第63回(2011/7/18) かながわ労働プラザ

招待講演 

講演者:佐藤望 様 慶應義塾大学商学部教授 音楽学博士。
招待講演:「クラシック音楽における雷の表現」


 ほぼ全ての作曲家が楽曲の中で取り扱っている雷について、実際に演奏を聴きながら、どのように表現されているのか、解りやすく解説頂きました。バッハの時代、例えば「マタイ受難曲」では、雷のイメージは、天の裁き、この世の終わりの象徴など、宗教色の強いものとして扱われていた。
 しかしながら、自然描写を楽器だけで巧みに表現したヴィヴァルディ「四季」<夏>の雷雨と稲妻の表現は、同じ雷を表したものでもかなり違ったものとなっている事など、実際に楽曲を聞きながら解説して頂きました。
 また、さらに時代が進むと、心象描写をも表すようになる。ベルリオーズ「幻想交響曲」等、多くの楽曲を例として取り上げながらの解説はとても、解りやすいものでした。このように雷の表現の仕方は多種多様なものとなっており、その意味合いを知る事で、聞きなれた楽曲も一味違うものなる事を実感しました。


話題提供

高木 会員「半導体工場の雷被害とその対策」
 半導体工場においては、わずかな電圧の低下でも、機械を止める保護装置が働き、ラインが止まってしまう。この電圧の低下を引き起こす原因となるのが、送電線への落雷であり、それを防ぐ、対策についてのお話がありました。
当該半導体工場がある鹿児島県霧島市では落雷が多く、年間20日程度、落雷による瞬間電圧低下(瞬低)が発生、3回の工場の操業停止により、4千2百万もの損害が発生する。その為、多くの費用を投資し、UPSを設置する等、瞬低対策が取られている。また、九州では、送電系統がループ状になっていない事も瞬低が多く発生している原因の一つになっているとの事でした。
 このように、落雷により、停電が発生するだけでなく、二次的な被害が予想以上に多きものである事がわかりました。
梶原 会員「ミニかみなり 数万ボルトの火花放電を体験しよう」
 台風が接近する中、大分からウィムズハースト起電機と呼ばれる円盤を回転させる事によって静電気を発生させる誘導型発電機を持参頂き、実験して頂きました。この実験装置は、火花放電を発生させるもので、まさに小さな雷を目の前で見ることができ、参加者の多くが、実際に実験装置を動かし、火花放電を発生させ、とても盛り上がりました。
 また、火花放電に伴い、オゾン臭を感じる事が出来るなど体験型の話題提供でした。
新井直樹 様(電子航法研究所)「気象情報可視化ツールWvis」
 今回、ご紹介頂いた「気象情報可視化ツールWvis」は、数値予報のデータを3Dで直感的に表現できるもので、昨年の台風14号を事例として、その機能、使用方法をご紹介頂きました。温度の状態を表現した画像では、ウォームコアが、相当温位の状態を表現した画像では、台風の立体構造がはっきりとわかる等、その他、表現される画像のどれもが、美しく、驚きの連続でした。また、第48次南極地域観測隊の越冬隊員として体験した、昭和基地におけるオーロラの美しい映像を披露して頂くなど、盛りだくさんでした。
藤井 会員「落雷事故を防ごう」
 雷の構造、メカニズムの説明から始まり、人身被害の実態、その危険性を説明頂くと共に、落雷事故に遭わない為に注意すべき事を解りやすく説明頂きました。落雷による人身被害は、年平均14.8人にのぼり、また、電流の流れ方により、生存率が大きく変わる事、直撃、側撃、多点同時落雷等、多くの実例を挙げながらの説明は、その危険性が良く解る内容でした。併せて、説明頂いた比較的安全な場所はどこなのか、どんな姿勢でいれば良いのかの説明はとても役立つものでした。さらに、「雷に関するクイズ」や「雷の映像と音楽を組み合わせた作品」を紹介頂く等、盛り沢山の内容でした。
サニーエンジェルス 紙芝居「サニーちゃんとかみなり」
 サニエンメンバーにより、かわいい絵と豊かな表現による紙芝居を披露して頂きました。サニーちゃんの「わた雲くん」や「アイスくん」との出会いを通じて、みている人に、雷や雨について、気象学的に正しい知識を伝える内容となっており、また、紙芝居の最後にあるクイズでは、雷の怖さを子供たちに楽しみながら教える等、大人も楽しめる内容でした。この紙芝居を、より多くの子供たちに見て貰いたいと思いました。 

懇親会

 大変人気のある菜香新館にて行いました。お店も立派で、料理も美味しく、大変、盛り上がりました。高木さんによる最新の建物の映像による紹介も、とても興味をひく内容でした。

出席者

例会出席者:50名  懇親会出席者:33名

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