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 気象の境界領域(議論の全体像) 忘れ得ぬ実験 
 
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気象実験

Originated 2007-09/01, Last updated 2008-01/29,02/03,5/27,6/02, 8/07, 9/06
   気象に関する実験の様子を写真でお伝えします。掲載したほとんど全部の    実験は成功しましたが、中にはうまくできなかったものもあります。    うまくできなかった場合、その原因や実験の条件を考えることが大事です。    うまくできたときには、そのバリエーションを考え、実行してみましょう。    どんな実験でもやりっぱなしにせずに、ちょっと立ち止まって「考え」て    見ましょう。    本書の実験の目的は、身近な素材を使って、気象の仕組みを体験・体感し    つつ、科学的思考を醸成することを目的とします。    実験の題材は、拙著気象ノートシリーズの#1「大気の流れ」、および    #2「天気図と気象理論」などから求めました。    目下at randomに掲載中ですが、今後項目を増やしつつ全体整理予定です。
   虹或いは虹相当の光学現象は、気象空間に時々見られます。    私の虹に関する実験は、太陽光線のあるときに学校の教室や自宅    の室内の天井や壁、スクリーンなどに水を使わないで作ります。    結構大きい虹が出来ます。試行錯誤中ですが、たとえば    こんな虹が出来ました。(部屋は少し暗くしてあります。)    大きな虹を作る1    大きな虹を作る2    大きな虹を作る3(5m先、9m先)    大きな虹を作る4(分光された光のスペクトル)
    
    
テーマ
内容の概要
大気の力
1.怪力袋。
Try.
    辞書などの重量物の下にスーパーの買い物袋を置き、袋内部に空気を
    吹き込みます。すると、重量物が簡単に持ち上がります。
        子供たちに袋を押さえてもらい、力くらべしてみます。
Variation.
    もしうまくいったら、辞書の代わりに石油缶、或いは小さい子供さん
    を板の上に乗せて、同じ実験を試みてください。
    力いっぱい空気を吹き込みます。袋のジャッキみたいなものです。
    空気は、1u当たり10トン、従って、0.3*0.3u当たり900kg持ち
    上げます。
Think.
    以上の実験では、板の面積や袋は、大きいほど楽にできるでしょう。
    そして、袋の強度、袋とチューブの密着性が成功のカギとなります。
    呼吸が苦しいときは、空気入れを利用しましょう。小さい力が何ゆえ
    重たいものを持ち上げることができるのでしょうか。パスカルの原理は
    どこに作用しているのでしょうか。
共鳴現象
2.ワイングラスで音楽を。
Try.
    ワイングラスに水を入れ、グラスの縁をこすると音が出ます。
    子供たちは皆んなワイングラス演奏家です。
        小さな指からきれいな音が出てきます。
Variation.
    輪ゴムを伸ばして、中間を指で弾きます。引っ張る長さに応じて、
    音の高さが低音から高音まで変わります。小さい菓子箱に輪ゴムを
    数本引っ掛けると、ウクレレが出来ますよ。長さに応じて振動数が
    異なります。実験#16タコマ橋の橋げたの固有振動数の問題に
    発展します。
Think.
    共鳴・共振現象は、グラスの厚みに大きく左右されます。厚手の
    グラスでは、音が出にくいようです。グラスの縁をこするとき、
    指先がぬれていると音が出やすいようです。またグラスの大小、
    入れる水の量によっても音が異なります。共鳴・共振の条件は
    何なのか、手探りし、良い音をだしましょう。    
表面張力
3.ワイングラスを逆さまにする。
Try.
    ワイングラスに水を入れ、カードでふたをして逆さまにします。
    さて、水がこぼれるかな? 教室内には一瞬、緊張が。。。
Variation.
    カードの代わりにガーゼやハンカチでも試してみよう。
    雨の日、軒先や物干し竿に出来ている雨だれの形を観察してみよう。
    水道の蛇口の閉め方が悪いとき、水滴がポタリポタリ落下します。
Think.
    これらの水、水滴の形状はすべて、水の表面張力によるものです。
    この表面張力が発生する状況を観察し、そして力が生じる条件を
    考えます。毛細管現象にも目を向けてみよう。

    当たり前の現象ですが、水の中を上る空気の塊は気体のほうが丸いです。
    一方、空気中においては、液体の水(水道の蛇口からの水滴、雨粒など)
    の方が丸く、空気は丸くありません。入道雲も外に対して丸く(凸に)
    なっています。なぜでしょうか。筆者にも分りかねますが、たぶん、
    それぞれの内部の圧力が高くて、拡がろうとして、全体的に丸い形状に
    なるのかな、と想像します。

    「水」を中心にして観察するとき、前者は水が空気に対して凹の形状に
     なっています。後者の場合は、水が空気に対して凹になっています。
     水と空気が境界を接して空間に存在するとき、凹凸が異なりますね。
     その疑問です。変な疑問をもつ人間だ、などと思われるかも。。
遠心力
4.風船で遠心力を感じる。
Try.
    大きな風船にビー玉を入れたまま、ふくらませ、ビー玉を回転します。
    風船の壁から手のひらに押す力を感じます。
       「遠心力」と呼ばれる力の大きさを感じます。
Variation.
    自転車で街角を曲がるとき、車輪と体全体を内側に傾けます。
Think.
    どんな物体でも、回転運動するとき、中心の半径方向、すなわち
    外向きに遠心力がかかるので、その力と向心力がバランスします。
    全体の重量、回転半径、回転速度が遠心力の大きさを決定します。
    回し過ぎると風船が破裂し、ビー玉が飛び出し、危険です。
    車も自転車も、そして列車も猛スピードで曲がることは、とても
    危険で、事故につながります。
吸盤の力
5.吸盤の力はどこから?
Try.
    直径3cm程度の吸盤を2つピッタリ合わせてから、鉄アレイを吊り
    下げます。吸盤の力はすごいのだ。本当は大気の圧力の力です。
Variation.
    マグデブルクの半球の実験として有名です。
Think.
    吸盤をくっつける操作は、その間の空気を排除していることになるのです。
        2つの吸盤のあいだには空気が無く、真空になっているのです。
    その部分の気圧=0、吸盤の外側=1気圧。この圧力差=1−0=1気圧。
        この差の1気圧が面積にかかる力となります。
    実験#1怪力袋と同じく、大気の圧力がどのようにかかるか、を考えます。
    力の差をどのようにして生じさせるか。力はどのようにして伝わるかを
    考えます。
    力のかかる方向を逆に考えるとき、まったく違った世界が現れます。
    風船を膨らませる。ホーバークラフトの浮上。
    逆転の発想が何かの役に立つかも知れません。
    発想の一番容易なものは、「連想」することですが、「逆」とか「反対」
    を考えることも、結構容易です。試してみてください。
台風
6.台風の渦巻きを見る。
Try.
        台風6号の渦巻きが回転している様子のアニメーションをPCプロジェクターで
    映します(気象庁HPより)。
Variation.
    多摩川が増水している様子の写真も紹介します。
    川に近づかないことや防災の話しをします。停電などで、水道が止まる
    かも知れない。そこで、台風の水をためておけば、飲むこともできるよ。
Think.
    地上の1点に立っていて風向を継続的に観測すると、時間経過とともに
    風向が変化します。その風向の先端を連ねると(ホドグラフと言います)
    円弧となります。円弧の角度の大小は遠い台風、近くの台風を示唆します。
    この円弧は、何ゆえ円弧となるのだろうか。台風の渦巻きとどんな関係に
    あるのだろうか。観察者と被観察物との相対的な位置関係を考えるきっかけに
    なります。
氷の融解
7.氷が融解するときの水面の変化を見る。
Try.
    メスシリンダーにきっちり10CCの水を入れ、冷凍します。
    氷結すると、氷の表面は11ccのところまできます。
    氷が解けると水位は低下していき、元の10ccに戻ります。
Variation.
    一足飛びに北極海に行ってみましょう。海水面に浮いている氷や
    氷山が溶けていきますが、海水面は上昇するでしょうか。
    答えは、NOです。この実験が答えを出しています。ただし、
    南極大陸の氷が解けて、海に流れ出せば水面は上昇します。
Think.
    物質は、温度が変化すると体積が変わります。特に水は「相」も
    変わりますので、外見も異なってきます。膨張や相変化の世界に
    目を向けてみよう。夏場、鉄道の線路が、ぐんにゃり曲がるのも、
    コンクリートの壁に亀裂が入るのも、膨張・収縮が関係しています。
紙飛行機
8.様々な形状の翼を作り、飛ばします。飛行競技大会ができます。
Try.
    薄い紙や新聞紙、広告の紙など任意の形、サイズで飛行機の主翼を
    作ります。先端にゼムピン等の重りをつけて飛ばします。
    何回か試行錯誤すると、遠くまで飛んでいきます。
Variation.    
    翼の形、大きさ、曲げ方など様々作って飛ばします。
    すぐ曲がってしまったり、ゆっくり長距離を飛行したり、
    様々です。試行錯誤を重ねると、どんな形の翼が自分の目的に
    あったものかを見つけることになるでしょう。
Think.
        物体が空中を飛行したり、浮遊したりする条件は何か。教科書を
    見れば書いてあるでしょう。その前に、まず、体感、実感してみましょう。
    本の中に書いてある理論は、ゲーテのファウストにある、 
    "Grau, teurer Freund, ist alle Theorie / 
    Und gruen des Lebens goldner Baum."です。
    灰色の理論を学ぶ前に、自然の生き生きとした、実の姿を見ることが
    大事です。
流線曲率
9.コアンダー効果の実験です。
Try.
    水や空気などの流体は、その粘性のためスプーン等の曲面に沿って流れる
    性質があります。スプーンは水流のほうへ引き寄せられます。
Variation.
    実験#8の紙飛行機、本物の飛行機、実験#12ヘアードライアー
    でのボール浮上実験も同じ原理です。
Think.
    飛行機の主翼における揚力発生の理由と考えられています。
    揚力発生は、ベルヌーイの定理を使っても説明が行われてきました。
    世の中には、いずれの理論が正しいのか論争があるようです。
    自然現象は、一つだけです。現象説明の理論は後追いで創造されます。
    理論が完成されていなくても、自然現象は、勝手に自然に発現します。
水面低下
10.船が岸壁やほかの大きな船に平行して航行するとき、舷側の水位が下がります。
Try.
    水槽と飛行機の翼を作り、岸壁と舷側の代わりとします。岸壁に平行に
    舷側を動かすと、岸壁と舷側の間の水位が低下します。
Variation.
    大きなタンカーが油満載で、東京湾(のような浅い海)を航行し、
    船底の下の海水の速度が大きくなり、圧力が低下し、船全体が、
    上から空気に押され、座礁してしまった、と言う事故がありました。
Think.
    流体(水や空気など)の流速が速くなると、圧力が低下し、その部分
    には周りにある流体が入り込んできます。この実験では、気圧に押さ
    れて水面が低下したように見えるのです。模型の船を浮かべておけば、
    その船は波間に落ち込むでしょう。
揚力発生
11.主翼上面の曲線
Try.  飛行機の主翼を作ります。
    水槽の中で動かします。このとき、翼がもちあがりましたが、
    水位は2〜3cm低下しました。
Variation.
    実験#9スプーンの実験と同じ「コアンダー効果」によって
    主翼が持ち上げられます。
Think.
    飛行機の主翼の上面は曲線になっています。
    翼の上面やや後方は大気圧よりも低くなっています
    このことは流体の「圧力低下」が生じたことを意味します。
    その低いところへ向かって、流体(空気)が移動しようとします。
    このとき一緒に翼が持ち上げられます。
    では、飛行機が宙返りできるのはなぜでしょうか。裏返しになった
    とき、下向きの揚力が増大していき、飛行機は地面に激突しないで
    しょうか。気体の構造や飛行機の操作技術によって、宙返りが可能
    になっているのです。実験#8の紙飛行機で宙返りができるでしょうか。
浮遊ボール
12.浮遊ボール
try.
    ヘヤードライヤーでポリスチロールの軽いボールを吹き上げます。
    ヘヤードライヤーの気流の束からボールが外れようとしても、
    外れることができません。

Variation.
    ペットボトルの首の部分を切り取り、逆さにし、軽いボールを手の
    ひらで支え入り口から強く息を吹き込むと、ボールは一瞬浮き上がり
    ます。
    川の落差部分にゴミやプラスチックなどが落下する水から離れ
    られないのも同じ原理です。
    いずれも「コアンダー効果」のひとつの例です。
Think.
    ドライヤーからの強い気流は圧力が周りよりも低くなっています。
    気流の束の中心側のボール表面の圧力は、低くなっています。
    一方、気流の中心から遠いほうのボール表面の気流のスピードは遅く、
    その付近は「高気圧」になっています。このため、ボールは外から内側へ
    押し戻されます。斜めにしても落ちません。
風の力
13.風車を作ります。
Try.
    軸に糸を結びつけ、他端に重りをつるします。風が吹くと風車が回り、
    重りは巻き上げられていきます。風の運動エネルギーが重りの位置エネ
    ルギーへ変換されました。風力発電ではモーターをまわして発電します。
    風の流れが風車を回すように、水の流れは水車を回します。
Variation.    
    逆の発想で、水車の代わりにプロペラを回すと船は水の中を運動できます。
    風車の代わりに扇風機を回すと、空気が流れ、風が作り出されます。
    消防のポンプは水を送り出し、発電所の水車は、落下してきた水流に
    よって回転させられます。
Think.
    運動している物体からは、その運動エネルギーを力として、或いは別の
    形のエネルギーとして取り出すことができます。その逆も可能です。
遠心力
14.バケツを振り回しても水はこぼれません。
Try.
    ペットボトルでミニバケツを作り、水を入れて、頭上高く振り回します。
    ある程度以上の回転スピードを出すようにすると水はこぼれません。
    下手すると頭から水をかぶります。ご用心。
Variation.
    地球の表面に存在する海水や空気も地軸を中心として回転運動
    しています。したがって、地軸からの距離(半径すなわち緯度)
    に応じた遠心力を受けます。地球の大地そのものも遠心力を
    受けています。このため、土、水、空気は、地球から離れて
    行こうとします。たとえば、地球は、楕円体になっているし、
    熱帯の空気の高度は高くなります。
Think.
    回転する地球大気の自由表面を考えます。
    遠心力と重力の力の釣り合いを、微分方程式で表現します:
    自由表面の傾きは、見かけの鉛直方向に垂直になります。
    見かけの鉛直方向の傾きは、z方向の力とr方向の力の比に
    なります=mg/mrω2。 この鉛直方向に垂直な傾きは、逆数に
    なりますので、dz/dr=mrω2/mg となります。
    この微分方程式を解くと、z=ω2r2/2g となります。
    断面形状は放物線、立体的には放物面となります。
    (拙著シリーズ#3「数値気象」(未刊行)から引用。) 
ピトー管
15.航空機などに設置されるピトー管です。
Try.
    太いビニールパイプに水を入れ、写真のように椅子などに固定します。
    横方向から空気を吹き込むと、パイプ内の水位が上昇します。
    水位の上昇量を測定することにより、空気の速度を計算できます。
Variation.
    雨風が強い日、外を歩くとき傘を斜めにします。結構力が要ります。
Think.
    流れの動圧は、物体の位置エネルギーへ変換されます。
    或いは、実験#13のように風車を回す力ともなります。
タコマ橋
16.風による渦が原因で崩落したタコマ橋の実験です。
Try.
    カマボコ板の橋脚、薄いフィルムの橋げたを作り、風を送ると振動します。
    橋などの構築物は、長さ、幅、厚さなどの形状により固有振動数が決まり、
    風の速度によっては共振します。共振が増幅されると構築物は破断します。
Variation.
    実験#1−2において、ワイングラスの中の水面に振動している波を
    見ることも出来ます。離れたところから、ワイングラスに対して、
    適宜な振動(音波)を与えると、グラスが割れてしまうことがあります。
Think.
    すべても物体は、その形状やサイズに応じて、固有の振動数を
    持っています。その物体に繰り返しの力がくわわると、振動の周期
    が固有振動数に一致すると共鳴現象、共振現象を起こします。
渦の可視化
17.流れの中に障害物があると、後方に渦ができます。
Try.
    水の中に少量のアルミ粉末を混入し、水槽で流れを作ります。障害物を
    置くと、後方に渦が見えてきます。光の当てかたを工夫し、カメラの
    シャッタースピードを適宜にするとアルミ粉末の軌跡としての渦が写
    ります。
Variation.
    障害物の形状、配置、間隔をいろいろ変えてみましょう。
Think.
    空気が山や建築物に衝突すると、空気の流れが変わります。その変わり方は、
    様々な形となります。以下拙著シリーズ#1からの流れの形の抜粋です。
    流れの形(層流と乱流、反流と逆流)
    流れの形(主流の変化)
    流れの形(二次的な流れ)
    流れの形(二次的な流れ)
    流れの形(都市部の気流)
密度成層
18.私たちは、空気の層や雲の層の下に住んでいます。
Try.
    密度の異なる液体、例えば、[油→牛乳→醤油]をこ の順で、
    容器内に静かに順次注ぎ込むと、見事に分離した層となります。

Variation.
    いろんな液体で試すことができます。砂やもみ殻を使っても良いでしょう。
    層が形成されるのは、密度と浮力の関係によるものです。

    なお、オイルを使うときは、なるべく安価なものにしましょう。
    台所にあるオリーブ油は高いので奥さんやお母さんの了解を得てから
    使ってください。たくさん使うと苦情がきます。

Think.
    何ゆえ、密度の差異があると層に分かれえるのでしょうか。
    すべて、浮力の問題でもあるし、或いは、静水圧平衡の問題でも
    有ります。空気も地表面から上空まで、明瞭に仕切られてはいませんが、
    密度が順次変わっていきます。同一高度に密度が異なった物体が存在
    するとき、正または負の浮力が生じます。
    参照:身近な物質の密度一覧表。 
寒冷前線
19.寒冷前線の進行の様子を水と牛乳で可視化します。
Try.
    水槽に水を満たし、水槽の一端から牛乳を注ぎ込みます。
    寒気、暖気は、入り混じらずに、写真の様に寒気の先端が
    暖気の下にもぐりこみ、突き進んでいく様子が実現できます。
Variation.
    夏、大きな建物の正面の出入り口を扉を開けたとき、冷気が
    外へ流れ出してきます。その先端は、ミニ寒冷前線となります。
    ドライアイスの煙で実験してみましょう。
Think.
    同一高度に密度の異なった空気が存在するとき、それらの空気の
    移動が起こります。寒気は暖気の下へ。暖気は寒気の上へ上ります。
    マルグレスの問題です。
ベナール対流
20.ベナール対流の様子をシリコンオイルとアルミ粉末で可視化します。
Try.
    適宜のサイズの容器にシリコンオイル+アルミ粉末をいれ、かき混ぜて
    おきます。容器の下面を暖めると写真のような模様ができます。
Variation.
    晴れた日にできる積雲もこのベナール対流によるものです。
    ベナール対流 雲の名称、高度、十種雲級
Think.
    密度の差があるところ、必ず運動が生じます。
    空気の運動は、「風」として観測されます。 
対流
21.鉛直面内の対流の様子を水とアルミ粉末で可視化します。
Try.
    高さ10cmほどのサイズの容器に水+アルミ粉末をいれ、かき混ぜて
    おきます。容器の下面中央部を暖め、「光の束」を照射すると、
    写真のような軌跡が得られます。シャッタスピードは6秒開放でした。
Variation.
    電気釜、やかんで湯を沸かす。空気が地表面で熱せられて上昇する。
    良く晴れた日、風がまったくないものと仮定します。地上気温が17℃、
    上空1000mでの気温が7℃とします。このとき対流は起こるでしょう
    か。部屋の中で実験することはできません。また1000mの高さの
    実験室を建造することも、非現実的です。
    17℃と7℃を比較できないことは、容易に理解できるでしょう。
    では、どのようにして、比較すればよいでしょうか。空気の熱力学的
    性質を利用すると答えを得られます。下記 Think で考えましょう。
Think.
    対流現象は、すべて重力のもと、浮力の問題に帰着します。
    浮力の問題は、密度の問題であり、温度の問題です。
    温度は、高度によって異なるので、鉛直方向の温度を議論する
    場合は、同一高度(厳密には,同一気圧高度、1000hPa)において
    呈するであろう温度に引きなおします。比較の基準を同一レベルに
    します。空気の温度の場合は、「温位」と言う物理量で議論します。
    「温位」は拙著シリーズ#2の「温位」を参照して下さい。
カルマン渦
22.流れの中にカルマン渦を作ります。
Try.
    水槽の中に水+アルミ粉末をいれ、かき混ぜておきます。
    水槽の一端から円柱の棒を引っ張ると後方に渦が形成されます。
Variation.
    冬季、済州島や屋久島の南東側に雲の渦列が形成されます。
    世界のカルマン渦の発生場所は、たとえばこちらに紹介されています。
Think.
    流れの中の物体後方に渦が形成される現象はよく見かけられます。
    電線に強い風が当たって、ピューピュー鳴るのも小さい渦のためです。
    川の中を歩いてわたるとき、足がふらつくのは、渦が出来て足を
    引っ張るためです。私たちの足や胴体は、川の流れから見たら、単なる
    障害物、円柱のような棒に過ぎません。

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AZURE