東京大学 大気海洋研究所 気候システム研究系 特任助教 沢田 雅洋 様「台風発生の予測可能性に関する数値的研究」
概要:1週間以上先に発生する台風を最新数値モデルでどの程度再現できるか?
2012年初夏の台風を例に数値実験を結果を紹介
西太平洋の熱帯性擾乱の卵である初期の渦が、マリアナ海域は
偏東風により、フィリピン付近ではモンスーンによって発生し
発達する様子を、数値シミュレーション結果で紹介していただきました。
現状は実況との間にズレがあるとのことでしたが、その辺りの
実態も忌憚なくお話いただき、台風という気象現象の難しさを
あらためて実感いたしました。今後の精度改善も現在進めていらっしゃるそうです。
日本気象予報士会の活動にも興味を持っていただきましたので
今後もご協力いただけるようにお願いをいたしました。
横浜国立大学 横浜国立大学大学院 教育学研究科 大学院生 廣瀬 駿 様・吉岡 大秋 様「熱帯観測プロジェクト PALAU 2013 〜観測体験記・研究報告〜」
熱帯の気象観測ミッションに研究者として参加されたお二人の
観測活動報告です。
陸上観測を廣瀬さん、船舶上の海上観測を吉岡さんが担当され
それぞれの観測活動の状況を一日のスケジュールや食事の紹介など、
悲喜こもごもの数週間の活動を元気かつアカデミックに話していただきました。
旧日本統治領で激戦地でもあったパラオなので、軍設備残骸、
現地語の入り込んだ日本語のトピックなど幅広い世代を納得させるプレゼンテーションでした。
気象キャスターも視野に入れてがんばっている青年たちです。
神奈川支部からも応援したいです。
横浜国立大学 教育人間科学部 准教授 筆保 弘徳 様「台風学の最前線 〜放課後編〜」−夏期大学
今回の例会開催を幅広くサポートしていただいた共同開催者の
筆保先生から、7月27日(土)〜28日(日)に、同じ横浜国大で
開催された、日本気象学会の夏季大学のフォロー授業。
筆保先生が夏季大学で紹介できなかった事例2件の紹介
1.早明浦ダムの台風前後の推移比較を紹介し、台風を水資源
として見た場合の、その巨大な水ポンプとしての能力に驚きながらも、重要性に納得しました。
2.台風に入った空気は渦の中を何回周回して発散するのか?
昔から筆保さんが疑問の思っていたことを、数値シミュレーション
アニメで見せていただきました。
地上で収束し渦に入り込んだら、十数回廻って対流圏界面上で発散していく。
台風の壁雲の内側の空気が台風発生から、ずっと閉じ込めれたまま、
移動していくのではないか?・・・・・
また夏季大学で盛り上がった、台風共通一次試験のフォローが
とても楽しくて7月の会大学に参加したメンバーも、今回初見
のメンバーも、ともに大受けでした。
1.風速17m/sでペットボトルと傘はガラスを破砕できるのか?
2.この風の中で、ラーメンを食べさせることはできるのか?
等々、風の怖さと楽しさを共有できたひと時でした。
和田 会員(神奈川支部)「台風表現の変遷(中央気象台・気象庁天気図)」
明治以来、台風が天気図の中でどのように表現されてきたかを
実際の紙の天気図をげ面に映しながら説明していただきました。
気象観測拠点が少ない時代の天気図の実情、天災や戦災により
観測データがないことを示すチャートを見せていただき、災害
現場の怖さ、情報伝達手段の重要さにも気づかされました。
先日の台風18号による桂川の越流、上流ダム水位の調整状況を
和田さんの長い現場経験を交えてお話を伺いました。
一般の人が知らないところで、叡智と体力で河川が守られていることを感じました。
濱野 会員(千葉支部)「台風部隊出撃セヨ〜陸軍夜間雷撃隊秘話(選りすぐりの海軍気象士官や中央気象台気象予報官も参加した台湾沖航空戦顛末)」
陸軍が海軍の協力の元、米国海軍艦隊を殲滅すべく雷撃隊を編成
して、訓練から実践まで進んでいった実話です。
陸軍と海軍の文化の違い、ちょっとしてミリタリーオシャレ、
食べ物、暗号、敬称・・・いろいろとありました。
数次にわたる攻撃にも関わらず悪天候や闇夜に散って行った方々、
結果的には戦果に結び付かなかった現実など、初めて知る内容でした。
濱野さんには、いつものとおり豊富な資料と講談家ばりの抑揚と
感動に富んだお話を伺うことができました。
例会終了後横浜駅西口へ路線バス2台で移動し懇親会を開きました。
懇親会の中で高木 会員(神奈川支部)編集の台風クイズ大会を実施しました。
難しめでしたが、7問中5問正解が多数いて、さすが台風好き集団の気象予報士会だと再認識しました。
例会74名(予報士会関連62名、横浜国大11名、講師1名)、懇親会43名
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