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キッズの気象実験

実験の様子を写真で紹介します。

このページは、気象予報士が小学生を対象として気象の実験を行うときの 参考にしていただくものです。実験対象は小学生であっても、気象予報士 がこの実験を小学生に見せるときには、気象に関連した現象や理論を裏打 として持っておき、できればやさしい言葉で説明することが大事です。 現象は外見的に異なったように見えても、根底に横たわる原理には共通 した部分がある場合がありますので、できるだけ、実験同士の相互参照を 行うように記述し、またリンクを張っています。 実験項目および内容は、随時追加、修正、改良しています。 Originated 2008-08/08 Last Updated 2008-08/30,09/30,10/24,11/08
#010 実験01    ストローでジュースなどを飲むとき、台風の気圧を思い出してください。 さて、台風の気圧に相当する水位まで吸い上げることができるかな? #011 実験タイトル=台風の海水面の吸上げ効果実験 #012 実験の狙い=空気の力を体感する
ペットボトル4本の巨大ストローで水を吸い上げる
#013 実験装置の製作 and/or 準備 ・円筒形のペットボトル数本(1.5〜2リットル)を用意します    ・胴体をつなぎ合わせて、1本の長く&太い筒を作ります。    ・これが巨大ストローとなります。 #014 実験の実行と結果 ・ストローの下部を水の入ったバケツにつけます。    ・上部から(ジュースを飲むときの要領で)口で吸い出します。    ・ストローを吸うとストロー内部の圧力が低下し、ペットボトル内に     水が上昇してきます。    ・上昇した水位を定規で測ります。 #015 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・児童が吸いやすいように、普通のストローをビニールパイプに連結します。    ・この普通のストローは、児童が変わるごとに、差し替えて交換可能とします。    ・ビニールパイプを、ペットボトルの蓋の穴(事前に開けておく)を通し、気密を保つため、     強力な接着剤で隙間を固めます。    ・ペットボトルをつなぎ合わせるとき、継ぎ目において気密を完全に保てるようにします。     (継ぎ目に透明テープ等を使ってもよいでしょう。)    ・児童が水を吸い上げると水位が上昇してきます。このとき、助手は、     巨大ストローが倒れないようにストロー本体を支えます。    ・次の子供が行うときには、巨大ストロー内の水を抜きます。    ・なお気象予報士相手に実験するときには、ペットボトル内の気圧を測定します。     下の写真で装置全体の様子および気圧計の示度(966.8hPa)を示します。     このときの水位上昇は巻尺で測ったところ、バケツの水面から約45cm     であり、また装置の周りの気圧は約1011hPaでした。     約44hPaの気圧差ができていたことになります。
 装置の全景と吸い上げ過程
 気圧計示度
#016 実験の解説 and/or 関連実験 ・水面上昇1cmは、気圧1hPaに相当します。台風の中心気圧が950hPaならば、     およそ50〜60cm海水面が上昇します。    ・空気の圧力と海水の上昇による水の重さのバランスがどの高度で保たれているかの     言及が必要です。    ・
実験19高気圧を作る、で高気圧の場合(水面低下)の実験を行います。 #017 【追加実験、考察等】    ・さて、海水面、湖面、ダム等の貯水池の水面、或いは、バケツに汲み置きした水面など、     いろんな水面があるが、実際に台風が本土へ接近あるいは上陸した場合、それぞれの水面は、     「上昇」するだろうか? 水位上昇を「実視」するにはどういった実験装置を作ればよいだろうか。    ・原理的には、本実験装置を逆用すれば良いでしょう。しかし、多少工夫が必要です。    
台風が来た時の水位上昇計測装置の概念図です。
気圧の値は例示ですが、気温や水蒸気圧による影響も別途要考慮です。
予備実験として空気タンクに息を吹き込み、60hPa程度増圧します。
連通管に水を入れ、タンクと連通管を連結しました。水位差は約60cmです。
本番時には、台風最接近予定時刻の6時間ほど前の現地気圧の空気を
空気タンクに封入します。
・なお、台風時の衛星画像と天気図を気象庁のHPから引用させていただきます。
天気図、2008Sept12、0900JST
気象衛星画像、2008Sept12、0900JST T0813
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#020 実験02    目に見えない空気は、不思議な性質を持っています。    つかんで投げようとしても、バットで空気を打っても飛んでいきません。    しかしその空気をゴムや皮などでくるんでやると、たちまち遠くまで、    飛んでいきます。 #021 実験タイトル=空気で遊ぶ実験 #022 実験の狙い=空気の存在や重さを体感する
大きい空気の袋を抱きかかえて遊ぶ
#023 実験装置の製作 and/or 準備 ・おおきなビニール袋(既製品)を理科実験器材業者より購入します。 #024 実験の実行と結果 ・大きなビニール袋に空気を集めます。    ・口の部分から空気が漏れないよう、ヒモできつく縛ります。    ・膨らんだ「空気袋」を投げたり、乗ったり、たたいたりして、空気があることを実感・体感します。    ・こうして空気の袋を空気中で動かすと、重さや、力を感じます。    ・また、空気袋をたたいたり、乗ったりすると弾力性を感じます。 #025 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・袋の口から空気が漏れ出さないよう、きつく縛る必要があります。    ・ほどくときには、簡単にほどけることも必要です。    ・このため、適切な縛り方を指導等します。 #026 実験の解説    ・空気は眼に見えませんが、空気を集めて、押したり、たたいたり、動かしたり、     弾力性を感じたりして、空気の存在を、楽しみながら体感することを勧めます。    ・サッカーやバレーのボール、軟式野球や軟式テニスのボールなどは、空気を     ゴムなどで包んで丸くしてあります。これらのボールの外側のゴムや皮の部分だけを     取り出して、打ったり蹴ったりしてもたいして遠くに飛ばないし、速度も遅いです。     しかし、いったん空気が入り丸くなると、打ったり蹴ったりしたとき数十メートル     以上飛んでいきますし、速度も100km/hを越すでしょう。    ・空気はこのように、「閉じられた空間」が形成されると、不思議な性質を現しますね。    ・この身近にある空気が、水とともに「お天気」を作っていることを話します。    ・なお、ヒモをゆるく縛ると、袋を押したときにすぐほどけてしまいます。    このとき、空気の力が非常に強いことを体感することが出来ます。
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#030 実験03    空気の塊をつかむ話は、実験02の空気の袋の実験で行いましたが、    ゴムでくるまなくても、空気の塊を作ることができるし、目で見る    こともできます。    #031 実験タイトル=空気砲で遊ぶ実験 #032 実験の狙い=空気の流れと力を体感する    
空気砲をうつ
廃材利用の空気砲
#033 実験装置の製作 and/or 準備 ・ミカン箱程度の大きさのダンボール箱を用意し、一辺に直径10cm程度の     丸い穴を開けます。 #034 実験の実行と結果 ・児童が空気砲の左右の腹を両手でたたきます。    ・圧縮された空気が穴から噴出し、前方へ飛び出していきます。    ・前方にペットボトル等を立てておくと、風圧を受けたペットボトルが倒れます。    ・別の児童が空気砲の弾丸を手や顔で受けて、空気の圧力を体感できます。    ・空気砲の横腹を思いっきりたたくと、空気の弾丸が飛び出し、行く先の的が倒れます。     風車があれば、風車が回ります。→【実験7】風車を作る。    ・弾丸がでてから的に当たるまでの時間を計測し、弾丸の速度を算出します。 #035 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・箱をたたいたとき、空気が効率よく圧縮されることが必要です。このため、     空気が隙間から漏れないようにテープでしっかり「眼張り」します。    ・空気の動きを眼に見えるようにするため、線香の煙を箱の中に入れておくと、     箱をたたいたとき、ドーナツ状の環が進行していく様子が見えます。 #036 実験の解説 and/or 関連実験    ・空気が圧縮されると、箱の外の気圧との差が生じ、その圧力差に応じた速度で     空気の塊が動かされます。    ・空気の動き=風、です。風の速さは、台風では毎秒17m以上です。    ・台風の最大風速や最大瞬間風速の話をします。    ・積乱雲や早い流れのあるときの「エントレインメント」現象の話をします。    ・積乱雲の中での上昇流の速さの話をします。    ・段ボール箱が手に入らない場合は、ペットボトルをそのまま使って砲身     にしてもよいでしょう。ただし、射程距離は50cm程度となります。
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#040 実験04    ボトルから流れ出す水の速度は、水位に応じて変化します。    ちょっとした工夫で、その速度を一定にできます。 #041 実験タイトル=マリオットのビン #042 実験の狙い=圧力の不思議を体感する
ボトル内の水位が下がっても、水の流出速度は一定です
#043 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル、ビニールチューブ(A)、接着剤を用意します。    ・ペットボトルのふたおよびボトルの下部に小穴(B)を開けます。    ・ふたにビニールチューブを通します。    ・ふたは、チューブと気密を保つため、接着剤で隙間を充填します。 #044 実験の実行と結果 ・ボトル内部に水を入れます。    ・水がボトル下部の小穴(B)から流れ出します。    ・ボトル下部の小穴(B)から流れ出す水は、一定の速度で流れ出します。    ・チューブの先端(C)から泡が出てきます。    ・水位がチューブ(A)の先端(C)よりも下がると、流出速度が変化し、    次第に遅くなります。 #045 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・蓋を通したチューブの先端(C)は、小穴(B)の位置よりも     高い目の位置にくるように長さを調整します。    ・追加実験として、(A)の先端位置(C)を可変高にするため、ビニールチューブを     連結できるよう、チューブの口径が互いに「はまり合う」チューブを購入     するとよいでしょう。 #046 実験の解説 and/or 関連実験 ・ボトル内の空気圧と水の圧力の共同作業が水の流出速度を決定します。    ・ボトル内の水位の高低にかかわらず、流出速度が一定となりますが、     何故そのようになるか?    ・水位が下がった分だけ、ボトル内部の空気圧が減少します。     この減少した空気を補てんしようとして、周りの空気が     チューブ(A)から入ってきます。    ・小穴(B)から水を押し出す力はどこから来たでしょうか?    ・チューブ(A)の先端の位置(C)の高さ、小穴(B)の位置の高さの両者の     高さの差が流出速度を決定します。    ・力の釣り合いの問題です。どの位置で釣り合いを考えるとよいでしょうか?    ・小穴(B)の高さを一定とし、チューブ(A)の長さを変えると、     流出速度はどのように変化するか、追加実験して、観察してみましょう。
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#050 実験05    神奈川県西部にある丹沢山系の信仰の山、「大山」に何度も登頂しました。    その時、頂上で空になったペットボトルに空気を入れ自宅に持って帰りました。    その空気の圧力がどんな程度のものかを目で見てみます。    この実験はごく単純な操作しか要しません。しかし、気象の観点からは、    非常に「基礎的」な実験です。 #051 実験タイトル=山で採取した空気 #052 実験の狙い=高い高度の空気は圧力が低いことを知る
高さ1250mの山の頂上で空気をボトルに封入した。
下界の自宅で、水中で開栓したらボトル内に水が上昇してきた。
2008年9月25日、富士山3450mで空気をボトルに採取し、きつく栓をして
自宅に持ち帰った。ボトルはペシャンコになっていた。
#053 実験装置の製作 and/or 準備 ・空になったペットボトル    ・バケツ、水 #054 実験の実行と結果 ・山に登り、山の上でボトルを空にし、空気を取り込み、きつく栓をします。    ・ゴミとして捨てないで、自宅に持って帰ります。    ・バケツに水を満たし、水中で開栓します。    ・水の上昇が止まったら、水中で再び栓をします。    ・ボトル内部に水が入ってきます。    ・ある程度まで水位が上昇します。    ・ボトルがへこんでいた場合は、元どおりになります。    ・ボトルがへこんでいなくても、水が上昇します。 #055 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・水中で開栓すること。    ・失敗すると、もう一度山へ行って空気を採取する必要があります。 #056 実験の解説 and/or 関連実験 ・ボトル内の空気圧と上昇してくる水の圧力の合計の圧力が     ボトル外部の空気の圧力に等しくなります。 #057 【追加実験、考察等】    以下、気象予報士レベルの問題です。考えてみてください。    できれば、実験方法も考えてください。これらのことを子供たち向けに    説明しようとすると、結構難しいことに気づきます。    ・水位の上昇を測定することによって、空気を採取した山の高度がわかるでしょうか。    ・山頂での
気圧の計測状況です。     山頂で計測した気圧計の示度は、876.2hPaでした。    ・実験6の冷凍庫で冷やした空気の場合と何が違うのかを考えましょう。    ・#054の実験の実行で得たペットボトル内の空気の圧力は、     本当に、「現地気圧」であったことをいかに証明するか。    ・ボトルを水につけたまま、蓋をあけると水が上昇した。     このときのボトル内部の空気の圧力はどのように変化するか。    ・山の上と地上とでは、気温、湿度、現地気圧等の気象条件が     異なると考えられる。これらの条件が実験結果に与える程度を     考えてください。 先頭へ戻る 実験一覧表
#060 実験06    空になったペットボトルを冷凍庫や冷蔵庫に入れておくとつぶれてきます。    山に登って採取してきた空気を入れたボトルト同様のへこみが見られます。    両者に何か共通した力が作用しているのでしょうか。 #061 実験タイトル=冷凍庫で冷やした空気    空になったペットボトルを冷凍庫のなかに20分程度入れておきます。    3本の形状の異なるボトルを使いました。 #062 実験の狙い=空気の圧力と水の力を体感する
冷凍庫から取り出した時の形状。
3本のボトルを、水中で開栓した結果。
#063 実験装置の製作 and/or 準備 ・空になったペットボトル3本    ・バケツ、水 #064 実験の実行と結果 ・ペットボトルを空にし、空気を取り込み、きつく栓をします。    ・冷凍庫に20分程度入れておきます。    ・バケツに水を満たし、3本のボトルを順次水中で開栓します。    ・各ボトルで、水の上昇が止まったら、水中で再び栓をします。    ・ボトル内部に水が入ってきます。    ・ある程度まで水位が上昇します。    ・ボトルがへこんでいた場合は、元どおりになります。    ・ボトルがへこんでいなくても、水が上昇します #065 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・水中で開栓すること。    ・冷凍庫から開栓するまでの時間は、極力手早く行うこと。    ・ぐずぐずしていると、ボトル内部の温度が元に戻ってしまいます。     (本実験を行った2008年08月15日15時において、      室内気温は約28度でした。) #066 実験の解説 and/or 関連実験 ・ボトル内の空気圧と上昇してくる水の圧力の合計の圧力が     ボトル外部の空気の圧力に等しくなります。    ・水位の上昇を測定することによって、冷凍庫の内部温度がわかるでしょうか。    ・この計算のために、そのほかに考えるファクターが何かあるでしょうか。     これは、気象予報士向けの計算問題です。    ・
実験5の山で採取した空気の場合と何が違うのかを考えましょう。    ・ボトルの形状によっては、へこみ方に特段の変化が認められないものもあります。     しかし、水位の上昇は必ずあります。    ・実験5のボトル+実験6の3本のボトル、合計4本のボトルの     水位を写真で見てみましょう。    ・高度1250mでの気圧、冷凍庫約-18度での気圧による吸引の     相違が見受けられます。      先頭へ戻る 実験一覧表
#070 実験07    風車そのものは、気象現象を表すものではありませんが、風を感じると    はねが回転するので、空気の流れの存在が顕在化します。    空気の流れの実験を行うときに使うと何かと便利です。 #071 実験タイトル=風車を作る #072 実験の狙い=空気の流れと流れる方向を観察する
キムチのビンで作った風車、よくまわります
   
#073 実験装置の製作 and/or 準備 ・キムチやペットボトルなどの円筒形の容器、羽根とする紙(ホログラムシートでも可)、     針金、ビーズ、セロテープ、ストロー、瞬間接着剤を用意します。    ・羽根を容器に収まる程度の直径に切り抜きます。羽根の数は4〜8とします。    ・羽根の中心には、ストローを通し、軸受けとします。    ・針金を支えおよび中心軸とします。    ・写真のように組み立てます。 #074 実験の実行と結果 ・風を送ります。    ・次に、反対方向からも風を送ってみます。    ・このとき、風向に応じて、回転方向が逆転します。    ・風車を部屋の中の様々な場所において、回転方向、回転速度を観察します。    ・空気は目に見えませんが、その空気の動きが可視化されて見えます。    ・空気の流れる方向や強さがわかります。    ・比較的微弱な空気の流れでも、流れの存在を容易に検出できます。    ・風車を手で持って、歩いたり、横に振ったり、鉛直方向に上下したりして     その回転方向を確認します。    ・風車を手で持って全体を動かすと、羽根が回ります。しかし、動かし方によっては     羽根が回らない場合があります。どんな場合でしょうか。いろいろ試してみよう。 #075 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・羽根を折り曲げる方向はみな同一方向にします。    ・羽根に向かって、風があたるとき、左回転になるようにすると、     低気圧・高気圧の説明が行いやすくなります。    ・できるだけ微弱な風でも回転するよう、羽根の素材は軽いものがよいでしょう。 #076 実験の解説 and/or 関連実験    ・空気は、圧力の高い所から低い所へ流れます。     羽根の回転方向と空気の流れる方向を対応して見ることにより、     高気圧・低気圧の話ができます。    ・高気圧と低気圧の間に風車を置けば、回転方向が一義的に決まり、     気圧の差に応じて、羽根の回転の大小が決まります。    ・空気砲から打ち出された空気がどこまで到達するか、この風車を     的にして、到達地点を検知し、距離を測定してみよう。    ・風車を家の中の部屋の各所において、空気の流れる方向と速度を     調べて見よう。
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#080 実験08    空気の流れを作り出す装置です。    空気の流れを実感します。 #081 実験タイトル=空気放射器 #082 実験の狙い=空気の流れ、空気の力を実感する
風神?
#083 実験装置の製作 and/or 準備 ・風船、ストロー(5cm程度)、輪ゴムを用意します。    ・風船にストローを差し込み、&風船を輪ゴムでストローに固定します。 #084 実験の実行と結果 ・風船を適宜ふくらませます(この実験では18cm程度)。    ・風船から空気が噴出します。    ・空気の噴出先に
実験07の風車を置きます。    ・風の勢いを観察します。    ・空気は目に見えませんが、その空気の動きが風車の回転により     可視化されて見えます。 #085 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・風船がなければ、スーパーのレジ袋で代用できます。    ・ストローの代わりにさまざまな口径のビニールチューブ     を使ってもよいでしょう    ・空気の流れる方向や、風船の大きさを調節して、     空気の流れをコントロールすることができます。    ・実験材料として、スーパーのレジ袋その他もっと大きなビニール袋を     用意すると、空気を長時間継続的に流出させることができます。    ・あるいは、金物店等で販売されているスプリングの入った円筒形の     「収納袋」を使うと袋への空気の流入、袋からの空気の流出が     手軽に行えます。 #086 実験の解説 and/or 関連実験 ・空気は、圧力の高い所から低い所へ流れます。    ・風船の出口で空気の勢いが強くても、的となる風車までの距離が     遠くなると空気の勢いが弱くなることが実感できるでしょう。    ・ちなみに、チューブの内径=6mm、風車と吹き出し口の距離=3cm、     風船をふくらませたときの大きさ=18cmの条件で、     得られた最大風速=7m/secでした。    ・実験03の空気砲の実験では、瞬発的な力による圧力発生で空気を     動かしますが、この実験では、流れを「持続」させ、しかも次第に     弱くなっていくことに特徴があります。    ・空気の瞬発力を利用して実験20空気ロケットを飛ばすこともできます。    ・風はどこから吹いてくるのだろうか? 子供たちの素朴な疑問に応えます。 先頭へ戻る 実験一覧表
#090 実験09    子どもたちは、水遊びが大好きです。    いろんな強さの雨を体験してもらいましょう。  #091 実験タイトル=雨降りの実験 #092 実験の狙い=雨量を体感する
ペットボトルに穴をあけて散水し、降雨とする
#093 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトルと押しピンを用意します。 ・ペットボトルの下部に小穴を20〜30個、開けます。 #094 実験の実行と結果 ・一人の児童が、「雨降らせ係り」になり、ボトルに水を入れます。 ・小穴から水が噴出します。 ・このとき、残りの児童のうちの2〜3人程度が相合傘になって、 傘に降りかかる「雨」を体感します。 #095 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ボトルの小穴は、できるだけ小さくします。   できれば、0.5mmよりも小さいとよいでしょう。  ・水圧が低いとき、或いは穴の間隔が狭い時には、 小穴からの雨が団子状に固まってしまいます。以下の試行錯誤が必要です。 ・降水強度を変化させるための工夫としては、     写真の様にボトルにチューブを連結し、息を吹き込んで加圧する、 ごく弱い雨を作るためには「霧吹き」を使う、     とよいでしょう。 ・水撒き用の「ジョロ」を代わりに使ってもよいでしょう。    ・ジョロの傾きをきつくすると、水の勢いが増してきます。 ・夏休み、校庭や自宅の庭などで実験するときには、子どもたちは、 水遊びに夢中になりますので、日射病や熱中症に気をつけましょう。 #096 実験の解説 and/or 関連実験 ・空の上で、雷様が「ジョロ」で水をまいています。本当かな? ・本当の雨のでき方の話をします。 ・降水強度を決める要因の話をします。    ・雨の楽しさと怖さの話をします。 ・消費した水量を実験時間で割って、傘の面積も勘案して、 時間当たりの降水量とします。   
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#100 実験10    雨は、線でなく「粒」なのだ。    粒であることを実感しよう。 #101 実験タイトル=雨粒の数をかぞえてみよう #102 実験の狙い=雨粒の数と大きさの実感
平板の上に雨を受ける
   
#103 実験装置の製作 and/or 準備 ・コンビニ弁当あるいは、漬物等のプラスチックの平らな板を用意します。 #104 実験の実行と結果 ・雨が降り始めたときなどに、用意したプラスチックの平板に雨粒を受けます。    ・数秒〜10秒程度雨粒を平板に受けます。    ・雨粒の個数を数えます。雨粒の直径をはかります。 #105 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・プラスチックの板以外にも、ガラス板や材木の板、小麦粉その他、     いろんなもので雨粒を受けてみましょう。    ・写真のように雨粒が明瞭に残っています。    ・単位時間当たりの落下してきた雨粒の個数がわかる。    ・雨粒の直径がわかる。 #106 実験の解説 and/or 関連実験    ・雨は、糸のように見えますが、実際には、丸い粒になっています。    ・雨粒は何故丸いのか、の話もします。    ・粒の個数や大きさから降水量を推定する方法を考えます。    ・雨粒は何故糸のように見えたのか、の話をします。    ・軒先からの雨だれも糸のようになって落ちます。     その時の(落下途中)の写真を示します(準備中です)→丸い粒になっている。    ・空から雨以外にも、雪やあられなど、別の形のものも降ってきます。    ・雨の楽しさと怖さの話をします。
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#110 実験11    本物の竜巻は、空気の回転によってできますが、流体の渦である、    と考えるなら、水の回転による渦も竜巻みたいなものです。    いささか遊び過ぎの感があるかも知れませんが、2重の竜巻を    作ってみましょう。 #111 実験タイトル=竜巻2重連 #112 実験の狙い=回転する物体にかかる遠心力と気圧
この竜巻の形成理由を考えよう
   
#113 実験装置の製作 and/or 準備 ・円筒形の1.5リットルのペットボトル2本、    ・工具としてキリの様な穴をあけるものを用意します。    ・一本のボトルの底部を切り取ります。このボトルをAとします。他のボトルをBとします。    ・ボトルのふたには、8〜10mmの小穴を開けます。    ・バケツと水を用意します。 #114 実験の実行と結果 ・ボトルBに水を入れ、小穴のあいた蓋を装着します。    ・ボトルAをボトルBに連結し、1本の長いボトルにします。    ・ボトルAにも水を入れ、小穴のあいた蓋をします。    ・全体を回転します。    ・泡が順次立ち上り、やがて、この泡が連なって1本の空気の     管になり竜巻となります。    ・ボトルA、B両方において竜巻ができます。    ・ボトルBの底部を切り離した場合も竜巻ができますが、     竜巻の継続時間がいささか短くなります。 #115 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ボトルAの底部を切り取るときできるだけ丁寧に切り取ること。    ・ボトルA、Bにいれる水量はある程度試行錯誤してみます。    ・蓋の小穴が小さいと細い空気の管ができますが、     竜巻としての成長が若干困難です。    ・小穴の所にビニールパイプを通した場合、どうなるでしょうか。     竜巻ができにくくなります。空気(の泡)が細い管の中に入りにくくなるからです。    ・ふたから噴出する水が、放射状になって流下する状態になると、竜巻の形成が良好です。 #116 実験の解説 and/or 関連実験    ・ボトルを回転すると中の水も回転します。ふたに開けた小穴から空気が     入ってきて、立ち上っていきます。このとき泡にかかる遠心力は、回転中の     水にかかる遠心力よりも小さいので、泡はボトルの中心付近に集まりやすく     なり、したがって、やがて連結し、1本の空気の管となります。    ・紅茶をかきまぜるとき、中心付近に軽い茶殻が集まるのと同じ原理です。    ・回転を与えないと、空気の泡が順次立ち上っても、泡同士が連結することは     ありません。ふたに開ける穴の大きさ如何にもよりますが、水の流下が非常に     緩慢になります。    ・ボトルAの底部を切り離さないままで、2つのボトルをふた同志で     連結して装置を作る方法もあります。このときには、2つの蓋を強力な     テープなどでしっかり、離れないように固定する必要があります。    ・ペットボトルでなく、梅酒をつけるときのような大きなビンを使っても     竜巻ができます。しかし、全体を持ち上げて回転するのに力が必要で     疲れます。    ・大き目のガラスコップでも継続時間は短いですが、竜巻ができますよ。    ・
実験13の逆さのビンの実験での水の流れ方も参考にしてください。 先頭へ戻る 実験一覧表
#120 実験12     辞書などの重量物の下にスーパーの買い物袋を置き、袋内部に空気を     吹き込みます。すると、重量物が簡単に持ち上がります。 子供たちに袋を押さえてもらい、力くらべしてみます。   #121 実験タイトル=怪力袋 #122 実験の狙い=空気の圧力を体感する
息を吹き込むと重たい辞書が持ち上がる
#123 実験装置の製作 and/or 準備 ・スーパーのレジ袋、ストロー、輪ゴム、辞書 #124 実験の実行と結果 ・レジ袋にストローを差し込み、輪ゴムできつく止めます。    ・袋を机や台の上に置きます。    ・袋の上に板を置き、その上に辞書などの重たいものを載せます。    ・ストローで袋の中に空気を吹き込みます。    ・重たい辞書が持ち上がります。 #125 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・板の面積や袋は、大きいほど楽にできるでしょう。    ・袋の強度、袋とストローの密着性が成功のカギとなります。    ・呼吸が苦しいときは、空気入れを利用しましょう。 #126 実験の解説 and/or 関連実験    ・小さい力が何ゆえ重たいものを持ち上げることができるのでしょうか。     パスカルの原理はどこに作用しているのでしょうか。 ・もしうまくいったら、辞書の代わりに石油缶、或いは小さい子供さん     を板の上に乗せて、同じ実験を試みてください。     力いっぱい空気を吹き込みます。袋のジャッキみたいなものです。     空気は、1u当たり10トン、従って、0.3*0.3u当たり900kg持ち     上げます。
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#130 実験13    誰でもできる最もやさしい実験です。    しかも気象学の観点からは、とても大事な「静力学平衡」の実験    として、力のつり合いを眼前に見ることができます。 #131 実験タイトル=さかさまのビン #132 実験の狙い=空気の力と圧力を体感する
渦を巻きながらガシャガシャ落ちる水
ボトルの口を水面に付けると、ピタリと止まる。
渦の残骸(しっぽ)が残る。
#133 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル(或いはビン)、水、バケツ或いはどんぶり鉢程度の容器 #134 実験の実行と結果 ・ペットボトルに水を入れます。    ・バケツの上でボトルをさかさまにします。    ・水が流下してきます。    ・ボトルの出口をバケツの水面につけます。    ・水の流下が止まります。 #135 実験を効果的に行うための工夫、注意点等    ・ボトルをさかさまにして、水をガシャガシャ流下させてみます。    ・ボトルの中の水を回転させると、渦ができて勢いよく流下します。     しかし、心配無用です。ピタッと(流下が)止まります。    ・最初は洗面所や台所などで試行して、自信をつけてください。 ・一升瓶で(本物のお酒で)行ってもよいでしょう。    ・本物のビールを水代りに使うときには、泡が出るためバケツ     (あるいはジョッキ)の液面が見えにくくなるので、ほどほどの     ところで、ビンの出口を液面につけるようにします。 #136 実験の解説 and/or 関連実験 ・ボトルの中の水と空気の合計による圧力がボトルの外の空気の     圧力に等しくなるところで、水の流下が止まります。    ・ボトルの底に穴が開いていたら、この実験は成立しません。    ・ボトルの底の小穴から空気を吸い出したら、ボトルの中の水位は     どのようになるでしょうか→
実験01の台風の海水面吸い上げ効果実験と     同じ原理となります。あるいは、実験05の山で採取した空気の実験     とも同じ原理であることに気付きます。 #137 【追加実験、考察等】 ・車にガソリンを入れるときのノズルもこの実験の原理が応用されていて、     ガソリンタンクの液面とノズルの先端が接した時に、ガソリンの(タンクへの)     流入が停止するようになっているようです。 先頭へ戻る 実験一覧表
#140 実験14    ペットボトル3本を使って、圧力とエネルギーの伝達・変換過程を    目に見える形にします。そして、永久運動について考えます。 #141 実験タイトル=ヘロンの噴水、 #142 実験の狙い=圧力とエネルギーの伝達・変換過程を見る
 装置の全景
 噴水で遊んでいる様子
#143 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル3本、ビニールチューブ1〜2m、    ・キリ(千枚通し)、瞬間接着剤、    ・水、洗面器    ・ペットボトル3本(A、B、C)を写真のようにビニールチューブで     連結します。    ・ボトルCのふたにキリで穴をあけ増す。    ・この穴にチューブDを通します。     チューブDはボトルCの底部に達するあたりまでの長さにします。    ・チューブとボトルおよびふたの接続部分での気密を保つため     接着剤で隙間を埋めます。 #144 実験の実行と結果 ・ボトルBに水をあらかじめ入れておきます。    ・次に、ボトルAにも水を入れます。    ・写真のようにボトルAを高い位置におくと、     やがてボトルCのチューブDから噴水が出てきます。    ・噴出した水は、洗面器で受け、「手動で」ボトルAに戻します。 #145 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ボトルAの高さが高いほど噴水の勢いが良好となります。    ・チューブDの噴出孔の口径を絞ると、噴水の勢いが良好となります。    ・ペットボトル、ふた、チューブの気密が完全に保たれないと、     良好な噴水が得られません。 #146 実験の解説 and/or 関連実験 ・ボトルAの水の位置エネルギーがチューブDからの水の運動エネルギー     に変換されます。    ・A〜B〜Cの水の流動に伴って、ボトルB、C内部の圧力が増加し、     その圧力がボトルC内の水を押し上げ、噴水となります。    ・さて、チューブDの口径をしぼって噴水の高さを高くした場合、     その噴水の水はボトルAに自動的に戻ることができるでしょうか。    ・ボトルAの高さを変えないで、噴水の高さを多角する方法を考えて     ください。
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#150 実験15 汁碗の蓋が取れないことがあります。台所には、吸盤を利用した    フックがあって、布巾やお玉じゃくしがかかっています。    昔ドイツで馬を使って行われた実験として有名な「マグデブルクの半球」、    そのミニテュア版を実現します。 #151 実験タイトル=吸盤の力 #152 実験の狙い=空気の力を体感する
 吸盤を2個張り合わせた状態
 吊り下げた様子
#153 実験装置の製作 and/or 準備 ・吸盤2個、おもり(=ペットボトル+水)、ひも #154 実験の実行と結果 ・吸盤2個を互いに張り合わせて吸いつかせます。    ・ボトルに水を入れ、吸いついている吸盤にひもでかけます。    ・全体をひもでつるします。 #155 実験を効果的に行うための工夫、注意点等    ・吸盤がつりさげることができる力(重さ)には限度があるので、     ほどほどの重さの水量にします。    ・コンクリートの壁や材木などザラザラした表面では、吸着が困難です。    ・台所や風呂場のしっかりしたタイル面やガラス面にはよく吸着します。 #156 実験の解説 and/or 関連実験 ・吸盤の内側には空気の存在がなくなり、したがって、     その部分の空気の力がなくなります。一方、吸盤の外側には空気の     圧力がかかっているので、結果的に、吸盤の内面と外面の気圧差が     吸盤を吸い付かせる力となります。    ・吸盤のサイズが大きいほど、つりさげる力は大きくなります。    ・たとえば、30cm四方のゴムの吸盤は、計算上約900Kgの力に耐えられます。    ・さて、吸盤1個をタイル面に吸いつかせた場合、つりさげる力はこの実験で     行った2個の場合の力と比べて、どちらが大きいでしょうか。
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#160 実験16    よくある気象実験で、装置の製作(工作)も比較的容易です。    ボトルの横腹を押したりゆるめたりすると、浮沈子が下降したり、    上昇したりします。 #161 実験タイトル=浮沈子を作る #162 実験の狙い=圧力の伝達と浮力を体感する。
いろんな形の浮沈子
浮力の調節(浮沈子の頭を水面スレスレにする)
ボトルの壁面を押すと、浮沈子が沈降する
#163 実験装置の製作 and/or 準備 ・醤油さし数個、ビーズ少々、押しピン、ペットボトル、バケツ、水    ・醤油さしにビーズ少々入れ、醤油さしの下部に押しピンで穴をあけ、     栓をし、これを浮沈子とします。    ・この浮沈子をバケツ内の水に浮かし、浮沈子の浮き加減を調整します。     すなわち、浮沈子が水没してしまったり、或いは頭が水面から突出し     ないように、頭が水面スレスレになって浮くように、浮沈子内部に     ごく微量の水を出し入れして、浮力を調整します。 #164 実験の実行と結果    ・ペットボトルに水を入れ、浮沈子も入れ、ボトルの栓をします。    ・ボトルの横っ腹を押すと浮沈子が沈降します。    ・押した力を緩めると、沈んでしまった浮沈子が上昇してきます。 #165 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・浮沈子の浮力調整が最も微妙な細かい準備作業です。    ・浮沈子の中に入れるビーズや水の量は試行錯誤して決めます。    ・ビーズや水でなくてもなんでも重さの調整がしやすいものを     浮沈子への負荷にするとよいでしょう。    ・浮沈子の底部に小穴を開けましたが、開けなくてもOKです。    ・しかし小穴があると、ボトルを押したとき、浮沈子内部の水位が     上昇するのが見えます。    ・浮沈子がボトルの底に沈んでしまって、浮上できない場合は、     その浮沈子を取り出して、浮力を調整します。     →#167【追加実験】参照。 #166 実験の解説 and/or 関連実験 ・ペットボトルの横っ腹を押したとき、ボトル内の空気の圧力が高まり、     この圧力が水に伝わり、水が浮沈子の小穴から浮沈子の中に入って     いきます。    ・このとき、浮沈子の重量が増加し、浮力が減少し、浮沈子はペット     ボトル内を下降します。    ・力を緩めると、浮沈子内部で高まっていた空気の圧力が、水を浮沈子     の外部へ小穴から押し出します。このとき浮力が回復して、浮沈子は     上昇します。  #167 【追加実験、考察等】    ・浮沈子が沈んでしまった最大の原因は、浮沈子の浮力を(微妙に)調整     した時の「浮力と重力のバランス」が変わってしまったことにある、と     考えられます。以下いくつかの「浮沈子救出作戦」を試行してみましょう。    1 ボトル全体をゆすって泡立てると浮沈子に「泡」が付着し、浮力が増加し、      浮上することがあります。    2 ボトルを回転してやると、沈んでいた浮沈子が浮上します。この理由は、      狭い容器内で、水の回転に伴って鉛直流が生じ、この鉛直流に浮沈子が      のせられて浮上するのではないか、と想像します。      →→早速確認実験をしてみました。ビーカーに水と茶がらを入れて、ガラス棒        で水全体を回転して見ました。もちろん殆どの茶がらは横回転しました。        しかし、鉛直流は若干ありましたが、浮沈子を浮上させるほどの力が        あるかどうか、疑問です。      3 もとへ戻ってもう一度ペットボトルを回転します。気になったのは、      沈んだ浮沈子が「首振り運動」しながら上昇していたことでした。      その原因と結果はよく分かりません。      →→その後、
#380、ブラックホールの実験中に気づいたのですが、#384に記述したように        物体は回転運動すると遠心力が増加し軌道が上昇する、ということです。        この現象がもしや浮沈子を押し上げる力になったか、と考えています。        (回転に伴う鉛直流の発現でもって説明するのは無理かも知れません。)    4 冷水or湯でボトル内の水温を調節すると、沈んだまま或いは沈まなかった      浮沈子が浮き上がったり、沈んだりすると考えられます。      ペットボトルの横腹に圧力を加えたと同様の効果が、温度を加減することに      よって「浮」と「沈」をコントロールすることができると考えられます。      →→そこで、早速浮沈子を沈め、ボトルに冷水を入れてみました。        しかし浮上できませんでした。        温度低下が不十分だった or 浮沈子自体が重すぎた、と考えられます。           ・浮沈子の浮き沈みは、「圧力、温度いずれによっても実現できる」      ということは大変大事な自然の性質です。これは、力=エネルギー、の      等価性の話です。別の実験で確認します(#290、掲載準備中です)。 先頭へ戻る 実験一覧表
#170 実験17  空気や水などの流体が流れとなって運動しているとき、その流れ    の中にある物体は、流れに閉じ込められることがあります。 #171 実験タイトル=閉じ込められたボール #172 実験の狙い=空気の流れに起因する効果を体感する
こんなに大きいボールでも浮遊したまま落下しない
#173 実験装置の製作 and/or 準備 ・ポリスチロールのボール、ヘヤードライヤー #174 実験の実行と結果 ・ヘヤードライヤーで空気を上方へ吹き流す。    ・空気の流れの中にボールを入れるとボールは気流の中で浮遊します。    ・流れの方向を斜めに傾けてみても、ボールは気流の中にとじこめられています。 #175 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ボールはできるだけ軽いものがよいでしょう。    ・風船の場合は、何かおもりをつけてみてください。 #176 実験の解説 and/or 関連実験 ・流れの中の物体に対し、空気の流れの中心付近と流れの外周付近     とでは、流れの速さが若干異なり、この間には圧力の差ができます。    ・中心付近の圧力は小さく、外側付近の圧力は大きくなります。    ・ボールが自重やちょっとした慣性力によって流れから外れようと     するとき、それらによる力が圧力差より小さい場合は、ボールは     気流の中にとどまります。気流の中に閉じ込められ、外へ逃げ出す     ことができなくなる、と言い換えてもいいでしょう。    ・河川の堰のあるところでゴミが固まって浮遊し、流れていかない     状況も同じ原理です。    ・
関連実験36、吸いつくスプーンも同様の現象です。 先頭へ戻る 実験一覧表
#180 実験18 #181 実験タイトル=氷つりの実験 #182 実験の狙い=氷で遊びながらその不思議さに気付かせる
氷をつりあげる
つった氷を食べる
#183 実験装置の製作 and/or 準備 ・氷、糸、塩、皿 #184 実験の実行と結果 ・冷凍庫から氷を取り出し、皿に載せます。    ・氷の上に糸を横たえます。    ・氷の上に横たわった糸及びその周辺に塩を振りかけます。    ・しばらくして、糸の一端を引き上げます。    ・氷が吊るされます。 #185 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・うまく吊り上げることができないことがあります。    ・糸を氷の中心付近を通るようにかけます。    ・糸の太さを変えてみます。    ・かける塩の量を加減します。→
氷に塩をかける実験の#507参照    ・糸が氷にかかる接触長さを長くします。    ・氷に掛ける糸の本数を増やします。    ・氷の厚さを半分くらいにして、氷の重量を軽くします。 #186 実験の解説 and/or 関連実験 ・凝固点降下の利用です。    ・道路の凍結を防ぐ融雪剤の働きと同じ原理です。    ・塩の代わりに砂糖で行ってみてください。    ・凝固点降下は沸点の上昇とも関係があります。    ・冷凍庫から取り出した氷の表面温度を放射温度計で計測すると、     マイナス10度以下です。真夏の室温の中で放置すると、やがて     マイナス3度くらいにまで表面温度が上昇してきます。このとき、     氷に塩をかけると、みるみるうちに温度が下がっていき、     マイナス10度以下になります。    ・氷を糸で切って、複氷の実験も行ってみてください。 先頭へ戻る 実験一覧表
#190 実験19    実験01で台風による海水面上昇効果の実験を行いました。    今度は、高気圧を作って海水面を低下させます。    このとき低圧側の水位上昇が目立ちますが、そのほかにも    考えることがありますよ。 #191 実験タイトル=高気圧を作る #192 実験の狙い=高気圧を作り、気圧の力を体感し、さらには          空気の流れにも想い至ることとする。 #193 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル3本、ビニールチューブ、バケツ、水    ・高圧側は、密閉容器になるようにします。    ・低圧側は、ボトル2本を連結し、上部を解放端とします。    ・写真のように高圧側のペットボトルをビニールチューブで     低圧側のペットボトルへ連結します。 #194 実験の実行と結果  ・ボトルに水を入れます。高さは半分程度にします。    ・高圧側、低圧側の水位が連通管を経由して同じ高さになります。    ・高圧側から息を吹き込みます。    ・低圧側の水位が上昇します。    ・低圧側の解放端から空気が流れ出します(目には見えません)。 #195 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・高圧側、低圧側を連結する方法としては、ペットボトルを     連続的に連結してもOKですが、工作が難しいです。    ・このため、曲がった部分はビニールチューブで代替します。     機能的には同じです。    ・高圧側で吹き込んだ息による圧力が効果的に水面を押すように     するため、栓の部分の気密をシッカリします。 #196 実験の解説 and/or 関連実験    ・高圧側の水面は加えられる圧力によって、高さが低下します。 ・高圧側から加えられた圧力は、低圧側の水位上昇の原因となります。    ・低圧側の水の上にあった空気はボトルの上部(解放端)からあふれ     出します。    ・これは上昇気流が上空で水平方向に流れだすのと似ています。    ・低圧側のペットボトルの上部が密閉されていると、高圧側の圧力を     少々大きくしても水位は上昇し難くなります。    ・実際の気象空間では、低圧側の上空で水平方向に流れ出した空気は     高圧側の上空で吸い込まれ、全体的に流れが循環(対流)します。    ・低圧側のボトルの長さを長くして、高圧側からさらに息を     吹き込みます。どの程度の高さまで実現できるでしょうか。     遊びながら実験してください。    ・なお、台風の海水面吸い上げ効果はそれなりに顕著な現象ですが、     高気圧による水面低下は問題にはならないようです。なぜでしょうか。    ・高気圧による海水面の低下は顕著には見えませんが、たとえば     アネロイド気圧計の空盒を圧縮したり、フォルタン型気圧計の水銀面を     押し下げ&水銀柱が押し上げられます。 先頭へ戻る 実験一覧表
#200 実験20    【【この実験は目下、試行実験中です。。】】    100円ショップで買ってきた空気入れを使って、空気ロケットを作ってみましょう。    仕掛けはごく簡単です。低圧でしかも噴出物は空気だけです。どの程度飛ぶでしょうか。 #201 実験タイトル=空気ロケット #202 実験の狙い=空気の力と運動量保存の法則を体感する   
ロケット、発射台、加圧装置の全景です。
ジョロを発射台代わりにしました。これで、2.1m飛行しました
ロケット本体と加圧装置の切り離し部分を接写しました。
空気入れ、空気入れの先端部、ゴム栓、ロケット本体の口元部 
#203 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル、空気入れ、ゴム栓    ・1500CCのペットボトルを用意する。    ・ゴム栓に穴をあける。    ・穴をあけたゴム栓と空気入れを連結する。    ・ゴム栓部をペットボトルに差し込む。     #204 実験の実行と結果    ・ロケット本体を斜め上方を向くように、台座(ジョロ)に乗せる。    ・空気入れで空気を10回程度押し込む。    ・ボトルがゴム栓部から切り離され、ボトル本体が飛んでいく。    ・飛行距離は水平方向に、約210cmでした。  #205 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・飛行距離、飛行高度を増すためには、もっと圧力を上げてやり、かつ噴出すべき「物質」を     今回のような「空気」だけでなく「水」をも噴出すれば、それだけ「運動量」の獲得が     大きくなるだろう。      このため、加圧装置で発生させる圧力に耐えられるだけの切り離し機構を作る必要がある。    ・今回のボトルの内圧は、押しこんだ空気量を考えると、高々1.5気圧(絶対圧)程度と推測されます。    ・人や構築物などに当たらないようにしよう。しかも、運動場や河川敷などの広い場所で実験しよう。 #206 実験の解説 and/or 関連実験    ・今回は、水を何も使わず空気の噴出圧力がロケット本体の推進力となった。    ・空気入れの先端とゴム栓の間、およびゴム栓とボトルの間は、     マサツによって、切り離し時点まで空気が漏れずに密着している。    ・今後も試作継続予定です。 
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#210 実験21    気象予報士定番の「雲を作る」実験です。いろんなやり方があります。    また、結果はその時の加圧条件や気象条件にも左右されます。    本実験では、断熱膨張を実現するためペットボトル内部の空気を加圧し、    栓を一気に引き抜いて膨張させる方式を採用しています。 #211 実験タイトル=白雲を作る #212 実験の狙い=空気中に水蒸気があることを目に見えるようにする #213 実験装置の製作 and/or 準備 ・500CCのペットボトル、ゴム栓、空気入れ #214 実験の実行と結果 ・ゴム栓に穴を開けます。千枚通しとか太い釘をガスで加熱して、     ゴムの中心部分に突き刺すと、比較的容易に穴が開きます。    ・空気入れは、写真のような100円ショップで売っているもので十分です。    ・空気入れの先端に先のとがったノズルを取り付け、ゴム栓に突き刺し、     栓をボトルにはめ込みます。これで写真のように全体が連結されます。    ・空気入れで加圧していきます。絶対気圧=2気圧程度で栓を一気に抜きます。    ・ボトル内部に「白雲」が生じ、雲がモヤモヤうごいています。    ・圧力が高いほど白雲となりやすいです。    ・加圧した時は、ボトル内部は透明になり、減圧した時は内部が白濁します。    ・水も、線香の煙も不要です。 #215 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・空気を入れる人、ボトルを保持する人の2人で行うとよいでしょう。    ・栓を抜くときには、ゆっくり抜かずに、一気に抜くことが肝要です。    ・湿度が低い時には、この実験は成功しにくいかも知れません。 #216 実験の解説 and/or 関連実験    ・ボトル内の空気は、蓄えた圧力エネルギーを一気に解放するとき、     系(ボトル)の外部に対し「仕事」をします。    ・このとき、空気は、外部と熱の授受を行っていません。 ・すなわち、空気は断熱的に膨張し、自分自身の温度を下げます。     この下げた温度が、ボトル内部に存在していた水蒸気を液化・凝結させ、     微小な水滴を形成させました。    ・ゲージ付きの空気入れを使うと、加圧時の圧力が分かります。    ・また、室内の気圧、気温、湿度は測定可能な物理量です。ボトル内の露点温度を     算出し、知ることができます。(エマグラムがあると便利です) #217 【追加実験、考察等】    ・以下4例あげます。    @加圧の方式を、密閉したペットボトルの胴体を両手で強く押してへこますことによって実現します。     このときの減圧の仕組みは、ペットボトルの材質自身が持っている原状への形状復帰能力     によります。水と線香が必要です。     この方式は、ほとんど確実にできます。     写真(押して加圧、手を緩めて減圧)    A加圧不要な方式として、ワインセーバーを使ってボトル内部の空気を減圧してもよいでしょう。     この方式は、雲のでき方があまり明瞭ではありませんでした。     しかし、線を抜いたときにボトル入口付近の雲が透明になっていく様子が観察されました。 写真(全景、ピストン操作で減圧、栓をぬいて元の気圧に戻した)    Bデモ効果を狙うなら、加圧・減圧に風船を使ってみましょう。     風船を膨らませ加圧し、細いメスシリンダーに連結し、針でつついて破裂・減圧させます。     騒音公害にならないような配慮が必要です。風船の消耗が不経済である欠点があります。     この方式は、結果が明瞭ではありませんでした。 写真(膨らませた風船を連結し加圧、破裂させて減圧)    Cガラスコップに冷水を入れ、空気中に放置します。     空気中の水蒸気はコップの壁面で、「露点温度」にまで冷やされ、水滴となります。     この方式は、確実にできます。 写真(常温放置、一定時間経過後露点) 先頭へ戻る 実験一覧表
#220 実験22    工場、発電所、蒸気機関車、銭湯などには(高い)煙突がつきものです。    煙突は、燃料の燃焼を加速する装置です。    これを実験で確かめてみよう。 #221 実験タイトル=煙突効果 #222 実験の狙い=煙突効果を体感する
煙突上部と支えの箱
煙突下部と灰皿
#223 実験装置の製作 and/or 準備 ・ダンボール箱、ペットボトル、線香、灰皿 ・ペットボトルの底部を切り離し煙突の本体にします。     長さが足らなければ、ペットボトルの胴体部分を継ぎ足します。    ・煙突の本体を支えるため、実験03の空気砲の箱を使います。 #224 実験の実行と結果    ・実験実行時の気温=29℃、湿度=74%、室内で実験したので     風はほとんど無風でした。 ・線香(約4cm長さ)に点火し、灰皿に立てます。    ・ペットボトルの底部(即ち、煙突の下部に相当)に線香を置きます。    ・線香の燃え尽きる時間を計測します。約6〜7分でした。    ・煙突の上部に蓋をします。    ・同様の実験を繰り返し、燃え尽きる時間を計測します。     約7〜8分でした。 #225 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・煙突の機能は、煙突の下部と上部の間で、いかに対流を促進     させるかにあると考えられます。    ・煙突の上部に蓋をしたのは、煙突の機能をわざと無くなる     ようにするためでした。    ・対流を良くし、暖気が大きな浮力を得ることができるように     装置全体の構造を設計します。 #226 実験の解説 and/or 関連実験 ・煙突の機能は、いかに効率よく燃焼を促進するかにあります。    ・このためには、新鮮な空気、特に酸素を含んだ空気の効果的な     供給ができるように環境を整える必要があります。    ・線香が燃焼し、加熱された空気が煙突下部に停滞していると、     酸素の供給が不十分となります。    ・燃焼室および煙突を適宜に設計すると、空気の流入が効果的になります。    ・高層ビルでは、「煙突効果」により、火災が下層階から上層階へと燃え     広がる可能性が大きいので、それなりの空気の移動を遮断する装置が     必要となります。     ・この実験では煙突の有無により燃焼時間がそれぞれ、6〜7分、7〜8分     となりました。これらの値に有意の差があるか否かは、もっと実験を     精密に行って判断すべきものと考えます。    ・燃焼の速度は、燃焼室の構造、煙突の長さ、直径、煙突上部の空気の     流速などに影響される、と考えられます。   #227 【追加実験、考察等】    ・ペットボトル本体と灰皿との間の隙間から新鮮な空気流入します。    ・ペットボトル本体を上下してこの隙間を調整すると、煙が勢いよく出たり、でなかったりします。        
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#230 実験23    空気の重さを空気中で測ろうとすると、浮力の問題が生じて、測る ことができません。    空気を液体にすれば、測れますが、本実験では手が届きません。    また、空気を液化しないまでも、容器などに空気を入れて圧縮して    測る方法もありますが、加圧装置の準備が大変です。    また空気の重さがあることは、実験02の大きな空気袋を投げて、    それを受け止めるとき若干の手ごたえを感じ、そこに重さの存在を    知ることができます。    ともかくも、実験05で採取した山の空気の重さはどれだけでしょうか。 #231 実験タイトル=空気の重さを測る #232 実験の狙い=空気の重さを数値で知る #233 実験装置の製作 and/or 準備 ・0.5リットルのペットボトル、気圧計、温度計 #234 実験の実行と結果 ・採取時点での空気の圧力と温度を計測する。    ・小学生には難しいが、「理想気体の状態方程式」を     用いると、小学生レベルの算数で算出できる。  #235 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・山で空気を採取しなくても、自宅でも可能です。    ・近くの気象台で現在の気圧を教えてもらい、同時に     自宅での気温を寒暖計で測ります。 #236 実験の解説 and/or 関連実験 ・気象予報士には常識の理想気体の状態方程式ですが、 この方程式を気象予報士が気象の予想のために使うことは     ないかも知れません。    ・しかし、この方程式をつかえば、空気に限らずあらゆる気体の重さ     というより、「質量」を算出できます。    ・PV=nRT の式です。    ・個々の変数の「単位」を教科書や数表などで求め、式にあてはめて     計算すると、nの単位は「Kg」となります。    ・空気の質量は、式を変形して、n=PV/RT となります。 P=87000Pa、V=0.5x(1/1000)Kg/m3、R=287Kgm2/s2KKg、T=(273+30)K     を代入すると、n=0.006466 Kg となります。    ・ペットボトルの中の空気の質量は、0.5052グラムです。 #237 【追加実験、考察等】    ・上の実験で、 P=101325Pa、V=1.0Kg/m3、R=287Kgm2/s2KKg、T=273K とすると、     n=1.2932Kg/m3 となります。 これは、標準状態(0℃、1013.25hPa)における空気の密度にほかなりません。     ・温室効果ガスとしてよく話題になっている炭酸ガス(CO2)の重さ     を測るには、固体のCO2(ドライアイス)をそのまま秤で測ること     ができます。この固体の炭酸ガスを水中で、大きな透明な容器の中で     気化させます。    ・ドライアイスが気化すると、容器内の水がCO2によって置換されます。     その時の容積および、気圧、温度を計測すれば、本実験の計算式に     あてはめて、質量算出が可能です。計算値は固体のときの重さと     等しくなると考えられます。    ・冷蔵庫で作った氷についても、まったく同じ考え方ですね。 ・理科年表を見ると各種の気体の密度や比重の値が掲載されています。     ちなみに、二酸化炭素の密度=1.977、比重=1.529 となっています。    ・実験01で台風が海水を吸い上げる実験を行いましたが、その実験で、 ペットボトル全体を持ち上げてみてください。 台風が海水を吸い上げる力が実感できます。 ・その重量は、台風による気圧低下分だけの空気の重量と同じであるから、     間接的に空気の重量を感じることになります。     PV=nRTの関係式は、空気の重量(質量)は気圧に比例する、と言っている     ことを、念のため確認願います。       先頭へ戻る 実験一覧表
#240 実験24 水銀気圧計は密閉管路における水銀の重量と管路外の空気の圧力の力の    釣り合いで、気圧を測定します。    では、水銀の代わりに水を使って、どのようなにして圧力を測定できるか、    やってみましょう。それは、空気の圧力(1気圧)を基準値とした場合、    その基準値からの隔たりを計測することによって実現しす。    なお、圧力を計測は、(1)密閉容器内部の圧力、(2)密閉容器外部の圧力、    のいずれかが対象になることに注意してください。    どちらを対象とするかによって、実験装置の作り方、準備の仕方が異なります。 #241 実験タイトル=圧力計を作る #242 実験の狙い=圧力計測装置を作り、気圧を実測し体感する
圧力計、全景
圧力計、容器内圧力±0=空気圧
圧力計、容器内圧力−水位差=空気圧
圧力計、容器内圧力+水位差=空気圧 (実験01と同様です。
#243 実験装置の製作 and/or 準備 ・ビニールチューブ、容器(ペットボトル)    ・ビニールチューブに水を入れて、容器とチューブでU字管を構成する(写真上左)。    ・ビニールチューブを鉛直上向きにする。    ・完成した装置の全景を、写真の上左に示します。 #244 実験の実行と結果 ・最初は写真上右のように水位が同じです。    ・その内部の圧力を変化させると、写真下左右のように、チューブと容器において、水位に差が生じます。    ・容器内部の圧力変化は、ボトルの蓋を通したビニールチューブから空気を吹き込んだり、     或いはボトル内部の空気を吸い出したりします。     或いは、空気の吹き込み、吸い出しでなく、別途測定対象とすべき容器をビニールチューブ     で連結して圧力計測することもあります。 #245 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ビニールチューブから水がこぼれださないよう、ある程度長いチューブを用意します。 #246 実験の解説 and/or 関連実験 ・構成されたU字管の左右の水位の差は、測定対象物の容器内の圧力が装置の周りの空気の圧力に比較して、     どれだけの「圧力差」があるかを示します。     工場や、機械装置などに多用されている圧力計と同じ働きです。    ・水位1cmの差=圧力1hPa の差に相当します。従って、たとえば、写真下右のように(装置の周囲の気圧を     1016hPaとするとき)、チューブの水位が10cm 低くければ、容器の内部の圧力は、1016-10=1006 hPa となります。    ・この状況は、
実験01、台風の海水面の吸い上げ効果 の実験と同じです。    ・水位同一実験の写真です。     ペットボトルは大気圧に開口してあります。     写真@ABのいずれにおいても細いチュープの最下部(▲)において、左右の圧力は同一です。     このとき、チューブおよびペットボトルの口径の大小にかかわらず、水位は「太い」ほうと、     「細い」ほうにおいて同一です。    ・写真@またはAにおいて、口径の細いチューブから息を静かに吹き込みます。     口径が細いほうのチューブの水位は低下し、太いほうのペットボトルの水位が(ごくわずか)上昇します。     このとき、▲の位置における左右の圧力は若干増加していますが、同じ値です。      #247 【追加実験、考察等】 ・飛行機に装備される速度計は、ピトー管と呼ばれ、基本的にはこの実験と同じ発想のものです。 子どもたちが、ピトー管で遊んでいます。    ・実験01、台風の海水面の吸い上げ効果実験04、マリオットのビン実験14、ヘロンの噴水 などの実験その他の実験に     おいて、ペットボトル内部の圧力をかなり正確に計測できます。  先頭へ戻る 実験一覧表
#250 実験25    人間は空腹になると、「力」が出なくなり、思考力も低下します。    自分のお腹が「グーグー」言い出したら、それは、生命維持装置が    「エネルギー注入」のための注意報を出し始めたことを意味します。    自然界に存在する空気も動くためには、「力」や「エネルギー」が    必要です。さてそこで、バナナ1本食べるとどれだけの力が出るのか、    それをどのように実感できるのか、山に登っての体験的実験を行って見ました。    (失笑と嘲笑を買う実験かもしれません。。) #251 実験タイトル=バナナ1本のエネルギー #252 実験の狙い=エネルギー注入でどれだけ動くことができるか、人体実験です。
バナナ、皮つきで160グラム、皮をむいて110グラム
バナナをリュックに入れて、山に登る
#253 実験装置の製作 and/or 準備 ・バナナ、秤 #254 実験の実行と結果 ・自分の経験では、夜7時に夕食をとって睡眠し、その翌朝5時〜7時の     2時間ウォーキングするとき、歩き始めは空腹感はありません。しかし、     2時間経過するころ空腹を覚え、腹が「グー」、「グー」となり始めます。     この経験から、「グーグー」なり始めたときにバナナを1本食べ、さらに     歩き続け、次に「グーグー」言うまで、あとどれだけの時間歩くことが     できるか、多摩川の河川敷を歩いて、自分の体(体重約63Kg)で試して     みました。経過時間は約1時間、距離は約5000mでした #255 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・個人差が大きいので、何度か試行してみよう。 #256 実験の解説 and/or 関連実験 ・サイエンスの実験としては不適切な方法かも知れませんが、実生活上切実な問題を含んでいます。 #257 【追加実験、考察等】 ・バナナ1本で約80キロカロリーの熱が生じます。 ・人が、自分の体重+かつぐ荷物で、トータル重量100Kgで登山するとき、     10m上るために必要なエネルギー(仕事)は、 仕事=力*距離    =(100*9.8)*10=9800 kg*(m/sec2)*m       =9800J=9800/4.2cal=2333cal=2.333Kcal です。 従って、10m上がるためには、バナナをほんの一口だけ(2.333/86≒3%)食べれば十分です。 これは、1Kgの空気をおよそ1000m持ち上げるエネルギーに相当します。 バナナ1本(100gで86Kcal)食べると、約370mの高さまで上れます。     バナナはずいぶんと「力持ち」ですね。     昔「一粒300m」と表示された、キャラメルがありましたが、今も売られているのでしょうか。     上記計算の同じ人が同じ重量の荷物を担いで、秒速1m(すなわち、1m/sec)で、歩くとき、 運動エネルギーを算出してみましょう。(2つの異なった計算方式を考えます)     【計算方式1】     人間が歩くと言う運動を起こさせる物理的な力を、靴と地面との間の摩擦力と考えます。     このマサツ力による運動は、1歩ごとに1m歩くとして、この1mの間で、 しかも1secの間に、初速0m/secから最大速度1m/secになる加速度運動を繰り返すものとし、     こうして得られる加速度=1m/sec2 となり、この加速度で1sec歩くときの距離は1mとなります。      摩擦力=0.6*100*1 Kg*m/sec2  (ただし、摩擦係数を0.6と仮定しました)      歩いた距離=1m  以上より、1歩で1m、1sec歩くことに要するエネルギーは、     仕事=エネルギー=力*距離=(0.6*100*1)*1=60 Kg*m2/sec2=60/4.2=14.28cal         もし、地面と靴の間にバナナの皮があると、摩擦力は極端に減少し、         人は滑ってしまい、前進できなくなります。     【計算方式2】     一方、エネルギー保存則の運動エネルギーの式を適用できるとした場合、     平均速度を1m/secとして、1secの間に与えられたエネルギーを消費してしまうものと考えます。     運動エネルギー=(1/2)*100*(1*1)=50Kg*(m/sec)*(m/sec)            =50J=50/4.2=11.90cal     となります。     この場合の人間の歩行を前進させる力はどこから生じたのでしょうか。     もちろん、食物が前進させるエネルギーになっています。他にはありません。     そして、人体に蓄積されたエネルギーが脚の筋肉を収縮させ、足を前後させます。     人の足の底にある「靴」が脚と地面の力の伝達を行います。地面は体重に応じた     摩擦力を靴に与えます。     なお、風は人間の歩行速度に影響を与えますが、これは別の議論となります。     以上、どちらの計算方式でも、大きな差は生じていないことが分かります。 計算方式2のエネルギーで、3600sec(1時間)歩き続けると、     11.90*3600=42857cal=42.857Kcal となります。     この値は、人間を単なる物体、質点と考えた場合の運動をごくラフに考えて算出したものです。     実際には、以上のほかに、人間の体を維持するためのエネルギーや、歩行ごとの体の上下動を     起こさせるためのエネルギー(すなわち、位置エネルギー)も見積もる必要があります。     以上、この実験の追加的な考察として、人間が歩くときのエネルギーの算出の仕方を     筆者なりの考え方で、ここに提示したものです。  食物を摂取したときに得られるエネルギー量(Kcal)を参考までに掲載します。
5訂食品成分表より抜粋

ごはん    1杯(110g)  184 牛乳     200cc   134 パ ン    1枚(60g)  131 ロースハム 1枚(15g)   29 ジャガ芋 1個(140g) 106 木綿豆腐 100g     72 砂糖    大匙1杯(10g) 38 納豆    1個(50g) 100 卵     1個(50g)    76 焼き竹輪 1本(30g)    36 植物油   大匙1杯(14g)129 サンマ   1切(60g)  186 バナナ   1本(100g) 86 こんにゃく 1丁(200g)   14 サバ    1切(70g)  141 牛もも肉 1枚(50g) 123 豚もも  1枚(50g)   76 鶏ささみ 1本(40g)   46
コンビニやスーパー等で買ってきた食品

(値は、包装紙や容器の表面に記載されて いた数値を転記或いは、換算等して算出)
おにぎり 1個(110g)*注 175 赤飯おにぎり 1個      222 寿司(サラダ巻き)5個   364 寿司(いなり寿司)5個   589 ジャムバン  1個      289 インスタント焼きそば(135g) 590 ピーナツチョコ  (合計80g) 455 チョコレート  8粒(合計43g) 254  (マカダミアナッツ入り) スライスチーズ 1枚 (18g) 56 ヨーグルト 1個 (80g)  92 ポカリスエット 1本(500CC)135 ファンタグレープ1本(500CC)240 ビール 1缶(350CC)146
*注: おにぎりの重量は、包装紙に記載がない ので、自宅で計測した。

運動に要するカロリー
(Kcal、1時間あたり)

座位      60 散歩      300 階段を昇る 900 水泳     500 テニス    400 ゴルフ    300 サイクリング 450 ランニング 900 スキー    600
サンキュードラッグの web siteから抜粋引用。
上記の数値を使って、登山した場合の体重の減量を推定してみます:
富士山を、5合目河口湖口起点で、頂上まで往復登山したと仮定した場合、

■摂取するエネルギー: 食糧(5回の食事)≒おにぎり10個相当≒2000Kcal 菓子類、スポーツドリンク≒1000Kcal ■消費したエネルギー: 登山≒階段を登る=900Kcal、登山往復時間≒14時間、 900x14=12360Kcal ■体重の減量値: 差し引き、12360−(2000+1000)=9360Kcal 10360÷7000≒1.3 Kg と算出されます。 (ただし、体脂肪1Kgのエネルギー=7000Kcal と仮定)
個人差は大きいが、およそ1〜2Kgの体重減量が期待されます。 (筆者の経験では非常にラフですが、1Kg程度の体重減量でした。) いっぺんに減量するのは、とても大変なことを実感しました。
後端
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#280 実験28    暖かい風、冷たい風、湿った風等々、風はその中に温度や水蒸気などを    含んで吹いてきます。この実験では、温度を空気で運び、風速と温度を    計測することによって、温度の予想をする原理に言及します。 #281 実験タイトル=温度を空気で運ぶ #282 実験の狙い=温度を空気で運び、温度変化を観察する。          合わせて、温度変化の予想の原理を知る。 #283 実験装置の製作 and/or 準備 ・新聞紙、輪ゴム、ヘアードライアー、棒状の温度計2本、風速計を用意します。    ・新聞紙を丸めて、筒状にし、輪ゴムで丸い形を保ちます。    ・写真のように新聞紙の筒の先端と後端(50cm離す)に棒状の温度計を差し込みます。    ・先端付近にヘヤードライヤーを、後端に風速計を設置します。 #284 実験の実行と結果 ・ヘアードライアーのスイッチをONにして、まず、室温での送風を行い、風速が一定であることを確認します。    ・次に、温風を送りはじめ、10秒間隔で、先端と後端の温度を計測します。    ・この実験では90秒間、送風しました。    ・測定値を示します。
経過時間sec先端温度℃後端温度℃風速m/sec
0022223.7
1033253.7
2040283.7
3045313.7
4049343.7
5053373.7
6055393.7
7057413.7
8059433.7
9060443.7
#285 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・送風装置としてヘヤードライヤーが無い場合は、暖かな空気を大きな袋に入れ、     新聞紙の筒の先端からゆっくりと送りこみます。      #286 実験の解説 and/or 関連実験 ・温度は空気によって運ばれます。    ・新聞紙の筒の中を流れる空気は、気象学で言う「ウォームコンベヤーベルト」に相当します。    ・
「コンベヤーベルトの概念」に関して、こちらで解説しています。 #287 【追加実験、考察等】    ・気象空間では、気流が物理量を運搬すると考え、物理量(たとえば温度)を観測し、     数値計算を行うことにより、将来の物理量(温度)を予想値として算出することができます。    ・数値計算による物理量の予想の仕方に関しては、天気図と気象理論、P122数学的準備、に概略紹介してあり     ますので参照して下さい。具体的な数値計算の実例に関しては、別途ご紹介する予定です。     ・現象の変化は、すべて物理量の移動によって生じます。物理量の変化を扱う上で必須の概念が「移流」です。     この「移流」に関しては、天気図と気象理論、P56移流移流(続き)、     および大気の流れ、P56移流を参照して下さい。    ・さらに、関連する話題として、太陽放射の解説、熱伝達には4種類あることを解説しています。    ・プリミティブ方程式と格子点の解説、積分時間とCFL条件の解説も参考にして下さい。 先頭へ戻る 実験一覧表
#310 実験31    エネルギーの瞬間的な解放の実験です。 #311 実験タイトル=ししおどし #312 実験の狙い=ししおどしのメカニズムを知る
ししおどし全景(試作品1)
ししおどし(試作品2)、台座の部分をペットボトルで製作した。
#313 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル2本、空き缶2個、だんごなどの串1本    ・1本のペットボトルAの底部をカッターナイフで切り落とす。    ・もう1本のペットボトルBをAの底部に差し込み、テープで連結する。    ・AB全体を指ではさんで持って、およその重心の位置を探る。    ・重心の位置はボトルAにあると思われる。    ・その重心位置のA側の脇腹に小穴をあける。    ・小穴に串を通す。    ・串を缶の上に置く。     試作品1では一方を缶の上に、他方をカゴの眼の間に挿入しました。    ・試作品2は、台座の部分を改良したものです。     もう少し「恒久的」使用ができるように、かつ「携行」に便利なようにしたものです。     全体は、バラバラに分解できます。 #314 実験の実行と結果 ・ボトルAに水を注ぐと、ある程度たまったら、Aの先端が傾き、水が全量こぼれる。    ・Aが空になったら、Aの先端は持ち上がり、同時にボトルBが落ちて、床にあたり音が出る。 #315 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・小穴をあける位置を試行錯誤的に決めます。    ・Aの底部を切り落とす時、切る口は丁寧に、切りましょう。    ・Bの底部に音響の良い容器などを置くと素晴らしい音を楽しめる可能性があります。 #316 実験の解説 and/or 関連実験    ・水がボトルAに注がれるとボトルAB全体の重心が串(支点)よりもA側にきます。    ・このとき、溜められた水が、雪崩を打ってAの口から流出してしまいます。 ・自然現象の中には、ギリギリまで辛抱していて、ある限界を超えると     蓄積されたエネルギーが一気に、爆発的に解放されることがあります。    ・Capping Inversion 現象に見られるように、逆転層で抑えられていた上昇気流が、     一気に爆発的に逆転層を突き破って上昇することがあります。    ・たとえば、成層圏あたりの高度まで発達した積乱雲が逆転層に抑えられていて、しばらくすると、     急に頭部が上方へ爆発的に発達することがあります。下の写真を見てください。     この写真は、2008年8月7日、自宅から撮影した60Km遠方の房総半島上の積乱雲です。積乱雲の位置はレーダー画像で特定できました。    
発達中の積乱雲
気象庁のレーダー画像です
#317 【追加実験、考察等】    ・
空気ロケットを作る白雲を作る、の実験においては、圧力エネルギーの急激な解放を利用しています。    ・気象庁の雨量計にも、ししおどしの原理が使われています。    ・工学的にはさまざまな応用例があるようですが、たとえば安全弁もエネルギーの瞬間的な解放を利用したものです。     この現象も、エネルギーの蓄積と瞬間的な解放の例だと考えられます。    ・鍋ややかんに水を入れ、加熱するとやがて、蓋が持ち上がり、カタカタ振動音が発生します。     この現象は、エネルギーの蓄積と解放が微小な周期で繰り返されている、と考えられます。 ・火山地方によく見受けられる「間欠泉」を作ってみたいと思っています。→こちらの実験を見てください→実験61、間欠泉 先頭へ戻る 実験一覧表
#320 実験32    水を入れた容器が台ばかりの上に乗っています。    このとき、ボールを浮かべたら台秤の目盛りはどのように変わるでしょうか。    気球がビルの屋上にワイヤーで係留されて空中に浮かんでいる時、ビルの下の地面に    かかる力は気球に引っ張り上げられる分だけ軽くなるでしょうか。    もし、ワイヤーが切れて、気球が上昇して行ったら、地面にかかる力はなくなるでしょうか。    10万トンの油輸送船が東京湾を航行するとき、海底に及ぼす圧力は増加するでしょうか。        飛行機が離着陸するとき、その真下の空気の圧力は増加するでしょうか。(これは、揚力を誰が負担するか、の問題となりますね。)    浮力と重力、物体の落下と上昇、対流、空気の循環などが、次々と連鎖反応的に頭の中に「浮かんで」きます。    上記の問題は、頭の中で考えると分かりづらいので、とにかく実験してみましょう。 #321 実験タイトル=浮力の負担者は誰だ? #322 実験の狙い=浮力を負担する人が誰であるか、を理解する 写真は#327のものを参照 #323 実験装置の製作 and/or 準備 ・容器(ペットボトルを半分に切ったもの)+台秤+水+ボール #324 実験の実行と結果    ・ボールの重さを、先に計測しておきます。 ・水を容器に入れ、容器を台秤に載せます。    ・次に、ボールを水にゆっくりと沈めていきます。    ・このとき、台秤の目盛りは、徐々に増加していきます。    ・ボールが沈まなくなったら、台秤の目盛りは増加しなくなります。 #325 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・静かにボールを水につけること。 #326 実験の解説 and/or 関連実験 ・ボールが沈まなくなったとき、台秤の目盛りの増加はなくなりましたが、     このとき、の目盛りが増加した値は、「浮力」に相当する力に等しくなります。 ・容器の底面は、その上にある水+浮力を負担しています。    ・従って、底面にかかっている圧力は、ボールを浮かばせなかったときよりも高くなります。 #327 【追加実験、考察等】    ・容器底面にかかる圧力の増加は、どのようにして計測したら良いでしょうか。    ・容器の底面或いは底面に近い側面において、水柱圧力計を接続し、水位の変化を観察します。 ボールを浮かせた時の水位上昇=18.0−15.5=2.5cm     容器の断面積=64cm2、ボールの重さ=150グラム、底面にかかる圧力=150/64=2.34グラム/cm2=23.4Kg/m2=2.34hPa=水柱で2.34cm。     写真左右の水柱圧力計の水位差=目分量で2.5cm でした。      ・この追加実験で、水柱の高さは 2.5cm上昇しました。この上昇は、容器底面の圧力増加によるものだろうか。     それとも、ボールが水を排除したことにより容器内で水位が上昇し、連動して水柱圧力計のほうも上昇したにすぎないのであろうか。    ・以下の「思考実験」を行います。     1.水柱圧力計の水位を2.5cm上昇させるためには、容器(断面積=64cm2)に水を追加し、その高さを2.5cmにすべきである。      (水位は、水位同一実験で容器の口径の大小には無関係であることが実証されています!)     2.水位を上昇させるため、2.5x64=160グラムの水が必要である。     3.160グラムの水による圧力増加を、ボールの重量による圧力増加に置き換えてやればよい。     4.水はボールに浮力を与える。     5.その浮力の反作用として、容器の底面は浮力に等しい力を負担する。       (浮力の反作用を無視することは、ニュートンの運動の第3法則を無視することになります。浮力と言う力を保障するためには、        必ず、その力を支える人が必要です。)     6.容器の内部の底面には「空気、水、浮力の反力」の合力がかかります。       (この合力を容器の断面積で割り算すると圧力となります。)     7.すなわち、この浮力の反力に相当する分だけ圧力増加となる。     8.思考実験の終了。    ・この実験及び追加した思考実験は、冒頭#320に書いた気球、油輸送船、飛行機が流体中に静止している場合に適用可能です。     しかし、流体中の物体が重力の方向に運動している場合には、これらの実験とは別の実験で検討する必要があります。(別の機会に。。)         ・興味深い追加実験がいくつかあります。次の場合、底面が受ける圧力はどのようになるでしょうか。     @気球を係留した場合、     A沈んだ物体が容器底面にピッタリくっついた場合、     皆さん、先ず「思考実験」してみてください。そして、その思考過程や結果(仮説)を実験で確認、実証してみてください。     実験の意義は、「仮説の検証」にありますね。    ・この実験は、実験33、密度成層を作る の内容をよりよく理解する上で、大変参考となる物です。     また、上記Aの問題の解答のヒントともなるでしょう。  先頭へ戻る 実験一覧表
#330 実験33    空気がじっと動かない状態、特に上昇気流や鉛直気流が無い場合の    空気の層は下層から上層に向かって、次第に密度が小さくなっていきます。    密度が逆順になるとそこに鉛直の運動が生じます。空気は目に見えないので、    家庭の台所にある身近な流体で模擬的に成層状態を作ってみましょう。    (ひとつの流体中に、密度の異なる物体が入ってくると密度成層の力のバランスが崩れます。     実験32、浮力の負担者は誰か?を参照して下さい。) #331 実験タイトル=密度成層を作る #332 実験の狙い=物質の密度の違いを体感する #333 実験装置の製作 and/or 準備 ・透明な容器、醤油、牛乳、油 #334 実験の実行と結果 ・容器の中に油、牛乳、醤油をこの順で、ごくゆっくり、静かに     注ぎ込みます。    ・「油、牛乳、醤油」が分離されて、層を形成します。 #335 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・油、牛乳、醤油を注ぎ込むときには、割り箸や鉛筆などに沿わせて     ください。勢いが強いと対流現象となってしまい、成層状態に     なりにくくなります。  #336 実験の解説 and/or 関連実験 ・油、牛乳、醤油は液体(流体)であり密度が異なります。    ・密度が異なると、浮力の関係で、力学的に安定な状態になろうとします。    ・この安定な状態は、上述しましたが、「静力学平衡」と呼ばれ、気象の世界では     最も基礎的な現象を表現するものです。    ・実験では、「層を形成」しました。すなわち、鉛直方向の動きが見られないことを意味します。     その運動が見られない理由こそが、「静力学平衡」或いは「静水圧平衡」とよばれる理論で、     気象現象では最も大事な理論です。     実験装置の中には、「ミニ気象空間」が形成されている、と言っても過言ではありません。    ・なお、空気もこの実験と同様で下層ほど密度が高いです。暖かい空気が下層にできた場合や     他所から風で運ばれてきたりすると、空気全体は(浮力の増減により)安定な状態に移行     しようとして、そこに上昇気流が生じます。    ・水平方向、鉛直方向に空気の流れがあると、and/or できると、そこには天気の変化が     あることとなります。    ・積乱雲が発達している光景をみることがありますが、そこには激しい上昇気流があること     を示唆しています。その積乱雲の下や周辺では、突風、雷、大雨などの現象が生じます。 #337 【追加実験、考察等】 ・参考のため各種の物質の密度を掲載します。
身近な物質の密度 
(単位:Kg/リットル)
海水     1.01-1.05 
水(4℃) 0.99997
水(20℃) 0.99820
氷(0℃)  0.917
新     約 0.12
蜂蜜・水飴 1.5 
醤油       1.2 
ウスターソース 1.1 
牛乳       1.03-1.04
酒         1.0
酢         1.0 
油         0.91-0.92 
灯油      0.80-0.83
松         0.52
竹       0.31-0.40
木炭      0.3-0.6
味噌       1.2 
食塩       1.1 
上白糖     0.6 
小麦粉    0.5 
カレー粉   0.4 

値は、理科年表、その他
Web Sitesよりの引用。
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#360 実験36    スプーンを鉛直にぶら下げても何も動きがありませんが、    水道の蛇口から流下する水流にスプーンを近づけると    スプーンが流れに吸いつけられていきます。スプーン1本の場合、    2本の場合で、水の流れ方やスプーンの傾きなどを注意深く観察    しながら実験してみよう。 #361 実験タイトル=吸いつくスプーン #362 実験の狙い=流れが力を生じる不思議を体感する
スプーン1本の場合
スプーン2本の場合
#363 実験装置の製作 and/or 準備 ・スプーン2本、水道 #364 実験の実行と結果 ・水道の水にスプーンのまるい部分(凸の部分)を近づける。    ・スプーン全体が水のほうにひきつけられる。    ・このとき、流下する水は曲面の沿って回り込むように見える。    ・今度は、スプーン2本を背中あわせにして、中間に水道水を流下させる。    ・2本のスプーンは背中あわせになって、カチカチ振動しつつ、互いに吸いつけられている。    ・流下する水の回り込みは見られない。    ・スプーンの凹部を水流に近づけると、スプーンは水流に弾き飛ばされます。  #365 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・水道の水を無駄使いしないようにすること。 #366 実験の解説 and/or 関連実験 ・流体は、凸の曲面のある物体に沿って流れる性質があり、コアンダー効果と呼ばれます。    ・左の写真で、凸の曲面に沿って流れた結果として、水流の向きがスプーンを回り込むように見えます。    ・飛行機の翼の上面も凸の曲面になっていて、空気は翼の凸の面にそってながれます。    ・このとき、翼の後上部において圧力が低下します。     ・2本のスプーンが水に吸いつけられるその力の源泉は、スプーンの凸部を流下する     水の圧力よりもスプーンの凹部を押す空気の圧力の方が大きいことによる圧力の差が     生じたものと考えられます。    ・
関連実験17、流れに閉じ込められたボールの実験も同様の論理です。    ・スプーンの凹部が弾き飛ばされる(押される)現象は、飛行機の主翼の下面に気流があたり揚力となる     要因になるのと同じ論理が適用できると考えられます。 #367 【追加実験、考察等】 ・台所にある、シャモジでも、箸でも、包丁でも、コップの丸い部分でも     凸になっているものは水に吸いつけられます。    ・追加実験として、鉄の玉を使ってみました。鉄の玉に細い糸を瞬間接着剤で貼り付けました。     鉄の玉を水流に近づけると、水流に取り込まれてしまい、水流から脱出できませんでした。     実験の様子を下の写真に示します。    ・なお、水道の蛇口付近よりも、下のほうが吸い付く力が幾分強いようです。    ・流下する水の速度は下方ほど速くなります。従って水の静圧は下方ほど低く、このため、     周りの空気の圧力に押されて、先細りの形状になっています。    ・水が「流線」を形成するためには、適量の水の供給が必要なようです。水の落下距離が長くなるにしたがい、     速度も増し、水の供給が不足し、水玉状になって落下します。
鉄の玉を、水の流れから離して、
糸で吊るす
鉄の玉を水流に近づけたら、
流れの中に取り込まれてしまった
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#370 実験37    寒冷前線が進行してくるとき、それは、寒気が進行してくることを意味します。    その寒気の先端を目で見ることはできませんが、模擬実験して推定できます。 #371 実験タイトル=寒冷前線 #372 実験の狙い=寒気の流れの形を見る
水槽の中を進行する牛乳(寒気)の先端形状に注目する
#373 実験装置の製作 and/or 準備 ・水槽、水、牛乳 #374 実験の実行と結果 ・水槽に水を入れる。    ・次に水槽の端から牛乳を静かに注ぎ込む。    ・牛乳の先端部分をよく見ると流線形になっている。 #375 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・水槽は透明で、ある程度長いものがよい。    ・この実験では、アクリル板を購入し、アクリル専用の接着剤で張り合わせ、     長方形の水槽を作りました。アクリル板の値段は結構高いです。     長さ=1m、高さ=5cm、横幅=5cmでした。    ・水と牛乳を使ったのは、安価で容易に手に入るからです。 #376 実験の解説 and/or 関連実験 ・牛乳の密度は水の密度よりもわずかですが大きいです。    ・このため牛乳は、水の下にもぐりこみ、進行して行きます。    ・このように密度の相違による流体の形の形成は、その物質が何であれ、特段の化学反応がない限りは、     寒気と暖気の場合にも適用できると考えられます。 #377 【追加実験、考察等】 ・この実験は、牛乳の先端が壁に当たった時、終了します。    ・そのあと、装置全体を静かに「放置」しておくと、水と牛乳の2つの層が形成されます。    ・気象の観点からの表現としては、気層は「安定な状態」になった、と言えます。    ・この「層」の様子は
実験33、密度成層を作る と同じです。     物質の密度は、同じ実験での#337 密度表を参照して下さい。    ・2つの空気の流れが衝突した時の様子はどのようになるか。     水槽のなかで2方向から牛乳を注入してみましょう。     下の写真では、衝突した付近で全体が盛り上がり、一方が他方の上に乗ろうとしています。 先頭へ戻る 実験一覧表
#380 実験38    回転している物体の速度が減少すると、軌道半径が減少し、かつ軌道が低下    してきます。じょうごのなかでビー玉を回すと、速度が減少してくると穴の    中に落ち込みます。ブラックホールに吸い込まれる感じがします。   #381 実験タイトル=ブラックホール #382 実験の狙い=回転物体が軌道の高度を維持するためには遠心力が必要である          ことを体感します。
ボトルの上部を持って、下部を回転する。ビー玉の
軌道半径はそれほど大きくならず、高度も高くならない
ボトルの下部を持って、上部を回転する。
ビー玉の軌道半径が大きくなり、上昇する
#383 実験装置の製作 and/or 準備 ・じょうご、ビー玉    ・じょうごがなければ、円筒形のペットボトルで代用してもOKです。 #384 実験の実行と結果 ・ビー玉をじょうごの中にいれて、回転させます。    ・適宜の速度で回転させると、ビー玉は落ちてきません。    ・速度が遅くなると、軌道の高度が低下し、やがて穴の中に吸い込まれていきます。    ・上の左右の写真は、ボトルの回転半径を大きくする部分を変えた時の様子を示します。    ・このとき右の実験では、ビー玉がボトル内の上部で回転することができました。     ビー玉の速度および軌道半径が大きくなったため、と考えられます。 #385 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・強く回しすぎると、ビー玉がじょうごのそとへ飛び出してしまうので、     (周りのガラスなどを破損したりする危険性があるので)適宜の速度で回してください。    ・ペットボトルをじょうご代りにして、しかも蓋をして回転する場合は、     ビー玉が飛び出す心配もなく安心して実験ができます。 #386 実験の解説 and/or 関連実験 ・ビー玉は、遠心力と重力が釣り合った高度で回転します。    ・ビー玉の速度を加速、減速してみると、軌道が上昇したり、或いは低下したりします。     ・人工衛星の軌道を変更(上下)する場合も加速、減速します。     人工衛星の速度が遅くなると、軌道が低下し、やがて大気圏の中に入り、地上に墜落してしまいます。    ・
実験16、浮沈子を作るの #167の記述「浮沈子救出作戦」を参照してください。 #387 【追加実験、考察等】 ・野球の投手がボールを手で保持したまま、腕を回転させ、適宜な位置でボールをリリースします。     その時ボールは、回転円弧の接線方向に運動(飛行)します。    ・この実験でビー玉がじょうごから飛び出す時には、その時の回転円弧の接線方向に運動し     (飛び出していき)ます。   先頭へ戻る 実験一覧表
#390 実験39    車で高速走行中に遠心力を体全体で感じますが、    自分の手の平で、遠心力の大きさを実際に感じてみましょう。     #391 実験タイトル=遠心力の大きさを感じる #392 実験の狙い=遠心力の大きさを感じ、体感する #393 実験装置の製作 and/or 準備 ・風船、ビー玉 #394 実験の実行と結果 ・風船の中にビー玉を入れる。    ・風船を膨らませる。    ・適宜の大きさたとえば直径20〜30cm程度になったら、口元を縛る。    ・風船全体を回し、風船の中でビー玉が回転していることを確認する。     ・ビー玉の回転軌道上に手のひらを当てると、ビー玉が手の平を押すことがわかります。   #395 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ビー玉の回転は余り強くしないようにします。    ・風船が破裂したり、さらにはビー玉がどこかへ飛んで行ってしまいますので。 #396 実験の解説 and/or 関連実験 ・遠心力は「見かけの力」と呼ばれますが、この実験のように「実際に」力を感じます。    ・ビー玉の回転がなくなれば、ビー玉が手の平を押す力はほとんどゼロになります。 #397 【追加実験、考察等】 ・実験#38、ブラックホールの#386でも書きましたが、ビー玉の速度を大きくすると     ビー玉の回転軌道が上昇します。確認してみてください。 先頭へ戻る 実験一覧表
#400 実験40    水をバケツに入れて、上下さかさまに、ひっくり返すと、水は当然のことながら    こぼれてしまいます。しかし、こぼれない状況を作り出すことができます。    下手をすると、水をかぶることもあるリスキーな実験です。 #401 実験タイトル=バケツを振り回す #402 実験の狙い=遠心力の効果を体感する #403 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル、丈夫な紐、水    ・大きいバケツを使って行うと、水をこぼす心配があるので、     2リットルのペットボトルの底部を切り取り、バケツの代用とします。    ・そして、手に持てるように紐を通します。 #404 実験の実行と結果 ・代用バケツに水を入れ頭上高く回転します。    ・水は容器の底にへばりつき、こぼれません。 #405 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・丈夫な紐を使ってください。紐が切れると、全体が何処へとんで     行くか見当がつきませんので、要注意です。    ・運動場や公園など、広い場所で実験してください。室内で行うには危険です。    ・この実験を終了するとき、すなわちバケツの回転を終えるとき、回転速度が落ちてきます。     このとき、水がこぼれないように「手さぐりで」回転を「なだめ」ます。     (サイエンスかかわる実験での表現としては、いささか不適切かも知れませんが、数値では      表現しにくい慣れ・技巧が必要です。)  #406 実験の解説 and/or 関連実験    ・冒頭の#400で書いた「水は当然のことながらこぼれてしまいます」、の状況においては     水には、地球の重力のみが鉛直下方に作用していました。しかし、どんな物体でも     回転状態になると、「遠心力」が加わります。この遠心力が重力よりも大きければ、     そして、紐が切れなければ、回転軸の方向にかかわらず、水はこぼれることはありません。 ・遠心力>重力の場合、回転する物体は回転中心から逃げて行こう(遠ざかろう)とします。    ・回転スピードが遅くなると、遠心力<重力となり、回転する物体全体が     円周軌道を保てなくなり、落下してきます。    ・この実験において、物体にかかる力関係は、「重力と遠心力との合力の方向に物体は力を受ける」、     と表現してもよいでしょう。 #407 【追加実験、考察等】    ・重力の方向を符号の+(プラス)として座標軸の方向を設定して考えるとき、     「合力=遠心力+重力」となります。すなわち、バケツが円周の一番下に来た時、回している     手には最大の力がかかります。バケツが円周の頂上(すなわち、自分の頭上)に来た時、     手には最小の力がかかることとなります。    ・注意して回していると、この状況を体感することができます。    ・実験83 水平面とは何か を参照して下さい。 先頭へ戻る 実験一覧表
#410 実験41    ヨーヨーを作ります。いろんな遊び方がありますが、私には    「犬を散歩させる」のも難しいです。    この実験では、遊び方はさておき、サイエンスの観点から    ヨーヨーの運動を観察してみます。 #411 実験タイトル=ヨーヨーを作る #412 実験の狙い=簡単な遊びの中に自然の働きの存在を体感する
コースター2枚で作ったヨーヨーです
#413 実験装置の製作 and/or 準備 ・コースター、串、糸 ・コースターを2枚用意し、中心部に小穴を開けます。    ・小穴に串を通します。    ・串に糸の先端を(テープ、のり等で)固定します。 #414 実験の実行と結果    ・糸を串に巻きつけます。    ・ヨーヨーの本体を手に持ち、静かに落下させます。    ・ヨーヨーは最下点に達したら、糸をたぐりつつ、上昇してきます。    ・以降、下降と上昇を繰り返します。    ・上昇する高さが次第に減少します。    ・1往復毎に、円盤の回転方向が逆転します。 #415 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・串の直径は小さいほうが、ヨーヨーは滑らかに、静かに運動します。    ・コースターは、ほかに木の円盤でももちろんOKです。    ・糸とコースターはできるだけ、接触しないようにする。    ・コースター(円盤)の表面はスベスベしている方がよい。    ・ヨーヨーの世界大会に出場できるくらいのヨーヨーを作るのは、なかなか難しいので、     この実験では、上記のごく身近な材料と簡単な作り方で、「ヨーヨーシステム」を作りました。     #416 実験の解説 and/or 関連実験 ・ヨーヨーの上下運動を起こす理由は、角運動量の保存の法則が適用され、説明されます。    ・ヨーヨーは、軸に巻き付けられた糸がほどけながら落下します。このほどけるときに     軸の(微小な)半径とコースターの自重による慣性モーメントが、回転力を生じます。    ・最下点に達したヨーヨーは回転速度が最大となっていますが、この時点での角運動量は     最下点であっても、消滅することなく、回転を継続しようとします。    ・この回転力があることが糸を手繰って上昇する力となります。    ・ヨーヨーは回転力が強い時は、少々の外乱に対して、影響を受けることはありませんが、     回転力が弱ってくると、糸とコースターがこすれた時のマサツ力の影響が顕著に効いてきて、     ヨーヨーの動きが乱れてきます。  #417 【追加実験、考察等】 ・糸とコースターがこすれることによるマサツ力等が、ヨーヨーの回転力にブレーキをかけます。     上下動を繰り返しながら、上下動の振幅が減少していきます。    ・n番目の上下動における上昇高さをhnとするとき、実験時間内における     合計の上昇高さhは(nを添え字とする) 、h=派n となります。    ・さて、ヨーヨーの最初の落下における高度差をh0とあらわすとき、h0<派n のように観察されます。    ・これは、「ヨーヨーシステム」のエネルギーが増加していることを示している。    ・何かがおかしいですね。。。 (実測値を下に掲載します。)           ・なお、ヨーヨーは、「コマ」と違って、糸が回転物体に縛り付けられていますが、     運動そのものは、両者とも大変似ていて、いろんな議論へ発展出来ます。    ・気象の現象とヨーヨーの運動とどんな関係があるでしょうか。     相互の関係はありませんが、気象現象の渦(たとえば、高気圧や低気圧の渦)の回転とヨーヨーの回転は、     その根底に「角運動量保存の法則」という法則が存在していて、現象を説明する根拠になっています。     気象予報士の方々にはお馴染みの「渦位保存則」(絶対渦度=(地球渦度+相対渦度)/渦の高さ、が一定であること)     の理論は、この角運動量保存則を使って説明します。この証明は拙著
天気図と気象理論、P.116 に掲載してあります。    先頭へ戻る 実験一覧表
#420 実験42    薄い紙や新聞紙、広告の紙など任意の形、サイズで飛行機の主翼を    作ります。先端にゼムピン等の重りをつけて飛ばします。    何回か試行錯誤すると、遠くまで飛んでいきます。 #421 実験タイトル=紙飛行機 #422 実験の狙い=紙飛行機をよく飛ばす工夫をする #423 実験装置の製作 and/or 準備 ・ありあわせの紙、はさみ、ゼムピンを用意する。 ・紙から翼を切り出す。    ・翼中央部にゼムピンをつける。 #424 実験の実行と結果    ・飛行機を飛ばす。    ・真っ直ぐ飛んだり、回転したりする。 #425 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・翼の形、大きさ、曲げ方など様々作って飛ばします。     すぐ曲がってしまったり、ゆっくり長距離を飛行したり、様々です。    ・試行錯誤を重ねると、どんな形の翼が自分の目的に     あったものかを見つけることになるでしょう。 #426 実験の解説 and/or 関連実験    ・物体が空中を飛行したり、浮遊したりする条件は何か。教科書を見れば書いてあるでしょう。     (そうは言っても→吸いつくスプーンに関連記事を掲載しています。)    ・その前に、まず、体感、実感してみましょう。     目的に向かって、何をどのようにすれ良いか、考え&試行してみよう。     紙飛行機つくりは、工夫することを体験できる最もとっつき易い実験の一つです。    ・本の中に書いてある理論は、ゲーテのファウストにある、      "Grau, teurer Freund, ist alle Theorie / Und gruen des Lebens goldner Baum."です。     灰色の理論を学ぶ前に、自然の生き生きとした、実の姿を見ることが大事です。 #427 【追加実験、考察等】 ・最長不倒距離、最大滞空時間、回転回数、宙返りなどできるように、     様々な形状の翼を作り、飛ばします。飛行競技大会ができます。 先頭へ戻る 実験一覧表
#430 実験43     ワイングラスに水を入れ、グラスの縁をこすると音が出ます。     子供たちは皆んなワイングラス演奏家です。 小さな指からきれいな音が出てきます。     次に、ワイングラスに水を入れ、カードでふたをして逆さまにします。     さて、水がこぼれるかな? 教室内には一瞬、緊張が。。。     この実験は、実験51 雨粒の大きさで行います。 #431 実験タイトル=ワイングラスで音楽を #432 実験の狙い=共振現象を体感する
ワイングラスの縁をこすると、きれいな音が生まれ出る
#433 実験装置の製作 and/or 準備 ・ワイングラに水を入れる。 #434 実験の実行と結果 ・人差し指に水を少しつける。    ・その濡れた人差し指でワイングラスの縁をこする。    ・音が出てきます。    ・水の量をさまざまにかえて、音を出してみましょう。 #435 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ワイングラスの肉厚はできるだけ「薄い」ものの方がよい音が出ます。    ・どんぶり鉢などの肉厚の容器をこすっても音が出ません。    ・共鳴・共振現象は、グラスの厚みに大きく左右されます。厚手の     グラスでは、音が出にくいようです。グラスの縁をこするとき、     指先がぬれていると音が出やすいようです。またグラスの大小、     入れる水の量によっても音が異なります。共鳴・共振の条件は     何なのか、手探りし、良い音をだしましょう。  #436 実験の解説 and/or 関連実験    ・薄い肉厚の容器は、振動しやすく、すぐに良い音が出てきます。    ・この実験で用意したワイングラスおよび、湯飲み茶わん、普通のガラスのコップの写真です。
音の出具合:
◎=すぐに音が出てくる、○=少しの努力で音がでる、
▲=努力するとわずかな音が出る、X=音なし
番号外形mm内径mm差mm肉厚mm音の出具合
69.360.68.74.35  X
61.458.82.61.30  ○
60.056.43.61.80  X
83.578.35.22.60  X
58.455.62.81.40  ▲
61.158.21.90.95  ○
57.154.13.01.50  ▲
65.363.22.11.05  ◎

寸法は、グラスの最上端をノギスで計測した。
   ・ワイングラスをつめで軽く弾いてみたとき、薄い肉厚のグラス程残響時間が長かった。     ◎印のグラスはやや高価で3000円近くしました。その他のグラスなどは100円     ショップなどで購入したものや台所の食器戸棚から持ってきたものです。 #437 【追加実験、考察等】    ・輪ゴムを伸ばして、中間を指で弾きます。引っ張る長さに応じて、音の高さが     低音から高音まで変わります。小さい菓子箱に輪ゴムを数本引っ掛けると、     ウクレレが出来ますよ。長さに応じて振動数が異なります。    ・ハーモニカや草笛などは、空気の流れが薄い金属や葉っぱを振動させて音が出ます。 先頭へ戻る 実験一覧表
#440 実験44    ブランコで遊ぶとき、背中を押してもらうと、高くまで到達します。    簡単なブランコを作って、背中を押す力の代わりに空気を送ります。    同じことですが、たまたま手に入れたイルカのおもちゃで同じことを実験してみます。 #441 実験タイトル=イルカの玉突き #442 実験の狙い=周期的な外力の働きを体感する #443 実験装置の製作 and/or 準備 ・洗濯バサミ、ボトルのふた、糸、物差し、鉄の玉、ビニールチューブ ・ペットボトルのふたを洗濯バサみではさみ、洗濯バサミに糸を通し、写真のように物差しにかけて吊るします。    ・ボトルの蓋には鉄の玉を乗せます。    ・以上でブランコの出来上がりです。 #444 実験の実行と結果    ・ブランコに向かってビニールチュ−ブから空気(呼気)を送ります。    ・間欠的、周期的に空気を送るとブランコの振幅が増大します。 #445 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ブランコの振幅にあわせて空気を送ると、振幅が増幅されます。    ・ブランコの振幅に合わないタイミングで空気を送ると、振幅は減少します。 #446 実験の解説 and/or 関連実験 ・ブランコの振幅は、風がふきつける周期によって、振幅が増大したり、減衰したりします。    ・橋や建物は、風から力を受けて振動します。これらの構築物の振幅が、風の波長に合うと振幅が増大し、     破壊することがあります。    ・米国のタコマ橋の崩落は、風の影響による事故として関係者にはよく知られています。 #447 【追加実験、考察等】 ・おもちゃのイルカで遊んでみます。    ・指先で外力を与えるのがタイミング的に難しいので、ビニールチューブから空気を吹き付けます。    ・振幅が増大すると、やがてイルカは、上空にある玉を突き始めます。      先頭へ戻る 実験一覧表
#450 実験45    水は通常0°で凍りますが、マイナス4°になっても凍らない場合があります。    この凍らない水は「過冷却」の状態にあります。上昇気流により、断熱的にもちあげられた水蒸気は、    上空で過冷却状態の水滴となります。そういう水を、地上の自分の家で作って見ましょう。 #451 実験タイトル=凍らない水を作る #452 実験の狙い=過冷却水を実際に作ってみる #453 実験装置の製作 and/or 準備 ・氷、塩、試験管、広口の容器、水、温度計2本、断熱材 #454 実験の実行と結果 ・広口の容器に氷を入れ、塩を入れ、かきまぜる    ・試験管に水をいれ、静かに【塩+氷】の水の中につける。    ・容器の中の【塩+氷】の温度を監視する。    ・温度がマイナス0°以下になったら、試験管を動かさずにさらに温度が低下するのを待つ。    ・別途、もう一本の温度計で、試験管の中の水の温度を監視しておこう。     マイナス4〜5℃でもその水は凍っていません。 #455 実験を効果的に行うための工夫、注意点等    ・実験の環境温度は低いほうが望ましいので、     広口容器全体を断熱材でかこんで実験するとよいでしょう。 ・水は、凍ることなく0℃以下になると、非常に「不安定な」状態になり、     何らかの外的な刺激、振動によって動かされると一瞬のうちに水が氷結してしまいます。 #456 実験の解説 and/or 関連実験    ・氷に塩をかけると、実験50、氷に塩をかける で行ったように、氷が溶けていきます。     そして、その塩水の温度はどんどん低下していきます。凝固点降下と呼ばれる現象です。 ・試験管の中の凍らない水は「過冷却水」と呼ばれます。 #457 【追加実験、考察等】 ・空の上空では、この「過冷却水」が存在していて、雨粒となり易い、と言われています。    ・詳しくは拙著「天気図と気象理論」のP.65(過冷却水滴と氷晶の共存状態における氷晶化促進の仕組み)を参照してください。 先頭へ戻る 実験一覧表
#470 実験47    冷水を入れたグラスで結露の観察と露点温度の計測実験をおこないます。    室温、湿度、グラスの壁面温度、気圧を測定します。    また、露点温度にかかわる理論につき、若干の説明をおこないます。 #471 実験タイトル=グラスの結露 #472 実験の狙い=露点という温度を知る #473 実験装置の製作 and/or 準備 ・グラス、冷水、室内温度計、放射温度計、湿度計、気圧計を用意する。 #474 実験の実行と結果 ・冷水をグラスに注ぐと、グラスの壁面に結露します。 室温、湿度、壁面温度、気圧は、下表のようになりました。
測定値

冷水の温度    13.6 コップの壁面温度 13.6 室温       25.2 湿度        62% 気圧       1020hPa
#475 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・物体の表面温度の計測のためには、放射温度計が便利で、有効です。 #476 実験の解説 and/or 関連実験 ・「露点」とは、空気の性質でなく、水蒸気の性質を表す物理量です。     ある空気塊(温度、圧力)が与えられたとき、その空気内で水蒸気が飽和     できる水分量には上限があり、これを飽和水蒸気量と言います。     この飽和状態の水蒸気を冷却していくと、やがて、湿度100%となり、 凝結、液化、結露します。      さて、水の相変化がグラスの表面で起こっています。      空気中の水蒸気は、温度に応じて、相変化し、液化します。暖かい空気に     含まれている水蒸気は、暖かい側の壁面に結露します。これは、暖かい側の     壁面が低温側の熱が伝わってきて、冷やされたためです。低温側の壁面が     結露しない理由は、熱が高温側から伝わってきて壁面を高温化し、従って、     飽和温度が上昇してしまうためです。いずれにしろ、高温側のグラス壁面で     露点にまで温度低下→高温側の空気中の水蒸気が飽和し、結露します。     上記の説明とともに、(特段の説明は行いませんが)下図も参考にしてください。   #477 【追加実験、考察等】    ・グラスに温湯を入れた場合とグラスプに冷水を入れた場合とでは、     グラスの壁面のどちら側に結露するかを確認します。     (尚、壁を伝って落下する水滴が次第に大きくなることを観察する。      温湯の場合、グラスにふたをしたとき、グラスの内部が煙ったように見える。これは雲です。      ふたに付着した水滴を虫眼鏡で観察すると、微小な水滴が無数に見えます。)    ・気象空間では、大気上昇→断熱膨張→温度低下、水蒸気が飽和し    (湿度100%となり)、凝結し、雲(霧、もやも含む)となる。     草木の葉っぱの上に露ができます。このほか、家屋における壁面     の結露や、車の窓ガラスが曇るのも同じ理屈です。     一方、露点温度を数表などから理論値として求めることができます。     この温度まで室温を低下すると、室内の湿度が100%となり、壁面に結露を生じます。
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#480 実験48    水が気化(蒸発)するときの気化の効果を測定します。 #481 実験タイトル=蒸発熱 #482 実験の狙い=気化熱(蒸発熱)の効果を測定する #483 実験装置の製作 and/or 準備 ・コップ、水、脱脂綿、温度計(棒状温度計、放射温度計) #484 実験の実行と結果 ・コップに水をいれ放置します。    ・コップの上部には脱脂綿を置き、水がすいあげられるようにします。    ・このとき、水の温度、コップの壁面温度、脱脂綿の表面温度を計測します。 #485 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・脱脂綿で水の蒸発を促進させます。 #486 実験の解説 and/or 関連実験 ・液体の水が、蒸発するとき蒸発のためには熱が必要となります。    ・この熱は気化熱or蒸発熱と呼ばれ、水及び周囲の物から調達されます。    ・このとき、熱を奪われた物は温度が低下します。
測定値(毎時)     0:00    1:00    2:00    3:00    4:00
水の温度          18.0    18.0    18.9    17.9     ---
コップの壁面温度    18.3    16.8    12.5    16.3     ---
脱脂綿の表面温度    13.6    12.4     8.9    10.1     8.1
   脱脂綿の表面温度の低下が著しい。これは、蒸発の潜熱(気化熱)が奪われたことによります。 #487 【追加実験、考察等】 ・ワインクーラーで水温が低下する場合、夏、打ち水で気温が低下するなどはすべて気化熱によるものです。    ・ためしに、物質(土、板、レンガ)によって温度差があるかどうか、追加実験してみました。    
物質ごとの表面温度変化
土、板、レンガの表面温度を計測した
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#500 実験50    氷釣りの実験の時に、塩をかけられた氷がグシャグシャになって    いることに気づきました。では、塩を氷の中心部分に置いたら、    その中心付近だけが、グシャグシャになるだろう、と考えました。    早速確かめてみましょう。 #501 実験タイトル=氷に塩をかける #502 実験の狙い=氷の性質を体感する
氷の中央部に塩を山盛りにする
ドーナツ状に穴があいた
#503 実験装置の製作 and/or 準備 ・冷凍庫で氷を作ります。     ほかに塩、皿を用意します。 #504 実験の実行と結果    ・氷の上に塩を小さじ一杯、山盛りにします。 ・塩の部分が次第に陥没していきます。    ・氷の厚さや室温によって違いがあるかも知れませんが、     この実験では、無風、室温28度、湿度77%の条件下で、     35分で氷の中央部にドーナツ状に穴があきました。 #505 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・室温や風の影響をできるだけ少なくします。    ・室温が高いと、氷全体が早く溶けてしまいます。 #506 実験の解説 and/or 関連実験 ・塩の部分が溶けて、次第に陥没していき、     最後には貫通してしまいます。    ・氷が溶けたのは、氷の凝固点が降下したためです。    ・冷蔵庫の中でこの実験を行ったらどうなるでしょうか。 ・グリーンランドの氷床にあいた穴「ムーラン」はどのようにして     できたでしょうか。目下専門家による研究が行われているようです。 #507 【追加実験、考察等】 ・塩をかける分量を少なくしてみました。    ・ほんのわずかとけたようですが、ふたたび氷結してしまったようです。     実験18の氷つりの実験の成否は塩の分量に影響されることが間接的に実証されたと思われます。     30分経過しても陥没していく様子は見受けられませんでした。    ・そこで、塩の量を増やし、山盛りにしてみました。     見る見るうちに陥没していきました。 先頭へ戻る 実験一覧表

#510 実験51    雨粒はどれだけ大きいものなのか。    さまざまな大きさの雨粒を作ってみよう。      #511 実験タイトル=雨粒の形 #512 実験の狙い=さまざまな大きさの雨粒をつくり、水滴の最大直径を推定する
さまざまな口径のチューブ等を用意します。
黒の数字は口径(内径、単位mm)を示します。
口径(内径)=0.3mm
水滴直径=2.2mm
口径(内径)=2mm
水滴直径=4.0mm
口径(内径)=4mm
水滴直径=5.0mm
口径(内径)=8mm
水滴直径=8mm
口径(内径)=12mm
水滴直径=10mm以下、或いは水滴形成不可能
#513 実験装置の製作 and/or 準備 ・ビニールチューブやストローなど(口径の異なるものを9種類)、水、広口の容器 #514 実験の実行と結果 ・ビニールチューブの先端に水を含ませる。    ・他端に注射器またはスポイドのゴムを接続し、空気を押し出す。    ・チューブの中の水は、チューブ先端で膨らみはじめ、やがて(或いは瞬時に)水滴となって落下する。    ・他の口径のチューブでも同様の操作を行う。     (上の写真には、実験の一部を掲載した。カメラと水滴の距離≒10cmで多少前後した。)    ・口径(内径)が10〜12mmになると、水の重さ>表面張力、となって水滴の直径は小さくなる。    ・口径が小さいほど、口径よりも大きな直径の丸い水滴ができる。    ・口径(内径)が8mmの場合は、水滴の直径も同じ8mm程度であった。    ・最大直径は、8mm〜10mmの間にあると推定される。 #515 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・特段の難しさはありません。誰でも簡単にできます。    ・ただし、チューブの外径や、材質によっても表面張力の大きさが異なりますので、     この実験の結果は、一つの目安を与える事例であると考えてください。  #516 実験の解説 and/or 関連実験 ・水の表面張力が雨の粒を丸くします。    ・表面張力には力の限界があって、ある程度の大きさの雨粒しかできません。     この実験では、チューブの口径が10mmを超えると、水滴のサイズは口径よりも小さくなると推定される。    ・実際の空間における雨粒の最大直径は8mm程度と言われています。  
#517 【追加実験、考察等】    ・実験43 ワイングラスで音楽をのあとで、以下の表面張力の実験に移行します。、    ・水を入れたワイングラスを硬い紙やカードなどで蓋をして     さかさまにします。水はこぼれるでしょうか。たいていの場合こぼれません。 ・カードの代わりにガーゼやハンカチでも試してみよう。 ・
ワイングラスにカードで蓋をして、さかさまにする。水はこぼれない
   ・雨の日、軒先や物干し竿に出来ている雨だれの形を観察してみよう。     水道の蛇口の閉め方が悪いとき、水滴がポタリポタリ落下します。    ・そこで、グラスの縁から水をたらして見てください。水滴となって落下します。    ・その水滴の形状は丸いですが、すべて水の表面張力によるものです。     この表面張力が発生する状況を観察し、そして力が生じる条件を     考えます。毛細管現象にも目を向けてみよう。 ・当たり前の現象ですが、水の中を上る空気の塊は気体のほうが丸いです。     一方、空気中においては、液体の水(水道の蛇口からの水滴、雨粒など)     の方が丸く、空気は丸くありません。入道雲も外に対して丸く(凸に)     なっています。なぜでしょうか。筆者にも分りかねますが、たぶん、     それぞれの内部の圧力が高くて、拡がろうとして、全体的に丸い形状に     なるのかな、と想像します。    ・「水」を中心にして観察するとき、前者は水が空気に対して凹の形状に      なっています。後者の場合は、水が空気に対して凹になっています。      水と空気が境界を接して空間に存在するとき、凹凸が異なりますね。      その疑問です。変な疑問をもつ人間だ、などと思われるかも。。 先頭へ戻る 実験一覧表
#530 実験53    虹或いは虹相当の光学現象は、気象空間に時々見られます。    私の虹に関する実験は、太陽光線のあるときに学校の教室や自宅    の室内の天井や壁、スクリーンなどに水を使わないで作ります。    PCやプロジェクターも使わないで、しかも部屋の中で結構大きい虹が出来ます。    部屋一杯の大きな虹を作ってみよう。    こんな虹が出来ました。(部屋は少し暗くしてあります。) #531 実験タイトル=大きな虹を作る実験 #532 実験の狙い=無色透明な光の中に色があることの不思議に気付かせる    
大きな虹の中に入って遊びます
   
大きな虹の中に入って遊びます
   
太陽光線で作った虹は遠くまで映ります
   
#533 実験装置の製作 and/or 準備 ・講師があらかじめ製作した虹作成装置を使います。    ・教室の窓のカーテンを引き、室内を暗くします。  #534 実験の実行と結果 ・光源として、太陽光線を使います。    ・太陽の角度に応じて、プリズム及び反射鏡の角度を調整し、天井や壁に虹を投射します。    ・水を使わなくても、円形の虹が天井や壁などに投射されます。    ・虹の光の中に入ると、単色光を見ることが出来ます。 #535 実験を効果的に行うための工夫、注意点等    ・太陽光線はとても強いので、明瞭な虹ができやすいです。 ・曇りや雨の時には、代替的光源として、光量ははるかに少なくなりますが、     LEDライトを利用します。    ・子どもたちは暗い教室内で壁に投影された虹をつかもうします。     その時、床に這わせた電源ケーブルに足を引っかけないよう注意します。    ・光線の方向、プリズムの角度、凹面鏡の角度に応じて虹ができたり     まったくできないこともあります。虹が投影される方向も壁や天井など     さまざまになります。 #536 実験の解説 and/or 関連実験 ・雨上がりの空に虹が見えることがあります。    ・空気中に水滴が浮遊していて、この浮遊している水滴がプリズムの代わりに    なっています。    ・光が水滴(プリズム)の中を通過するとき、波長に応じて屈折の角度が異なり    分光されて見えます。    ・空気中の雲も水滴です。この雲(水滴)が太陽光線を受けて、幻日と呼ばれる     光学現象を発現することがあります。    ・コップに水をいれて光を投射すると、影の中に虹色の模様ができます。 #537 【追加実験、考察等】     虹のひとつひとつの色は連続的な色のスペクトルの中に見られます。     この虹のスペクトルの中にカメラを設置すると、「単色光」が撮影できます。         
分光された光のスペクトル
   
単色光(クリックすると大きくなります)
    
      
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#540 実験54    何気ない地表面が、一見水を含んでいないように見えても、    地震の時には、地中から砂まじりの水が噴出することがあります。    噴出させるのは難しいですが、砂の中に埋設物代わりに醤油さしを埋め込んでおき、    どのような現象が生じるか、実験してみましょう。 #541 実験タイトル=液状化現象 #542 実験の狙い=液状化現象を起こす
砂に水を含ませ、砂の表面を突き固める
固まった砂の表面
全体振動後、水の浸み出し&醤油さしの浮上
#543 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル、砂、水、醤油さし #544 実験の実行と結果 ・ペットボトルに砂と水をいれる。    ・水量は砂の表面が濡れる程度にする。    ・ボトル全体に上下左右の振動を与えます。    ・砂の表面に水が浸み出してきます。    ・砂の層は全体的に流動化します。    ・砂の中に醤油さしを埋め込んでおくと、全体をゆすった時に、砂の表面に現れてきます。 #545 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・水量は試行錯誤して、全体を揺らせた時の水の浸み出し具合をみて決めます。 #546 実験の解説 and/or 関連実験 ・表面近くの砂は、固体同志のマサツ力によって、お互いに外部からの強い力に抵抗します。    ・しかし、全体に振動が加えられると、水が砂と砂の間の隙間に入り込み、全体的に流動化します。    ・固体だけであった表面の砂は水を含み、重力に引かれ、下方に移動し、下方にあった水を押します。    ・すなわち、砂まじりの水が下方の水に圧力をかけることになります。    ・加圧された水は、逃げ場所がない時、上方へ浸み出してきます。    ・醤油さしは、砂や水に比べて比重が小さいので、水や砂から浮力を受けて、浮上します。     関連実験として、 実験33、
密度成層を作るの実験を参照してください。 #547 【追加実験、考察等】 ・レイノルズのダイラタンシーとよばれる粘性流体の挙動に関連しています。    ・粘性流体は加える力の強弱によって硬くなったり、ドロドロした状態になったりします。    ・写真は、水を含んだドロドロの状態の砂と、同じドロドロ状態の砂をかたく握って力を加えた後の状態です。
水を含んだ砂、流動的です。
砂をかたく握った後、ごつごつした感じの形状。
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#550 実験55 川や池の底から砂を含んだ水がボコボコ湧き出している様子を    見かけることがあります。「湧水」です。    この湧水の様子を観察するため、湧水装置を作ってみましょう。 #551 実験タイトル=湧水装置を作る #552 実験の狙い=湧水の噴き出す様子を観察する
湧水装置、全景。給水部分、サイフォン、湧水池が見える。
湧水池。湧き出し口が中央部に、まわりに砂がある
湧水池。水と砂がボコボコ湧き出している
#553 実験装置の製作 and/or 準備 ・ペットボトル、ビニールチューブ、砂、水    ・ペットボトル底部を切りとり、ビニールチューブを通して、湧水池とする。    ・湧水池には、湧水口が隠れる程度に砂を入れる。    ・もう一本のペットボトルに水を入れ、給水装置とする。 #554 実験の実行と結果 ・ビニールチューブの他端を給水装置につなぐ。     このとき、給水装置から湧水池への水の注入開始は、サイフォンの原理を利用する。    ・水が湧水口から湧き出し、砂とともにボコボコ吹き出します。    ・本物の湧水のようにみますす。  #555 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・砂はできるだけ、濁りがないようによく洗っておく。    ・湧水池への給水チューブに砂が入ります。目の細かいしかも水を通しやすい布きれを     フィルター代わりにして、湧水の噴出口をカバーするとよいでしょう。 #556 実験の解説 and/or 関連実験 ・この実験は、
実験61、間欠泉 と同じく噴水の実験です。 #557 【追加実験、考察等】 ・日本各地、世界各地に湧水があります。    ・湧水の存在は、環境状態の良否を示すバロメーターではないか、と私は考えています。    ・富士登山の帰途、JR三島駅の南西方向にある柿田川の湧水を見る機会がありました。     以下ごく一部ですが、そのときの写真です。大変きれいな水で、公園内にはそのまま     ひしゃくで汲んで飲めるようにしてありました。
柿田川、湧水している様子。直径5m程の円筒の
中央部から水と砂がボコボコ湧き出している
柿田川、湧水。
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#560 実験56    日常生活において「方角」を必要とすることは、あまりありませんが、    サイエンスの世界の実験においては、正確な方角を必要とする場合があります。    どのようにして、正しい方角を決めるか、いろいろありますが、筆者が行っている方法をご紹介します。 #561 実験タイトル=真の南を決める #562 実験の狙い=方角を正確に決める方法を体験する #563 実験装置の製作 and/or 準備 ・太陽+糸+5円玉+板+時計    ・5円玉を糸で結ぶ。これを2組用意する。 #564 実験の実行と結果 ・作っておいた2組の5円玉と糸を、晴れた日に、水平な板の上でたらすと、2つの糸の影ができます。    ・観測地点における、緯度、経度からその地点のその日の太陽の南中時刻を     別途求めておきます。     実験60、雲の高さを測る の#606にも記述してありますが、下記web Site を利用すると南中時刻が求められます。
    位置の計算→国土地理院の地図を表示する。地図をクリックすると、北緯・東経が数値で表示される。 
    角度の計算→緯度・経度の数値を代入して→方位角、距離を求める。
    時刻の計算→国立東京天文台(緯度・経度を入力して、その地点での日の出入り、南中時刻を求める。)
    地図や方角の話→地図や方角などの用語解説
   ・その時刻における上述の2つの影が一致した方向が「真」の南北方向になります。 #565 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・影を落とす板は水準器で正しく水平にします。    ・板は、風などにとばされないよう、地面や壁、塀、しっかりした三脚などに固定しておくとよいでしょう。    ・糸と5円玉でなくても、「鉛直」な影ができるものなら何でも利用して下さい。     建物や塀は通常鉛直に立っているので、その影をうまく利用することが考えられます。 #566 実験の解説 and/or 関連実験 ・太陽の南中する時刻における太陽の方向がその地点の「真の南」になります。    ・真の南が決定できれば、真の東西南北、すべての方角が決定できます。 #567 【追加実験、考察等】 ・この実験は、実験57、日時計を作る の基礎となる実験です。    ・なお、方位磁石の磁針は、真の北よりも6°程度西方向に傾いています。この角度は、「偏角」と呼ばれています。    ・夜間においては、北斗七星やカシオペアなどの星座を見て、北極星を見つけ、おおよその北方向を決めることができます。 先頭へ戻る 実験一覧表
#570 実験57    日時計を作ってみましょう。    そして、地球が動いていることは時計だけでなく、ほかに気象現象の形成にも大きく    影響していることにも言及します。 #571 実験タイトル=日時計を作る #572 実験の狙い=地球が動いていることを考えるきっかけとする
地軸と水平面の関係の概念図
丹沢山系、大山、阿夫利(あぶり)神社境内の日時計
日時計、左の写真の各部分の説明
#573 実験装置の製作 and/or 準備 ・板、ボール紙、つま楊枝 ・板に押しピンで穴をあけ、つま楊枝を突き刺す。    ・つま楊枝は鉛直に立てます。    ・ボール紙をその地点の緯度に等しい角度で三角形に切り抜きます。    ・板上のつま楊枝に、三角形に切り抜いたボール紙をテープで貼り付け固定します。      #574 実験の実行と結果    ・三角形のボール紙の方向を、「真の南北」方向に向けます。    ・三角形のボール紙の影が時刻とともに板上を回っていきます。 #575 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・板は水平に設置します。このため、水準器を使って調整します。      (水準器は、100円ショップでスケールに付いたものが売られています。) #576 実験の解説 and/or 関連実験 ・太陽による影が回っていくように見えるのは、地球が回転しているためです。 #577 【追加実験、考察等】 ・地球が回っていることは、気象現象、たとえば台風や低気圧などの渦巻の回転方向を形成する     原因になっています。物理学や力学の世界では、「フーコーの振り子」が、地球の回転を示す     ものである、として、各地の科学館などで設置、展示されています。     フーコーの振り子は、見かけの力としてのコリオリの力とも密接に関連しています。詳細は、別途記載予定です。
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#580 実験58 ======準備中です======== #581 実験タイトル=新聞天気図 #582 実験の狙い=xxxを体感する #583 実験装置の製作 and/or 準備 ・ #584 実験の実行と結果 ・ #585 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ #586 実験の解説 and/or 関連実験 ・ #587 【追加実験、考察等】 ・ 先頭へ戻る 実験一覧表
#590 実験59    NHK第2放送で気象庁予報部の気象通報が発表されます。    気圧、風向、風速等です。放送を聞いて、等圧線や前線を描いてみます。    等圧線は交差しない一筆書きのようなものです。結構難しい場合があり、    また、さまざまな疑問に遭遇することもあるでしょう。    地上天気図は、多くのことを語ってくれます。特に、地上の気象現象は、上層の大気の流れと    密接に結びついています。高層大気の力学的な話題も重要ですが、先ず、地上天気図をみて、    大気の構造を頭脳空間に展開してみてください。 #591 実験タイトル=ラジオの気象通報 #592 実験の狙い=等圧線を引いて見て、高気圧や低気圧の空気が実際に存在することを認識し、          天気の予想に役立てる。 #593 実験装置の製作 and/or 準備 ・ラジオ、白紙の天気図、鉛筆 #594 実験の実行と結果 ・NHKの第2放送(9:00,16:00,22:00JST に放送)を聞く。    ・観測地点ごとの気圧と風向をメモ用紙書きとめる。    ・1000hPa と 1020hPaの等圧線を引いてみる。    ・天気図から得られる情報、判断・予測される天気の状況と現在の自分の頭上の天気を対比してみて、     その相違の原因を考えてみる。  #595 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・一筆書きの要領で、1000hPaの点をつなげてみる。    ・次に、1020hPaの等圧線を引いてみる。    ・慣れてきたら、4hpaごとの等圧線を引いてみる。    ・線は交差しないこと。  #596 実験の解説 and/or 関連実験 ・等圧線は必ず閉曲線となります。    ・高気圧、低気圧の存在が浮かび上がります。    ・そして、風向が定まります。    ・風は、高気圧・低気圧いずれの風でも温度や水蒸気を運搬します。    ・その温度と水蒸気が地域ごとの地形の影響を受けて、地域特有の気象現象を生じます。  #597 【追加実験、考察等】 ・手製の白紙の天気図を用意しました:
ラジオ天気図を描くために:NHK の気象通報を記録するための記入用紙です。(筆者作成の記入用白紙です。)
ラジオ天気図を描くために:NHK の気象通報を解析するための白地図です。(筆者作成の記入用白紙です。)
気象解析の結果や途中状況を地図上に描くためのワークシートです。(筆者作成の記入用白紙です。)
    大きな書店等に、記入用の白紙の天気図が販売されています。
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#600 実験60    目に見える雲は、いったいどれだけの高度に浮かんでいるのだろうか。    その雲の下にはどんな街があるのだろうか。    こんな素朴な疑問を持ったことはありませんか。    私は、なんとかして、雲の高さを測りたいと思い、友人たち或いは家族の    応援を求めて、時々実測します。デジカメを利用して、雲の位置を特定する    こともあります。    特に、雲が一定の高度と速度で流れているときには、ひとりで実測できる    可能性があります。以下実測例を含めて、実験の様子を示します。 #601 実験タイトル=雲の高さを測る #602 実験の狙い=雲の高さを実測体験する #603 実験装置の製作 and/or 準備 ・地図、分度器    ・文房具の分度器は小さいので、正確な角度を求めるため、大きな分度器を     自作しておきます。    ・さらに、高度(すなわち仰角)を求めるには、「確かな」鉛直あるいは水平     を必要とします。そのための装置も自作しておくとよいでしょう。    ・目標物への仰角を定める器具の自作例→下の写真を見てください。     #604 実験の実行と結果 ・自宅で雲の高度と方角(この実験のときは西)を分度器で計測する(高度α=29°)    ・1KM程度離れた地点で、雲の方角(同じく西)を分度器で計測する(高度β=13°)    ・地図上で自宅(A点)と、もう一か所の観測点(B点)を定め、AB間の距離Lを求める(L=1200m)    ・ABの直線は計測対象とした雲位置を含み同一直線上にあるとする。    ・幾何学の問題です。雲の高度H=Lx(tanαxtanβ)/(tanα-tanβ) となります。    ・小学生にとってはまだ習っていない問題ですが、演算はごく簡単です。    ・H=1200x0.554X0.231/(0.554-0.231)≒475m となります。 ・計算のための数表です。
角度αのときの
tanαの値を求める:
α tanα

4    0.070
6    0.105
8    0.141
10   0.176
12   0.213
14   0.249
16   0.287
18   0.325
20   0.364
22   0.404
24   0.445
26   0.488
28   0.532
30   0.577
32   0.625
34   0.675
36   0.727
38   0.781
40   0.839
42   0.900
44   0.966
計算が面倒な場合は、こちらでも計算できます。 私のHPにおける計算は、JavaScript and/or Java でプログラミングしてあります。 このためIEによって画面がセキュリティー上ブロックされることがあります。 警告メッセージが表示された場合、ブロックを解除して進んで行ってください。 観測対象物や観測目的に応じた計算を用意しています。
  2.の計算では、観測値に誤差が入っていることを想定し、正しい観測値を推定   する方法を提供しています。すなわち、観測2地点からの雲の高さを算出し、   高度の差(高度誤差)を算出していますが、高度誤差=0Kmになれば、観測値は   正しかったことになります。そこで、高度誤差が0になるように、入力した角度   を試行錯誤的に変えて、正しい観測値を推定することができます。      3.(飛行機雲)および4.(積乱雲)の計算においては、それぞれの画面を   クリックすると関東地域の地図を表示します。雲がどの地点の上空にあるか 推定する助けになります。観測地点A(任意の地点)を画面中央に表示したい   場合、ドラッグして地図を移動することもできます。 #605 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・観測地点Bは決まった地点をあらかじめ設定しておき、自転車で数分程度以内に     行くことができれば、観測誤差は少なく、雲の高度Hがもとまるでしょう。 #606 実験の解説 and/or 関連実験    ・子供たちに対しては、山とか建物の高さを測るためにはどうすればよいかの     話しをしてあげましょう。そこから「測量」とか「幾何学」と言った人類に     とって必要な学問が発達してきたことを話しましょう。 ・他にも一人でできる実測方法がいくつかあります。たとえば、     旅客機の飛ぶ高度(約1万m)や山の高度(近くの山や遠くにある高い山)と     高度を比較してみる、     気象庁のウィンドプロファイラー画像から雲の流れる速度を推定できる場合、     気象庁のレーダー画像を利用して、雲の位置を推定できる場合【実例準備中】     ライブカメラを利用して雲への仰角や方位角を推定できる場合【実例準備中】     などです。 ・精密機器による観測ではないので、いずれの方法も誤差が生じます。     したがって、おおよその高度を求める上では手軽な方法です。 ・関連情報の提供:     真北の決定→国土地理院の地図で真南を求め、その180°反対側。     真南は、時計の短針を太陽方向にあわせ、     時計の文字盤の12時と成す角度の半分の方向が真南になる。     太陽の南中時刻→北半球において、太陽の中心がその地点の子午線を通過する時刻。    (一般的には、「正中」と言う。)     磁北→真北基準で、4〜10°北北西方向へずれている。この角度を「偏角」と言う。     日の出入り→大気差(35分8秒を含み)、太陽の上辺が地平線に一致した時点。     位置の計算→国土地理院の地図を表示する。地図をクリックすると、北緯・東経が数値で表示される。      角度の計算→緯度・経度の数値を代入して→方位角、距離を求める。     時刻の計算→国立東京天文台(緯度・経度を入力して、その地点での日の出入り、南中時刻を求める。)     地図や方角の話→地図や方角などの用語解説     旧東京天文台位置(港区麻布台2−1)→北緯35°39′16″.0、東経139°44′40″.9 #607 【追加実験、考察等】    ・二人で観測する場合には、雲の高さを測る を見てください。    ・二人で観測する場合の最も大きな問題は、離れた2地点から同一の雲を     同時に見ていることを、いかに確定するかにあります。    ・夏の夜の風情、花火大会。自宅と会場の距離は既知であるとすれば、     花火が開いた時の仰角を測定できれば、花火の高度が算出できますね。    ・東京タワーとか、富士山の高さも高度算出ができますね。     雲も建物も、建築物もすべて同じ算出の論理を適用できますね。     そういえば、同じ論理で、自分の部屋の中でも天井の高さを算出できますね。    ・下の写真は、2008年8月7日、自宅から撮影した60Km遠方の房総半島上の積乱雲です。 この積乱雲の位置はレーダー画像で特定できました。(ししおどしの実験31でも言及) 自宅からの積乱雲への仰角を測定したところ≒12°でした。    ・積乱雲の高度=60*tan(15°)=60*0.21=12.6Km、と算出できました。        
発達中の積乱雲、仰角12°
気象庁のレーダー画像です、距離≒60Km
   ・下の写真は、自宅と羽田から同一の雲を(2008Sept03,14:22JST)撮影したものです。    ・羽田の写真は、インターネットに公開されている「東京ストリートチャンネル」の画像を 事前了解のもと、ここに掲載させていただきました。     計算の準備     @自宅での雲への方位角、=E0+4.0°、雲の仰角、=5.2°     A羽田での雲への方位角、=E0+0.0°、雲の仰角、=7.0°      B自宅〜羽田間の距離、=18Km  (ただし、E0=90°)の条件で、計算できます。     関連する計算を再掲します。     位置の計算→国土地理院の地図を表示する。地図をクリックすると、北緯・東経が数値で表示される。      角度の計算→緯度・経度の数値を代入して→方位角、距離を求める。    ・積乱雲の高度は、A点からの仰角を使用したとき10.3Km。B点での仰角を使用したとき11.9Km、と算出できました。     このときの積乱雲の位置は、房総半島九十九里浜の東の海上にあり、自宅から≒110Km離れていると推定されます。     (下記計算画面参照。なお、観測した仰角や方位角は今後さらなる精緻な検討により変わる可能性があります。) 上述(#604)の計算画面の選択においては、こちらの計算方式を採用します。    
自宅で撮影、
羽田からの画像
   ・このときの計算画面です。     先頭へ戻る 実験一覧表
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