堀 正岳 先生(海洋研究開発機構)「北極域の『温暖化』はどこまで現実となっているのか?」
北極を起源とする寒気の蓄積・流出過程、北極低気圧の経路と寒気の動態の長期変動について研究を行っている
海洋研究開発機構 堀 正岳 研究員からお話を伺いました。
最も早く温暖化が表れる北極圏は、極温暖化増幅、夏季の海氷の減少、北極低気圧の強化など気象学的に興味深い現象が続いていますが、
こうした中、北極域での現象や他地域とのテレコネクションを理解する上では内部変動(大気変動、海洋変動)と外部変動(温室効果気体、火山噴火など)の両者や、
短期変動と長期変動の両者を考慮するだけでなく、これら双方の相互作用も理解すべきであるが、なかなか難しいこと。
北極の予測を難しくするもう一つの原因は、海氷の変動であり、現在ある様々な手法による予測を上回って変動していること。
さらには、北極で熱放出されると寒気が中緯度にやってくることから、温暖化とともに、一時的に中緯度に寒波は増える可能性があり、
中緯度では温暖化が進んでいることを理解しない恐れがあること。
北極域の温暖化は起こっているが、データが少ないことなどから、正確には予測できず、観測の強化が必要。
我々は、予測ができない未来に備えなければならないが、決して無力ではない、というお話を伺いました。
2週にわたる大雪の直後で、寒冷化に関心が高まっている中、会場の会員からも熱心な質問がありました。
横浜国立大学 教育人間科学部 筆保研究室 学生研究発表(Team SORAメンバー)
今次例会は、横浜国立大学教育人間科学部の筆保研究室のご協力を得て、共同の開催となりました。
研究室の学生の方々の卒論・修論ダイジェストとして、
@横国大の海風はどっちから? 観測とシミュレーションで解き明かす東京湾vs相模湾。
A南中時は正午ではない? 8の字に動く太陽の謎(教育教材研究)
B台風が最も上陸する国は? 国別台風上陸ランキング
の3テーマについて発表がありました。
@では、二つの異なる海風が到来する横国大の特殊な地域性についての分析が興味深く、熱心かつ厳しい質疑が交わされました。
Aでは、"アナレンマ"という現象をテーマとして教育教材開発の可能性についての発表がありました。
Bでは、「歌って踊れる気象キャスター」を目指す学生の方による発表で、
参加会員への「共通一次試験」の結果による豪華賞品も登場して、大いに盛り上がりました。
2週にわたる大雪の直後の例会ということから、特別セッション「南岸低気圧と関東地方の大雪」と題して、会員からの写真・動画による発表を行いました。
高木会員(神奈川支部)からは、自宅周辺や横浜みなとみらい周辺の積雪の様子を8日と14日の2回の降雪を比較しながら発表いただきました。
新井会員(神奈川支部)からは、降雪直後に東海地方上空を飛んだ飛行機から撮影した写真の発表がありました。
雪に覆われた甲府盆地の状況なども克明に分かり、興味深いものでした。
池辺会員(神奈川支部・北陸支部)からは、関東とは逆に雪の少ない近年の福井についての発表をいただきました。
濱野 会員(千葉支部)「キスカ島撤退作戦」
厳重に包囲していたアメリカ軍の哨戒網に全くひっかかることなく5000名を超えるキスカ島守備隊全員の撤収を成功させたキスカ島撤退作戦において、
アリューシャンの霧の発生を気象士官が見事に予測した功績をお話いただきました。
当時気象士官(少尉)を務められていた竹永一雄氏御本人へのインタビュー結果も交えた迫真の御発表に、参加会員一同、感嘆いたしました。
海洋研究開発機構の堀研究員からは、海洋観測船みらいの寄港地であるダッチハーバーにまつわる歴史事情についての御紹介もいただきました。
細井会員(神奈川支部)からは、「よんまる会」(第40回試験合格者有志の会)主催で5月31日(土)に開催予定の「新人気象予報士発表会」への参加募集の案内がありました。
高部会員(神奈川支部)からは、「気象ネタ プラネタリウム幼児番組」の紹介がありました。
内山会員(神奈川支部)からは、「練馬アメダス移転で気温はどれだけ変化したか?」についての発表がありました。
「月の雫横浜西口店」
懇親会では、講演をいただいた堀様にも御参加いただき、さらに突っ込んだご説明や議論を会員と交わすなど、大いに盛り上がりました。
例会44名(初参加2名)、懇親会26名
トップページへ戻る