2008年の記録
【西部支部1月例会】
日時:2008年1月12日(土) 13:30〜17:00
場所:クローバープラザ 505研修室
   福岡県春日市原町3丁目1−7
参加者:13名
内容:
「県庁防災監視用務について」: 村岡さん
平成18年度から、管理職の県職員が、非常勤職員(自衛隊OB)とペアとなり、
非常時の対応連絡体制など緊急連絡、市町村等への一斉連絡、FAXを行う等の
業務を行っていることの説明を行い、また、防災監視用務室の見取り図で、
機器の配置、仮眠室等の説明。
さらに、18年スタートから19年12月までの実績を説明。
警報、地震、緊急対応の事例(北朝鮮のミサイル発射、海難事故など)を説明した。
最後に、自らの県庁での仕事しての、最近取り組んでいる「自殺対策」に説明したところ、
意外に反響が大きかった。なぜ、南国宮崎で多いのか
(東北地方だったからなんとなく分かるが)
という質問があり、懇談会でも話題になっていた。
「アラシ」について: 松嶋さん【報告ありがとうございました】
・京都の嵐山の由来、「山風」「嵐」の意味などを紹介した。以下の問題を出したと
ころ、かなりの難問だったらしく、正解者がゼロであった。
問1 ( )に入る言葉は?
青嵐:青々とした( )
晴嵐:晴天の日に立ちのぼる( )
問2 日本海軍の戦闘機「晴嵐」は、どのような飛行機だったか?
・『百人一首』の「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ(文屋
康秀)」を「冬の訪れを告げる冷たい季節風で、草木が色づき枯れてゆく」と、秋深
い頃の歌と解する説があることを紹介した。
(参考)
答1 「広辞苑」より
青嵐 @(「嵐」は山気の意)青々とした山気。A青葉を吹きわたる風。薫風。
晴嵐 @(「嵐」は山気の意)晴天の日に立ちのぼる山気。晴れた日のかすみ。 A
山風の強いもの。
答2 潜水艦に艦載された水上飛行機
「petm」について: 身吉さん
5500万年前の暁新世始新世気候最大期においても気候の変化が二酸化炭素濃度の変化に先行しているという最新の知見を紹介した。
「低気圧の発生について」: 金崎さん
懇親会:14名

【西部支部2月例会】
平成20年2月9日(土)13:30-17:00
宮崎県中部農業改良普及センター 19人参加

キャンプと知事人気で盛り上がる宮崎県で
宮崎気象利用研究会や気象台のみなさんと一緒に
楽しく例会を開催してきましたので報告します。

1 第二次世界大戦独海軍「チャンネルダッシュ作戦」
 向吉夏樹さん
  ドイツ海軍の戦艦を中心とする艦隊が、
 悪天候と霧を利用しイギリス軍の攻撃をかわして
 イギリス海峡及びドーヴァー海峡の突破を図った
 「チャンネルダッシュ(Channel dash)作戦」について、
  テレビのドキュメンタリー番組と英国人ジャーナリストの
 文献を比較しながら、作戦立案の経緯、独軍の周到な準備、
 作戦の顛末と英軍の失敗等を説明した。

  実はドイツ軍がうまく悪天候と霧を利用したことよりも、
 むしろ総合的な作戦計画のないイギリス軍のお粗末さに
 悪天候がさらに逆風となって、独軍がほとんど無傷で
 逃げ切ると言う英軍にとって屈辱的な失敗と言う結果になった。

 レーダーと妨害電波、チャフ、フレア等へ話が膨らみました。
 発表者であるむこよしさんが全く割って入れないほど
 専門的な話が飛び交っていました。

2 気象、放送で気になること 龍山康朗さん
 放送局のアナウンサー、キャスターなど喋り手向けに作った
 気象ミニ知識の穴埋め問題に挑戦してもらいました。

 予報の発表時間、予報の時間区分、エルニーニョ現象とは
 降水確率の意味、読み間違えが多い気象用語、
 季節限定の言葉など。
 例えば、 「    」は春の昼の霧、 「    」は春の夜の霧
 (答えは最後に)
 「ニュースは読むものではなく、伝えるものだ」
 という言葉が印象的でした

3 昨年の台風4号、5号を事例に台風の上陸判定について
 台風4号・5号に伴う災害(高温、大雨)の気象要因の考察
 竜巻注意報のしくみについて
  宮崎地方気象台長 鈴木和史さん
  盛りだくさんの内容をお話いただきました。
  台風4号による稲作作況指数が
   1965年以来最低となる43をもたらしたことや
  竜巻注意情報の精度の話などがありました。

4 人類の活動と地球環境 内嶋善兵衛さん
  元宮崎公立大学学長、お茶の水大学名誉教授
  「人間はエネルギーを食べる葦である」という視点から
  エネルギーを切り口に地球環境についてお話されました。

懇親会は、宮崎県産の海の幸、山の幸を
おいしくいただき実施しました。

※2の答え
   霞(かすみ)、 朧(おぼろ)


【西部支部3月例会】

第117回西部支部3月例会を佐賀県武雄市で開催しました。
新規会員二名に参加いただき、
新たな交流の輪を広げることができましたので報告します。

第117回西部支部例会
日時:3月8日(土)13:30
会場:佐賀県立宇宙科学館 「ゆめぎんが」(佐賀県武雄市)
  http://www.saga-ecf.or.jp/
内容:宇宙科学館見学と「台風がやってきた気象実験装置展示見学会」
出席:福田、木林、金丸、菖蒲、伊藤、寺井、吉田、土井、弘中 9人
展示説明:(9時〜17時)金丸、菖蒲、弘中
今年最高となる1200〜1300人の来場者で、
子供たちに大人気のとてもよい施設でした。
実験装置は、興味深いものばかりで、
子供たちが夢中になっている姿が印象的でした。
また展示説明を手伝ってくれた高校生ボランティアが
たいへんよく対応してくれました。

懇親会では、京都からお越しの土井さんの
台風の話や昔の地図帳の比較の話、
福田さんの長崎街道(長崎〜小倉)236km踏破の旅、
木林さんのアラスカフェアバンクスへのオーロラ旅行、
減圧の人体への影響、小城の蛍の話など
楽しい話題が盛りだくさんでした。

【第 118 回4月例会】
日時: 4月19日13時30分現地集合
会場: がまだすドーム(雲仙岳災害記念館)(長崎県島原市)
内容: 雲仙岳災害記念館見学と体感実験装置群の巡回展
     「台風がやってきた」展示説明
出席: 金丸 寺井 吉田 渡司 木林
 (懇親会には記念館の吉田さんが参加されました。)
展示説明
 前回の宇宙科学館より来場者は少なめでしたが、
親子・家族連れが多く、熱心見学していました。
 親子4人で、雪の結晶の折り紙を作っている光景は、
とってもほほえましく感じました。
 また、水分子を高々と積み上げた女の子もいました。
 台風の気圧体験装置に入るのをちゅうちょしていた女の子も、
体験後、おもしろかったと言っていました。
 過冷却水に衝撃を与えると凍る実験では、
凍った瞬間に見学者のどよめきがおきました。
 すべての実験装置に子供も大人も夢中になっている姿は印象的でした。
懇親会は、参加者の近況と、おいしい海の幸をいただきました。

【西部支部5月例会】 
日時: 2008年5月10日(土) 13:30〜17:00
会場: RKB毎日放送
    福岡市早良区百道浜2-3-8
参加者:22名(うち初参加6名)

★日本気象予報士会案内会
他支部からの転入者が2名、新規入会者が4名参加され、
全員で自己紹介をたっぷりして、日本気象予報士会の
概要を紹介しました。いろいろな業界の話や子供の頃
からの気象への熱い想い、仏教と気象のつながり等
様々なお話を聞くことができました。

★黒い樹氷: RKB今林記者
先月末にRKB毎日放送から九州ネットで実際に放送された番組の
視聴および制作した今林記者への質疑応答。
屋久島や雲仙の真っ白な樹氷を溶かしてみると、真っ黒なススが
含まれていること。それは越境汚染であること。
他にも、黄砂、オゾン、などが飛来し、九州北部では光化学スモッグの
増加が懸念されることなどの内容だった。
今回のオリンピックで、中国は懸命に汚染物質の流出を抑えるだろうから、
今夏は日本流入の汚染物質濃度が減る見込み。
そこまで減らせるという指標になるし、逆に中国が確かに汚染源だといういう証拠になる。

★低気圧の話: 金崎さん
4月に関東で突風を引き起こした低気圧はpressure dipを伴っていた。
またこの低気圧は古典的なノルウェー学派の概念モデルによるより
シャピロカイザーの概念モデルに沿った理解のほうが適していると思われる。

★スグダスの使い方: 全員
時間があまりありませんでしたが、SUGDaSSの使い方について勉強しました。

★テレビスタジオ見学 
生のニュース、ラジオの放送見学および
実際にテレビスタジオ、ニューススタジオに入りニュース原稿読みに挑戦した。
ラジオでは気象協会の岸さん(気象予報士)の気象解説を聞くことができ、大変勉強になった。

★懇親会 「月と兎」 092-851-3807
18名参加
例会会場すぐそばのお店で、店休日にもかかわらず
貸し切りで開けて頂き、大いに盛り上がりました。
その後、2次会:5名
さらに、3次会:2名


【西部支部6月例会】 
日時: 6月28日(土) 13:30〜17:00
会場: 福岡リーセントホテル
参加者:30名
講師: 下山紀夫
 (1)気象庁では防災気象情報の拡充・高度化のために、
  2007年度に多くの新しい気象情報の提供・改善を行なっている。
  新しい、あるいは改善された気象情報の概要と特徴を知り、
  気象予報士として活用を図ることを目指す。
 (2)防災気象情報の拡充・高度化に伴い、予報作業はより高度なものになっている。
  このため気象予報士は、過去の知見とともに最新の実況監視・解析
  および予報技術を身につける必要がある。
  実況データに基づく現象の監視と解析の具体的事例として
  「低気圧、前線」「寒冷渦」をテーマに、最新の予報作成技術の実際を学ぶ。



【西部支部7月例会】
日時:2008年7月12日(土) 13:30〜17:00
場所:クローバープラザ(福岡県春日市)
例会:14名、懇親会:13名
内容:
◆「地球温暖化ファイナル」: 身吉さん
(1)過去において温室効果ガスがトリッガーとなって
  気候が変化した事実は知られていない。
(2)温室効果理論の中核をなす「再放射」は
  対流圏下層では極めて起こりにくい現象である。
(3)上下両方向の放射と熱移動をごっちゃに描いた
 「地球の熱収支の図」は熱力学第2法則に違反している。
(4)温暖化論には錯覚を利用した誤魔化しが存在する.
◆「台風の呼称について」: 松嶋さん
「颱風が英語のタイフーンに由来する」という説
(明治40年頃、中央気象台の岡田武松台長が、
南シナ海の暴風を、西洋でタイフーンと呼んでいる
ことから“颱風”と当て字をして呼びはじめたという説)
について、この説が登場した経緯、岡田武松台長
自身がこの説を否定していたことなどを紹介した。
また、「たいふう(大風)」という呼称が、
江戸時代には既に使われていたのではないかという説明をした。
◆「梅雨に関するいい加減な話」: 金崎さん
(1)梅雨の始まりは大陸と海洋の温度コントラストによる
(2)梅雨の継続はオホーツク海とシベリア大陸の温度コントラストによる
(3)梅雨明けはフィリッピン近海と日本の南海上の海水温による

【西部支部8月例会】

日本気象学会九州支部「気象教室」

1 日時
  2008年8月23日(土)13時30分〜16時00分 (13時開場)
2 会場
  九州大学西新プラザ大会議室(福岡市早良区西新2-16)…下記アドレス参照
  http://www.kyushu-u.ac.jp/university/institution-use/nishijin/infomap.htm
   (会場に駐車場はありませんので、公共交通機関のご利用が便利です。)
3 プログラム(講演題目は仮題)
  講演 「黄砂、紫外線の観測と予測」
      石原 洋 (福岡管区気象台気候・調査課)
  講演「汚染物質等の広域輸送モデリング 」
      竹村 俊彦 (九州大学応用力学研究所)
  講演「大気中のベリリウム7をトレーサーとした成層圏オゾンの流入評価 」
       楢崎 幸範 (福岡県保健環境研究所環境科学部)

【西部支部9月例会】
9月13日(土)に実施した第123回西部支部例会
鷲尾岳地すべり見学会について、
永田健太郎さんがとりまとめてくださいましたので、
下記のとおり、報告いたします。

(1)鷲尾岳地すべり資料館での概要説明(14:00〜15:00)
この地すべりには、昭和25年に滑動が初めて確認されて以来、
これまでに100億の事業費が投入されてきた。
全国第3位の地すべり危険箇所数を持つ長崎県であるが、
費用対効果140億に見合う大規模な地すべりを管轄しているのが、長崎県県北振興局であり、今回の説明をしてくださった。

県内で1〜2位の規模を誇る"鷲尾岳地すべり"は、
過去に何度も移動し、頭部の滑落崖は15mの高さにまで
達しているが、各種対策工事が施工されてきたことにより
移動は次第に落ち着いて来ている。

地すべり、崖崩れ、土石流は土砂災害の種類だが、
それぞれ発生形態が大きく異なっている。
地すべりの定義は、「土地の一部が地下水等に起因して滑る
自然現象又はこれに伴って移動する自然現象」と記述されいるが、他の現象が比較的速いのに対し地すべりは比較的穏やかに
移動するのが特徴である。
これまでに異なった認識を持たれていた方もいました。

長崎県には地すべりが多く、"北松(ほくしょう)型"と
呼ばれるような特徴的な地すべりが大半を占めていること
なども勉強しました。
この後資料館内を見学しましたが、地質(ボーリングコアなど)や
対策工事の概要など、詳しく、分かりやすい展示となっていて、
参加者の興味をそそっていたようです。

(2)頭部滑落崖の見学(15:00〜16:00)
地すべりの移動形態は、頭部に亀裂が発生し移動するか、
末端部をすくわれて移動するか、または地震等により大きな力が
加わって移動するか等に分けられる。
大(長)雨や春先のフェーンによる融雪で地下水が大量に地下に
浸透すると、すべり面付近で圧力が増大し、やがて浮力が働いて
土塊が移動することが多い。
この一連の流れにおいて、地すべり頭部に亀裂が発生し、
地下水の流入を促進する場合が多い。

現地で見た頭部の滑落崖は、亀裂が長年の間に発達し
現在15mもの高さになった。
崖の上で恐る恐る下を見ていた方も多かったようです。
 この変状を確認した後に対策工事を見学しました。

(3)対策工の見学(16:00〜17:00)
地すべり滑動を抑制するには、すべり面付近にかかる
(間隙)水圧を下げるか、地すべりの頭部(末端部)の重量を
減らす(増やす)という二つの工法を採用することが多い。
前者を地下水排除工、後者を排土工と言い、
見学したのは何れも前者である。

最初に見た地下水排除工は集水井工と呼ばれ、
筒状の井戸を地下25mの深さまで掘り進み、
井戸の中から地中に向けて扇状にボーリングマシンで掘削、
地下水を集めて地すべり地外へ排水するというものである。
地下25mの井戸の底を、皆さん怖そうに覗き込んでいました。
施工業者の方のご好意により、実現した画期的な見学でした。
いつも見れるとは限らない貴重な経験が出来ました。

最後に以前施工された排水トンネル中に入りました。
掘り進んだトンネルから地中に向けてボーリングで掘削し、
地下水を集めてトンネルから排水するというものです。
真っ暗な坑内に入りましたが、とても涼しく外に出るのを
ためらうほどでした。外の暑さと皆さんの熱さを、
中の冷気が癒してくれたひと時でした。
これで現地見学会がすべて終了。
佐世保市内に移動する頃になって雨がシトシトと降ってきました。

懇親会は佐世保市内に場所を移し、
合計12名の参加で盛大に行われました。
今後行われる対策工事において、
すべり面を目視で確認できる可能性があることなど、
懇親会の席までしっかりと勉強ができた、
とても有意義な例会となりました。

10月25日 鹿児島県鹿児島市 かごしま環境未来館

11月8日 福岡県福岡市 RKB毎日放送 23人
日本気象予報士会案内会
台風の語源Part2
気候の話、低気圧の話

12月13日 愛媛県大洲市、松山市
愛媛県肱川あらし見学会
松山地方気象台見学

1月10日 福岡県春日市 クローバープラザ 13人
『孫子』火攻篇
2008年、福岡のお天気5大ニュース
2月例会の案内・最近の話題

2月14日 宮崎県宮崎市 宮崎県庁 12人
気象災害を防ぐために
ニ・ニ六事件と東北の凶作
宮崎の気候資源への温暖化の影響評価
宮崎県における降水特性の変化(中間報告)
自作たつまき実験装置

3月14日 福岡県春日市 クローバープラザ 15人
世界から見た日本の冬
梅雨期における九州地方の大雨事例に対する台風の遠隔影響
二・二六事件と東北地方の冷害
水稲の害虫であるトビイロウンカの長距離移動と気象との関係について
天気予報技術の変遷











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