英文版 Return Home 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表 「気象実験クラブ」入会案内。 気象の境界領域(議論の全体像) 忘れ得ぬ実験
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気象に関する実験の様子を写真でお伝えします。掲載したほとんど全部の 実験は成功しましたが、中にはうまくできなかったものもあります。 うまくできなかった場合、その原因や実験の条件を考えることが大事です。 うまくできたときには、そのバリエーションを考え、実行してみましょう。 どんな実験でもやりっぱなしにせずに、ちょっと立ち止まって「考え」て 見ましょう。 本書の実験の目的は、身近な素材を使って、気象の仕組みを体験・体感し つつ、科学的思考を醸成することを目的とします。 実験の題材は、拙著気象ノートシリーズの#1「大気の流れ」、および #2「天気図と気象理論」などから求めました。 目下at randomに掲載中ですが、今後項目を増やしつつ全体整理予定です。
虹或いは虹相当の光学現象は、気象空間に時々見られます。 私の虹に関する実験は、太陽光線のあるときに学校の教室や自宅 の室内の天井や壁、スクリーンなどに水を使わないで作ります。 結構大きい虹が出来ます。試行錯誤中ですが、たとえば こんな虹が出来ました。(部屋は少し暗くしてあります。) 大きな虹を作る1 大きな虹を作る2 大きな虹を作る3(5m先、9m先) 大きな虹を作る4(分光された光のスペクトル)
テーマ | 内容の概要 |
大気の力 | 1.怪力袋。 Try. 辞書などの重量物の下にスーパーの買い物袋を置き、袋内部に空気を 吹き込みます。すると、重量物が簡単に持ち上がります。 子供たちに袋を押さえてもらい、力くらべしてみます。 Variation. もしうまくいったら、辞書の代わりに石油缶、或いは小さい子供さん を板の上に乗せて、同じ実験を試みてください。 力いっぱい空気を吹き込みます。袋のジャッキみたいなものです。 空気は、1u当たり10トン、従って、0.3*0.3u当たり900kg持ち 上げます。 Think. 以上の実験では、板の面積や袋は、大きいほど楽にできるでしょう。 そして、袋の強度、袋とチューブの密着性が成功のカギとなります。 呼吸が苦しいときは、空気入れを利用しましょう。小さい力が何ゆえ 重たいものを持ち上げることができるのでしょうか。パスカルの原理は どこに作用しているのでしょうか。 |
共鳴現象 | 2.ワイングラスで音楽を。 Try. ワイングラスに水を入れ、グラスの縁をこすると音が出ます。 子供たちは皆んなワイングラス演奏家です。 小さな指からきれいな音が出てきます。 Variation. 輪ゴムを伸ばして、中間を指で弾きます。引っ張る長さに応じて、 音の高さが低音から高音まで変わります。小さい菓子箱に輪ゴムを 数本引っ掛けると、ウクレレが出来ますよ。長さに応じて振動数が 異なります。実験#16タコマ橋の橋げたの固有振動数の問題に 発展します。 Think. 共鳴・共振現象は、グラスの厚みに大きく左右されます。厚手の グラスでは、音が出にくいようです。グラスの縁をこするとき、 指先がぬれていると音が出やすいようです。またグラスの大小、 入れる水の量によっても音が異なります。共鳴・共振の条件は 何なのか、手探りし、良い音をだしましょう。 |
表面張力 | 3.ワイングラスを逆さまにする。 Try. ワイングラスに水を入れ、カードでふたをして逆さまにします。 さて、水がこぼれるかな? 教室内には一瞬、緊張が。。。 Variation. カードの代わりにガーゼやハンカチでも試してみよう。 雨の日、軒先や物干し竿に出来ている雨だれの形を観察してみよう。 水道の蛇口の閉め方が悪いとき、水滴がポタリポタリ落下します。 Think. これらの水、水滴の形状はすべて、水の表面張力によるものです。 この表面張力が発生する状況を観察し、そして力が生じる条件を 考えます。毛細管現象にも目を向けてみよう。 当たり前の現象ですが、水の中を上る空気の塊は気体のほうが丸いです。 一方、空気中においては、液体の水(水道の蛇口からの水滴、雨粒など) の方が丸く、空気は丸くありません。入道雲も外に対して丸く(凸に) なっています。なぜでしょうか。筆者にも分りかねますが、たぶん、 それぞれの内部の圧力が高くて、拡がろうとして、全体的に丸い形状に なるのかな、と想像します。 「水」を中心にして観察するとき、前者は水が空気に対して凹の形状に なっています。後者の場合は、水が空気に対して凹になっています。 水と空気が境界を接して空間に存在するとき、凹凸が異なりますね。 その疑問です。変な疑問をもつ人間だ、などと思われるかも。。 |
遠心力 | 4.風船で遠心力を感じる。 Try. 大きな風船にビー玉を入れたまま、ふくらませ、ビー玉を回転します。 風船の壁から手のひらに押す力を感じます。 「遠心力」と呼ばれる力の大きさを感じます。 Variation. 自転車で街角を曲がるとき、車輪と体全体を内側に傾けます。 Think. どんな物体でも、回転運動するとき、中心の半径方向、すなわち 外向きに遠心力がかかるので、その力と向心力がバランスします。 全体の重量、回転半径、回転速度が遠心力の大きさを決定します。 回し過ぎると風船が破裂し、ビー玉が飛び出し、危険です。 車も自転車も、そして列車も猛スピードで曲がることは、とても 危険で、事故につながります。 |
吸盤の力 | 5.吸盤の力はどこから? Try. 直径3cm程度の吸盤を2つピッタリ合わせてから、鉄アレイを吊り 下げます。吸盤の力はすごいのだ。本当は大気の圧力の力です。 Variation. マグデブルクの半球の実験として有名です。 Think. 吸盤をくっつける操作は、その間の空気を排除していることになるのです。 2つの吸盤のあいだには空気が無く、真空になっているのです。 その部分の気圧=0、吸盤の外側=1気圧。この圧力差=1−0=1気圧。 この差の1気圧が面積にかかる力となります。 実験#1怪力袋と同じく、大気の圧力がどのようにかかるか、を考えます。 力の差をどのようにして生じさせるか。力はどのようにして伝わるかを 考えます。 力のかかる方向を逆に考えるとき、まったく違った世界が現れます。 風船を膨らませる。ホーバークラフトの浮上。 逆転の発想が何かの役に立つかも知れません。 発想の一番容易なものは、「連想」することですが、「逆」とか「反対」 を考えることも、結構容易です。試してみてください。 |
台風 | 6.台風の渦巻きを見る。 Try. 台風6号の渦巻きが回転している様子のアニメーションをPCプロジェクターで 映します(気象庁HPより)。 Variation. 多摩川が増水している様子の写真も紹介します。 川に近づかないことや防災の話しをします。停電などで、水道が止まる かも知れない。そこで、台風の水をためておけば、飲むこともできるよ。 Think. 地上の1点に立っていて風向を継続的に観測すると、時間経過とともに 風向が変化します。その風向の先端を連ねると(ホドグラフと言います) 円弧となります。円弧の角度の大小は遠い台風、近くの台風を示唆します。 この円弧は、何ゆえ円弧となるのだろうか。台風の渦巻きとどんな関係に あるのだろうか。観察者と被観察物との相対的な位置関係を考えるきっかけに なります。 |
氷の融解 | 7.氷が融解するときの水面の変化を見る。 Try. メスシリンダーにきっちり10CCの水を入れ、冷凍します。 氷結すると、氷の表面は11ccのところまできます。 氷が解けると水位は低下していき、元の10ccに戻ります。 Variation. 一足飛びに北極海に行ってみましょう。海水面に浮いている氷や 氷山が溶けていきますが、海水面は上昇するでしょうか。 答えは、NOです。この実験が答えを出しています。ただし、 南極大陸の氷が解けて、海に流れ出せば水面は上昇します。 Think. 物質は、温度が変化すると体積が変わります。特に水は「相」も 変わりますので、外見も異なってきます。膨張や相変化の世界に 目を向けてみよう。夏場、鉄道の線路が、ぐんにゃり曲がるのも、 コンクリートの壁に亀裂が入るのも、膨張・収縮が関係しています。 |
紙飛行機 | 8.様々な形状の翼を作り、飛ばします。飛行競技大会ができます。 Try. 薄い紙や新聞紙、広告の紙など任意の形、サイズで飛行機の主翼を 作ります。先端にゼムピン等の重りをつけて飛ばします。 何回か試行錯誤すると、遠くまで飛んでいきます。 Variation. 翼の形、大きさ、曲げ方など様々作って飛ばします。 すぐ曲がってしまったり、ゆっくり長距離を飛行したり、 様々です。試行錯誤を重ねると、どんな形の翼が自分の目的に あったものかを見つけることになるでしょう。 Think. 物体が空中を飛行したり、浮遊したりする条件は何か。教科書を 見れば書いてあるでしょう。その前に、まず、体感、実感してみましょう。 本の中に書いてある理論は、ゲーテのファウストにある、 "Grau, teurer Freund, ist alle Theorie / Und gruen des Lebens goldner Baum."です。 灰色の理論を学ぶ前に、自然の生き生きとした、実の姿を見ることが 大事です。 |
流線曲率 | 9.コアンダー効果の実験です。 Try. 水や空気などの流体は、その粘性のためスプーン等の曲面に沿って流れる 性質があります。スプーンは水流のほうへ引き寄せられます。 Variation. 実験#8の紙飛行機、本物の飛行機、実験#12ヘアードライアー でのボール浮上実験も同じ原理です。 Think. 飛行機の主翼における揚力発生の理由と考えられています。 揚力発生は、ベルヌーイの定理を使っても説明が行われてきました。 世の中には、いずれの理論が正しいのか論争があるようです。 自然現象は、一つだけです。現象説明の理論は後追いで創造されます。 理論が完成されていなくても、自然現象は、勝手に自然に発現します。 |
水面低下 | 10.船が岸壁やほかの大きな船に平行して航行するとき、舷側の水位が下がります。 Try. 水槽と飛行機の翼を作り、岸壁と舷側の代わりとします。岸壁に平行に 舷側を動かすと、岸壁と舷側の間の水位が低下します。 Variation. 大きなタンカーが油満載で、東京湾(のような浅い海)を航行し、 船底の下の海水の速度が大きくなり、圧力が低下し、船全体が、 上から空気に押され、座礁してしまった、と言う事故がありました。 Think. 流体(水や空気など)の流速が速くなると、圧力が低下し、その部分 には周りにある流体が入り込んできます。この実験では、気圧に押さ れて水面が低下したように見えるのです。模型の船を浮かべておけば、 その船は波間に落ち込むでしょう。 |
揚力発生 | 11.主翼上面の曲線 Try. 飛行機の主翼を作ります。 水槽の中で動かします。このとき、翼がもちあがりましたが、 水位は2〜3cm低下しました。 Variation. 実験#9スプーンの実験と同じ「コアンダー効果」によって 主翼が持ち上げられます。 Think. 飛行機の主翼の上面は曲線になっています。 翼の上面やや後方は大気圧よりも低くなっています このことは流体の「圧力低下」が生じたことを意味します。 その低いところへ向かって、流体(空気)が移動しようとします。 このとき一緒に翼が持ち上げられます。 では、飛行機が宙返りできるのはなぜでしょうか。裏返しになった とき、下向きの揚力が増大していき、飛行機は地面に激突しないで しょうか。気体の構造や飛行機の操作技術によって、宙返りが可能 になっているのです。実験#8の紙飛行機で宙返りができるでしょうか。 |
浮遊ボール | 12.浮遊ボール try. ヘヤードライヤーでポリスチロールの軽いボールを吹き上げます。 ヘヤードライヤーの気流の束からボールが外れようとしても、 外れることができません。 Variation. ペットボトルの首の部分を切り取り、逆さにし、軽いボールを手の ひらで支え入り口から強く息を吹き込むと、ボールは一瞬浮き上がり ます。 川の落差部分にゴミやプラスチックなどが落下する水から離れ られないのも同じ原理です。 いずれも「コアンダー効果」のひとつの例です。 Think. ドライヤーからの強い気流は圧力が周りよりも低くなっています。 気流の束の中心側のボール表面の圧力は、低くなっています。 一方、気流の中心から遠いほうのボール表面の気流のスピードは遅く、 その付近は「高気圧」になっています。このため、ボールは外から内側へ 押し戻されます。斜めにしても落ちません。 |
風の力 | 13.風車を作ります。 Try. 軸に糸を結びつけ、他端に重りをつるします。風が吹くと風車が回り、 重りは巻き上げられていきます。風の運動エネルギーが重りの位置エネ ルギーへ変換されました。風力発電ではモーターをまわして発電します。 風の流れが風車を回すように、水の流れは水車を回します。 Variation. 逆の発想で、水車の代わりにプロペラを回すと船は水の中を運動できます。 風車の代わりに扇風機を回すと、空気が流れ、風が作り出されます。 消防のポンプは水を送り出し、発電所の水車は、落下してきた水流に よって回転させられます。 Think. 運動している物体からは、その運動エネルギーを力として、或いは別の 形のエネルギーとして取り出すことができます。その逆も可能です。 |
遠心力 | 14.バケツを振り回しても水はこぼれません。 Try. ペットボトルでミニバケツを作り、水を入れて、頭上高く振り回します。 ある程度以上の回転スピードを出すようにすると水はこぼれません。 下手すると頭から水をかぶります。ご用心。 Variation. 地球の表面に存在する海水や空気も地軸を中心として回転運動 しています。したがって、地軸からの距離(半径すなわち緯度) に応じた遠心力を受けます。地球の大地そのものも遠心力を 受けています。このため、土、水、空気は、地球から離れて 行こうとします。たとえば、地球は、楕円体になっているし、 熱帯の空気の高度は高くなります。 Think. 回転する地球大気の自由表面を考えます。 遠心力と重力の力の釣り合いを、微分方程式で表現します: 自由表面の傾きは、見かけの鉛直方向に垂直になります。 見かけの鉛直方向の傾きは、z方向の力とr方向の力の比に なります=mg/mrω2。 この鉛直方向に垂直な傾きは、逆数に なりますので、dz/dr=mrω2/mg となります。 この微分方程式を解くと、z=ω2r2/2g となります。 断面形状は放物線、立体的には放物面となります。 (拙著シリーズ#3「数値気象」(未刊行)から引用。) |
ピトー管 | 15.航空機などに設置されるピトー管です。 Try. 太いビニールパイプに水を入れ、写真のように椅子などに固定します。 横方向から空気を吹き込むと、パイプ内の水位が上昇します。 水位の上昇量を測定することにより、空気の速度を計算できます。 Variation. 雨風が強い日、外を歩くとき傘を斜めにします。結構力が要ります。 Think. 流れの動圧は、物体の位置エネルギーへ変換されます。 或いは、実験#13のように風車を回す力ともなります。 |
タコマ橋 | 16.風による渦が原因で崩落したタコマ橋の実験です。 Try. カマボコ板の橋脚、薄いフィルムの橋げたを作り、風を送ると振動します。 橋などの構築物は、長さ、幅、厚さなどの形状により固有振動数が決まり、 風の速度によっては共振します。共振が増幅されると構築物は破断します。 Variation. 実験#1−2において、ワイングラスの中の水面に振動している波を 見ることも出来ます。離れたところから、ワイングラスに対して、 適宜な振動(音波)を与えると、グラスが割れてしまうことがあります。 Think. すべても物体は、その形状やサイズに応じて、固有の振動数を 持っています。その物体に繰り返しの力がくわわると、振動の周期 が固有振動数に一致すると共鳴現象、共振現象を起こします。 |
渦の可視化 | 17.流れの中に障害物があると、後方に渦ができます。 Try. 水の中に少量のアルミ粉末を混入し、水槽で流れを作ります。障害物を 置くと、後方に渦が見えてきます。光の当てかたを工夫し、カメラの シャッタースピードを適宜にするとアルミ粉末の軌跡としての渦が写 ります。 Variation. 障害物の形状、配置、間隔をいろいろ変えてみましょう。 Think. 空気が山や建築物に衝突すると、空気の流れが変わります。その変わり方は、 様々な形となります。以下拙著シリーズ#1からの流れの形の抜粋です。 流れの形(層流と乱流、反流と逆流) 流れの形(主流の変化) 流れの形(二次的な流れ) 流れの形(二次的な流れ) 流れの形(都市部の気流) |
密度成層 | 18.私たちは、空気の層や雲の層の下に住んでいます。 Try. 密度の異なる液体、例えば、[油→牛乳→醤油]をこ の順で、 容器内に静かに順次注ぎ込むと、見事に分離した層となります。 Variation. いろんな液体で試すことができます。砂やもみ殻を使っても良いでしょう。 層が形成されるのは、密度と浮力の関係によるものです。 なお、オイルを使うときは、なるべく安価なものにしましょう。 台所にあるオリーブ油は高いので奥さんやお母さんの了解を得てから 使ってください。たくさん使うと苦情がきます。 Think. 何ゆえ、密度の差異があると層に分かれえるのでしょうか。 すべて、浮力の問題でもあるし、或いは、静水圧平衡の問題でも 有ります。空気も地表面から上空まで、明瞭に仕切られてはいませんが、 密度が順次変わっていきます。同一高度に密度が異なった物体が存在 するとき、正または負の浮力が生じます。 参照:身近な物質の密度一覧表。 |
寒冷前線 | 19.寒冷前線の進行の様子を水と牛乳で可視化します。 Try. 水槽に水を満たし、水槽の一端から牛乳を注ぎ込みます。 寒気、暖気は、入り混じらずに、写真の様に寒気の先端が 暖気の下にもぐりこみ、突き進んでいく様子が実現できます。 Variation. 夏、大きな建物の正面の出入り口を扉を開けたとき、冷気が 外へ流れ出してきます。その先端は、ミニ寒冷前線となります。 ドライアイスの煙で実験してみましょう。 Think. 同一高度に密度の異なった空気が存在するとき、それらの空気の 移動が起こります。寒気は暖気の下へ。暖気は寒気の上へ上ります。 マルグレスの問題です。 |
ベナール対流 | 20.ベナール対流の様子をシリコンオイルとアルミ粉末で可視化します。 Try. 適宜のサイズの容器にシリコンオイル+アルミ粉末をいれ、かき混ぜて おきます。容器の下面を暖めると写真のような模様ができます。 Variation. 晴れた日にできる積雲もこのベナール対流によるものです。 ベナール対流 雲の名称、高度、十種雲級 Think. 密度の差があるところ、必ず運動が生じます。 空気の運動は、「風」として観測されます。 |
対流 | 21.鉛直面内の対流の様子を水とアルミ粉末で可視化します。 Try. 高さ10cmほどのサイズの容器に水+アルミ粉末をいれ、かき混ぜて おきます。容器の下面中央部を暖め、「光の束」を照射すると、 写真のような軌跡が得られます。シャッタスピードは6秒開放でした。 Variation. 電気釜、やかんで湯を沸かす。空気が地表面で熱せられて上昇する。 良く晴れた日、風がまったくないものと仮定します。地上気温が17℃、 上空1000mでの気温が7℃とします。このとき対流は起こるでしょう か。部屋の中で実験することはできません。また1000mの高さの 実験室を建造することも、非現実的です。 17℃と7℃を比較できないことは、容易に理解できるでしょう。 では、どのようにして、比較すればよいでしょうか。空気の熱力学的 性質を利用すると答えを得られます。下記 Think で考えましょう。 Think. 対流現象は、すべて重力のもと、浮力の問題に帰着します。 浮力の問題は、密度の問題であり、温度の問題です。 温度は、高度によって異なるので、鉛直方向の温度を議論する 場合は、同一高度(厳密には,同一気圧高度、1000hPa)において 呈するであろう温度に引きなおします。比較の基準を同一レベルに します。空気の温度の場合は、「温位」と言う物理量で議論します。 「温位」は拙著シリーズ#2の「温位」を参照して下さい。 |
カルマン渦 | 22.流れの中にカルマン渦を作ります。 Try. 水槽の中に水+アルミ粉末をいれ、かき混ぜておきます。 水槽の一端から円柱の棒を引っ張ると後方に渦が形成されます。 Variation. 冬季、済州島や屋久島の南東側に雲の渦列が形成されます。 世界のカルマン渦の発生場所は、たとえばこちらに紹介されています。 Think. 流れの中の物体後方に渦が形成される現象はよく見かけられます。 電線に強い風が当たって、ピューピュー鳴るのも小さい渦のためです。 川の中を歩いてわたるとき、足がふらつくのは、渦が出来て足を 引っ張るためです。私たちの足や胴体は、川の流れから見たら、単なる 障害物、円柱のような棒に過ぎません。 |