AZNPEXPLAIN: 数値計算の説明
Return to Top 数式 数値計算の説明 > 現象の数式表現の説明 オイラー法 ルンゲ・クッタ法 差分法 図形表現のページ 参考文献 Last Updated 2002-6/01
数値計算の説明 数値計算の目的は、 自然現象を数理モデルで表現し、机上で様々な数値実験(シミュレーション)を 行うことにより、数値的に、さらには図形的・視覚的に理解するためのものです。 数値計算を行う方法には、 オイラー法、ルンゲ・クッタ法、差分法、有限要素法などがあり、計算対象とする 現象を表現する方程式の種類や、必要とする精度等に応じて使い分けます。 微分方程式の初期値問題 ・出発点(初期条件)を決めて前へ前へと微分方程式を解いていく。 この場合、オイラー法やルンゲ・クッタ法が使える。 微分方程式の境界値問題 ・周囲の条件が与えられて、微分方程式を解いていく。 偏微分方程式は、たいて境界値問題である。拡散現象や振動現象等、 現象が時間に関係する場合は、初期条件を必要とする。 なお、ルンゲ・クッタ法が使えないので、差分法を使う。
計算対象とする方程式の種類の例示(1) (ページ数は、鷹尾「数値計算のはなし」のものです。) p.133 1階微分方程式 dy/dx=2(x+1)y p.163 連立1階非線形微分方程式 dx/dt=ax-bxy dy/dt=-cy+dxy p.168 2階微分方程式 Md2x/dt2+pdx/dt+qx=0 この微分方程式は、 y=dx/dy とおくことにより、 xとyを未知数とする次の連立1階微分方程式と考えることができる。 dx/dt=y dy/dt=(1/M)(-py-qx) p.179 連立2階微分方程式 M1d2x/dt2+hdx/dt+k1x-k2(y-x)=Asinλt M2d2y/dt2 +k2(y-x)=0 この微分方程式は、 z=dx/dt, w=dy/dt とおくことにより、 xとyを未知数とする次の連立1階微分方程式と考えることができる。 dx/dt=z dy/dt=w dz/dt=(1/M)(Asinλt-k1x+k2(y-x)-hz) dw/dt=(1/M2)(-k2(y-x))
計算対象とする方程式の種類の例示(2) (ページ数は、登坂「偏微分方程式の数値シミュレーション」のものです。) ------------------------------------------------------------------------------- pp.19 静的な平衡状態や、定常的な現象を表現する。[楕円型方程式] ・現象が過渡的状態から脱して、時間変化しない平衡・定常状態となった場合 を表現する。したがって、初期条件を必要としない。 ・波動方程式で、波動が時間に依存しないときは加速度の項は0となる。 或いは、波形が時間に関して一定の振動数で変化する場合は、 定在波の方程式が得られ、直接的な時間依存性ば無くなる。 ・熱伝導方程式で、十分な時間経過後、熱移動が起こらなくなり、 或る一定の温度に達して、熱平衡状態となる。 ラプラス方程式: ∂2u/∂x2+∂2u/∂y2+∂2u/∂z2=0 ・3次元の温度分布を表す。このほか、 流体力学のポテンシャル流れ、 電磁気学の静電ポテンシャル問題を表現する。 ・ラプラス方程式の解 u=f(x,y,z)は、調和関数と呼ばれる。 ヘルムホルツ方程式: ∂2u/∂x2+κ2u=0 ・一定の振動数ω/(2π)で振動する波動を表現する。 ・ヘルムホルツ方程式の固有値問題→膜の振動 ポアソン方程式: ∂2T/∂x2+∂2T/∂y2+∂2T/∂z2=f(x,y,z) ・ラプラス方程式において、外力fや熱源fを含む現象を表現する。 流れ関数φと渦度ζの関係、をポアソン方程式で表現する: ∂2φ/∂x2+∂2φ/∂y2+ζ=0 ・渦度ω=0の流れは、「渦なし流れ」或いは「ポテンシャル流れ」といわれ、 ∂2φ/∂x2+∂2φ/∂y2=0 であらわされる。 ガウスの定理、電磁気学のガウスの定理は、電位φ、電荷密度ρ、誘電率ε、電場Eのとき divE=ρ/ε ∂2φ/∂x2+∂2φ/∂y2+∂2φ/∂z2=-ρ/ε であらわされる。 ------------------------------------------------------------------------------- pp.13 状態の変動が波として観察される現象を表現する。[双曲型方程式] ・糸の振動。水面波、電波、音波、地震波等の波動現象を表現する。 pp.14 波動方程式: 時刻tにおける変位をu(x,y,z,t)とするとき、(c2=T/ρ、c:伝播定数、T:張力、ρ:線密度) ∂2u/∂t2=c2(∂2u/∂x2+∂2u/∂y2+∂2u/∂z2) ------------------------------------------------------------------------------- pp.7 拡散現象と呼ばれる非可逆的な現象を表現する。[放物型方程式] ・或る物体内に温度差や濃度差があると、熱移動や物質の移動が 起こり、平衡状態に到達しようとする。 pp.7 熱伝導方程式: 時刻tにおける温度分布をT(x,y,z,t)とするとき、(κ:熱伝導率、σ:比熱、ρ:線密度) σρ∂T/∂t=κ(∂2T/∂x2+∂2T/∂y2+∂2T/∂z2) pp.7 拡散方程式: (C:濃度、D:拡散係数) ∂C/∂t=D∂2C/∂x2 バーガース方程式 ∂u/∂t+u∂u/∂x=ν∂2u/∂x2 ・移流拡散方程式: 移流速=c(一定)のとき ∂u/∂t+c∂u/∂x=ν∂2u/∂x2 ・拡散方程式: 移流速=c(一定)、かつc=0のとき ∂u/∂t=ν∂2u/∂x2 ・ホップ方程式: 動粘性率 ν<<1 0のとき ∂u/∂t+u∂u/∂x=ν∂2u/∂x2 ・移動流方程式: 動粘性率 ν<<1 0、移流速=c(一定値)のとき ∂u/∂t+c∂u/∂x=0 ------------------------------------------------------------------------------- 発展方程式: 放物型方程式および双曲型方程式は、発展方程式とも呼ばれる。すなわち、 現象の物理量が空間的に広がっていく速度によって特徴付けられる「発展過程」 を表現します。 -------------------------------------------------------------------------------
参考文献 //数値計算 //鷹尾「数値計算のはなし」p.188-197 人工衛星の軌道、 Runge Kutta法のプログラミング //登坂「偏微分方程式の数値シミュレーション」p.7 数理モデルと偏微分方程式 //惑星の軌道 //近藤「力学」p.62-63 万有引力、円軌道、p.118-131 惑星の運動。 //大槻「物理学」p.94-102 円錐曲線、離心率。 //藤原「力学」p.115-128 惑星の運動をベースとした。 //小出「力学」p.43-49 惑星の運動。rとθが、r2θ'=一定、であることで1つの 式にまとめてある。 //木下「天体と軌道の力学」p.24-29 運動方程式の解。
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