶がらの立ち上がり(上昇)
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・回転・流動する流れの様子を写真に撮ることは実験記録上大変大事です。
被写体にあてる光線を絞ったり、スリットを通して光を当てると、ハイライトすべき部分にのみ
光があたり、不要な部分には光が当たらなくなります。こうして、必要部分が写真画像上明瞭に
なります。
#A96 実験の解説 and/or 関連実験
・水がビンの回転と同じになると、この回転状態は、「剛体回転」と呼ばれ、
この剛体回転へ至る回転の過程を「スピンアップ」と言います。
・水の上部では、中心から外周への流れが生じます。
・上部で外周に向かった流れは、容器の側壁に沿って底面へ降りてきます。
この側壁には、スチュワートソン層と呼ばれる層が形成されます。
(しかし、この茶がらでの実験では、明瞭には視認できませんでした。)
・ビンの底において、水は底面からマサツ力を受け、外周と中心の間の気圧傾度力>遠心力と
なります。(このとき、遠心力は、マサツ力により小さくなっています。)
・このため、底において外周から中心に向かう【二次流れ】と呼ばれる流れが形成されます。
・この流れに乗って茶がらが中心に集まります。
・このとき、容器の底面には境界層が形成されます。
・中心に集まった茶がらは、回転しつつ上昇します。
・全体的に、回転しながら、対流現象のような流れができます。
・この循環する流れは、スピンダウンと呼ばれる減衰過程において、減衰します。
・右の写真の様に、ビンの中の水を多くした場合、上昇の様子がよく分かります(竜巻のように見えます)。
・右の写真は、竜巻の部分が「渦管」或いは、「渦糸」の様なものではないかと思われます。
#A97 【追加実験、考察等】
・気象空間においては、茶がらや水でなく、空気と水蒸気が飛んできます。
顕著な回転現象である台風の場合、境界層のなかでは、上述の「二次流れ」である
中心に向かう気流が存在します。スピンダウンの一過程と考えられます。
・台風の渦は、2つの種類の渦の複合体であり、「ランキンの組み合わせ渦」、と言われます。
即ち、中心の周りの強制渦(「剛体回転」している)、と、その外周の自由渦(風速が
半径に反比例するポテンシャル渦)から構成されています。
・この実験においては、これ以上の議論は割愛しますが、ひとつだけ付け加えます:
強制渦は「渦あり」の流れ、「自由渦」は「渦なし」の流れ、と言われています。
・下図を見てください、自由大気とエクマン境界層における力の方向を示しています。
上層(自由大気の高度)の風は、@気圧傾度力、とBコリオリ力がつりあって流れています。
しかしながら、地表面近く(大気境界層)になってくると、A粘性力(マサツ力)が大きくなり、
風速にブレーキがかかり(風速が減少し)コリオリ力が減少し、大気塊は、気圧傾度の方へ
引っ張られることになります。
風向は、図の下部に示した曲線のように上層から下層に向かって変化します。
この風向の先端を結んで得られる曲線(ホドグラフ)が実験A9、エクマンスパイラルです。
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